旧字:點頭
「あゝ名古屋ですか。」純吉は口ばやく繰り返して、努めて邪念なさ気に点頭いた。名古屋といふのは勿論みつ子の代名詞なのだ。
そして頭を挙げた時には、蔵海は頻りに手を動かして麓の方の闇を指したり何かして居た。老僧は点頭いて居たが、一語をも発しない。
そのうちに博士が一歩下って、うんと点頭いた。するとベラン氏が躍りあがった。それから博士の手を両手で握って、強く振った。
道助は「これは初めて聞いた」と云ふ風に時々彼女の方へ点頭いて見せながら、ぼんやりとそれを聞いてゐた。で最後に彼女が