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檐下
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のきした
ふりがな文庫
“
檐下
(
のきした
)” の例文
不図気がつくと、納屋の
檐下
(
のきした
)
には、小麦も大麦も刈入れた
束
(
たば
)
のまゝまだ
扱
(
こ
)
きもせずに入れてある。
他所
(
よそ
)
では最早
棒打
(
ぼううち
)
も済んだ家もある。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
この時天が
俄
(
にわか
)
に曇って、大雨が降って来た。寺の内外に満ちていた人民は騒ぎ立って、
檐下
(
のきした
)
木蔭に走り寄ろうとする。非常な雑沓である。
堺事件
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
セルギウスは女が
檐下
(
のきした
)
の
雨落
(
あまおち
)
に足を踏み込んだと云ふ事を知つた。手に握つてゐる戸の鉤を撥ね上げようとする手先が震えた。
パアテル・セルギウス
(新字旧仮名)
/
レオ・トルストイ
(著)
……何だろうと思って、そっと近寄って見ると、
鳴海絞
(
なるみしぼ
)
りの黒っぽい浴衣を着た里春が、片袖を顔へひき当てるようにして
檐下
(
のきした
)
に寝ているんです。
平賀源内捕物帳:山王祭の大像
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
勘次
(
かんじ
)
は
其
(
その
)
時
(
とき
)
不安
(
ふあん
)
な
態度
(
たいど
)
でぽつさりと
自分
(
じぶん
)
の
庭
(
には
)
に
立
(
た
)
つた。
彼
(
かれ
)
は
既
(
すで
)
に
巡査
(
じゆんさ
)
の
檐下
(
のきした
)
に
立
(
た
)
つてるのを
見
(
み
)
て
悚然
(
ぞつ
)
とした。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
▼ もっと見る
まアまア
何
(
なに
)
しろ
斯
(
こ
)
う
歇
(
や
)
みなしに雪が
降
(
ふ
)
つては
為方
(
しかた
)
がない、
此家
(
こ
)
の
檐下
(
のきした
)
を
拝借
(
はいしやく
)
しようか……エー
最
(
も
)
う日が
暮
(
く
)
れたからな、
尚
(
な
)
ほ
一倍
(
いちばい
)
北風
(
きたかぜ
)
が身に
染
(
し
)
むやうだ、
坊
(
ばう
)
は寒くはないか。
大仏餅。袴着の祝。新まへの盲目乞食
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
突き当りの山の肌が赤剥けにずり落ちて
其
(
その
)
下に屋根形の大残雪が懸っていた、
檐下
(
のきした
)
を抜足で通り抜ける、縁からも天井からも雪解の雫が破ら屋を洩る雨のように滋く落ちて
黒部川奥の山旅
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
明くる朝になって見ると、彼が立っていた所には、二、三羽の鵝鳥や鴨が
檐下
(
のきした
)
に投げ落されていた。それを煮て食った者もあったが、その味は普通の鳥と変ったこともなかった。
中国怪奇小説集:17 閲微草堂筆記(清)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
第一の必要が高燥で日当りの好い土地ですから
物置
(
ものおき
)
の
檐下
(
のきした
)
で南向きの処を択べばそれで沢山です、先ず
其処
(
そこ
)
を一坪
竹矢来
(
たけやらい
)
で
囲
(
かこ
)
います。一坪なくとも奥行四、五尺位でも構いません。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
電燈のついたばかりの、町店が、一軒、
檐下
(
のきした
)
のごく
端近
(
はしぢか
)
で、
大蜃
(
おおはまぐり
)
の
吹出
(
ふきだ
)
したような、湯気をむらむらと立てると、
蒸籠
(
せいろう
)
から
簀
(
す
)
の
子
(
こ
)
へぶちまけました、うまそうな、饅頭と、真黄色な?……
菊あわせ
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
松波荘九郎
(
まつなみさうくらう
)
といふ者、武者修行として、稀〻、蜂須賀邑に到、日暮れ宿を求むるも応ずるものなし、小六正和、その居宅の
檐下
(
のきした
)
に
躊躇
(
ちうちよ
)
せるを怪しみて故を問ひ、艱難相救ふは、武士の常情なり
随筆 宮本武蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼は
納屋
(
なや
)
の
檐下
(
のきした
)
にころがって居る大きな
木臼
(
きうす
)
の塵を払って腰かけた。追々人が
殖
(
ふ
)
えて、柿の下は十五六人になった。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
「そんなこといはねえで
幾
(
いく
)
つでも
取
(
と
)
つて
置
(
お
)
けよ、
癒
(
なほ
)
り
際
(
ぎは
)
が
氣
(
き
)
を
附
(
つ
)
けねえぢやえかねえもんだから」
勘次
(
かんじ
)
は
漬菜
(
つけな
)
の
手
(
て
)
を
放
(
はな
)
して
檐下
(
のきした
)
へ
來
(
き
)
た。
手
(
て
)
も
足
(
あし
)
も
茹
(
ゆ
)
でたやうに
赤
(
あか
)
くなつて
居
(
ゐ
)
る。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
檐下
(
のきした
)
に、白と茶の大きな
斑犬
(
ぶちいぬ
)
が
一頭
(
ひとつ
)
、ぐたりと寝ていました。——あの大坊主と道づれでしたが。……
彼奴
(
あいつ
)
、あの調子だから、遠慮なしに店口で喚いて、
寝惚声
(
ねぼけごえ
)
をした女に方角をききましたっけ。
露萩
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ずっと陽照りつづきで
檐下
(
のきした
)
の
忍草
(
しのぶ
)
までグッタリと首を垂れている。
顎十郎捕物帳:18 永代経
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
はい/\
有難
(
ありがた
)
うございます、誠にお
檐下
(
のきした
)
を
拝借
(
はいしやく
)
するばかりでも、
私
(
わたくし
)
は
有難
(
ありがた
)
いと
存
(
ぞん
)
じますのに、
又々
(
また/\
)
お
強請
(
ねだり
)
申
(
まう
)
して、お
煙草
(
たばこ
)
の
粉末
(
こな
)
を願ひましたところ、
却
(
かへ
)
つてお薬を
下
(
くだ
)
されまして、はい
有難
(
ありがた
)
う
存
(
ぞん
)
じます
大仏餅。袴着の祝。新まへの盲目乞食
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「
呍
(
うん
)
」と久さんは答えて、のそり/\
檐下
(
のきした
)
から引き出して、二握三握一つにして、トンと地につき
揃
(
そろ
)
えて、
無雑作
(
むぞうさ
)
に小麦からで
縛
(
しば
)
って、炬火をこさえた。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
この時酒屋の
檐下
(
のきした
)
より
婀娜
(
あだ
)
たる
婦人
(
おんな
)
立出
(
たちい
)
でたり。
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
檐
漢検1級
部首:⽊
17画
下
常用漢字
小1
部首:⼀
3画
“檐下”で始まる語句
檐下詰