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激流
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げきりう
呆れ
果てゝ
眺めて
居ると、やがて
浅い
処で
腰の
辺、
深い
処は
乳の
上になる。
最も
激流矢を
流す。
川の七
分目へ
来た
処に、
大巌が一つ
水を
堰いて
龍虎を
躍らす。
奇觀、
妙觀と
謂つべし。で、
激流に
打込んだ
眞黒な
杭を、
下から
突支棒にした
高樓なぞは、
股引を
倒に、
輕業の
大屋臺を、チヨンと
木の
頭で
載せたやうで
面白い。
以前激流に
逆つて、
大石を
転ばして
人助けのためにしたと
言ふのも、
第一、かちわたりをすべき
川でないから
石があるのが、
然まで
諸人の
難儀とも
思はれぬ。
往来に
穴があるのとは
訳が
違ふ。
瀧のその
或ものは、
雲にすぼめた
瑪瑙の
大蛇目の
傘に、
激流を
絞つて
落ちた。また
或ものは、
玉川の
布を
繋いで、
中空に
細く
掛かつた。その
或ものは、
黒檀の
火の
見櫓に、
星の
泡を
漲らせた。
それよりして
奥入瀬川の
深林を
穿つて
通る、
激流、
飛瀑、
碧潭の、
到る
処に、
松明の
如く、
灯の
如く、
細くなり
小さくなり、また
閃きなどして、——
子の
口の
湖畔までともなつたのは、この
焚火と