父を売る子ちちをうるこ
彼は、自分の父親を取りいれた短篇小説を続けて二つ書いた。 或る事情で、或日彼は父と口論した。その口論の余勢と余憤とで、彼はそれ迄思ひ惑うてゐたところの父を取り入れた第一の短篇を書いたのだ。その小説が偶然、父の眼に触れた。父親は憤怒のあまり、 …