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柿色
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かきいろ
ふりがな文庫
“
柿色
(
かきいろ
)” の例文
ところが、この素ッ裸にされ、そしてやがて
襟
(
えり
)
に番号の入った
柿色
(
かきいろ
)
の制服を与えられる場合になっては、
最早
(
もはや
)
ラジウムはそのままにして置けなかった。
柿色の紙風船
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
三尺の押入を開けると、
煎餅蒲團
(
せんべいぶとん
)
が二枚、その下敷になつてゐるのが、
柿色
(
かきいろ
)
の大風呂敷ではありませんか。
銭形平次捕物控:136 鐘五郎の死
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
驚
(
おどろ
)
いて
見
(
み
)
かへるに
暴
(
あば
)
れ
者
(
もの
)
の
長吉
(
ちようきち
)
、いま
廓内
(
なか
)
よりの
歸
(
かへ
)
りと
覺
(
おぼ
)
しく、
浴衣
(
ゆかた
)
を
重
(
かさ
)
ねし
唐棧
(
とうざん
)
の
着物
(
きもの
)
に
柿色
(
かきいろ
)
の三
尺
(
じやく
)
を
例
(
いつも
)
の
通
(
とほ
)
り
腰
(
こし
)
の
先
(
さき
)
にして、
黒
(
くろ
)
八の
襟
(
ゑり
)
のかゝつた
新
(
あた
)
らしい
半天
(
はんてん
)
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
御衣は
柿色
(
かきいろ
)
のいたうすすびたるに、手足の
爪
(
つめ
)
は
獣
(
けもの
)
のごとく
生
(
お
)
ひのびて、さながら魔王の
形
(
かたち
)
、あさましくもおそろし。
空
(
そら
)
にむかひて、
一二九
相模
(
さがみ
)
々々と、
叫
(
よ
)
ばせ給ふ。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
時が来て、半蔵は例の青い
合羽
(
かっぱ
)
、寿平次は
柿色
(
かきいろ
)
の合羽に身をつつんで、すっかりしたくができた。佐吉はすでに
草鞋
(
わらじ
)
の
紐
(
ひも
)
を結んだ。三人とも出かけられるばかりになった。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
▼ もっと見る
思い出せない——一条の板橋を渡ると、やがて左へ曲る横町に
幟
(
のぼり
)
の如く
釣
(
つる
)
した
幾筋
(
いくすじ
)
の
手拭
(
てぬぐい
)
が見える。紺と黒と
柿色
(
かきいろ
)
の配合が、全体に色のない場末の町とて
殊更
(
ことさら
)
強く人目を
牽
(
ひ
)
く。
深川の唄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
下
(
おり
)
沓
(
くつ
)
を
穿
(
はき
)
て立出ける其衣服は葵の紋を織出したる
白綾
(
しろあや
)
の小袖を着用し其下に
柿色
(
かきいろ
)
綾の小袖五ツを重ね紫きの
丸帶
(
まるぐけ
)
を
締
(
しめ
)
古金襴の法眼袴を穿ち上には
顯文紗
(
けんもんしや
)
十徳を着用し手に金の
中啓
(
ちうけい
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
下に着て居る古渡の更紗も面白くなく、
柿色
(
かきいろ
)
の
献上博多
(
けんじょうはかた
)
の帯も面白くなく、後に聞けば生意気を以て新道に鳴る花次の調子のなおさら面白くなく、それに
例
(
いつ
)
もの婢が二階座敷に出て居て
油地獄
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
太田は
柿色
(
かきいろ
)
の囚衣を青い囚衣に着替えると、小さな連絡船に乗って、
翠巒
(
すいらん
)
のおのずから溶けて流れ出たかと思われるような夏の朝の瀬戸内海を渡り、それから汽車で半日も揺られて東海道を走った。
癩
(新字新仮名)
/
島木健作
(著)
柿色
(
かきいろ
)
の
集団
(
しゅうだん
)
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
国の方で
素枯
(
すが
)
れた
葱
(
ねぎ
)
なぞを吹いている年ごろの女が、ここでは
酸漿
(
ほおずき
)
を鳴らしている。渋い
柿色
(
かきいろ
)
の「けいし」を
小脇
(
こわき
)
にかかえながら、
唄
(
うた
)
のけいこにでも通うらしい小娘のあどけなさ。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
それでいて、十代の娘時分から、赤いものが大嫌いだったそうで、
土用
(
どよう
)
の
虫干
(
むしぼし
)
の時にも、私は
柿色
(
かきいろ
)
の
三升格子
(
みますごうし
)
や千鳥に
浪
(
なみ
)
を染めた
友禅
(
ゆうぜん
)
の
外
(
ほか
)
、何一つ花々しい
長襦袢
(
ながじゅばん
)
なぞ見た事はなかった。
監獄署の裏
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
柿色
(
かきいろ
)
に
蝶鳥
(
てうどり
)
を
染
(
そ
)
めたる
大形
(
おほがた
)
の
浴衣
(
ゆかた
)
きて、
黒襦子
(
くろじゆす
)
と
染分絞
(
そめわけしぼ
)
りの
晝夜帶
(
ちうやおび
)
胸
(
むね
)
だかに、
足
(
あし
)
にはぬり
木履
(
ぼくり
)
こゝらあたりにも
多
(
おほ
)
くは
見
(
み
)
かけぬ
高
(
たか
)
きをはきて、
朝湯
(
あさゆ
)
の
歸
(
かへ
)
りに
首筋
(
くびすぢ
)
白々
(
しろ/″\
)
と
手拭
(
てぬぐひ
)
さげたる
立姿
(
たちすがた
)
を
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
きっと円い竹の皮の
笠
(
かさ
)
を
冠
(
かむ
)
り
襟
(
えり
)
に番号をつけた
柿色
(
かきいろ
)
の
筒袖
(
つつそで
)
を着、二人ずつ鎖で腰を
繋
(
つな
)
がれた懲役人が、制服
佩剣
(
はいけん
)
の獄吏に指揮されつつ吹倒された板塀をば
引起
(
ひきおこ
)
し修繕しているのを見たものです。
監獄署の裏
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
それから囲炉裏ばたにかしこまって、主人らのしたくのできるのを待った。寿平次は留守中のことを
脇
(
わき
)
本陣の
扇屋
(
おうぎや
)
の主人、
得右衛門
(
とくえもん
)
に頼んで置いて、
柿色
(
かきいろ
)
の
地
(
じ
)
に
黒羅紗
(
くろらしゃ
)
の
襟
(
えり
)
のついた
合羽
(
かっぱ
)
を身につけた。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
“柿色”の解説
柿色(かきいろ)とは柿の果実のような鮮やかな朱赤のこと、江戸中期に登場した梅の木で染めた黄赤色を照柿色とも呼ぶ。歌舞伎用語では団十郎茶とも呼ばれる定式幕に使われる柿渋などで染めた赤茶色のことも柿色と呼ぶが、こちらは柿渋色の略称であり、柿の実の色である「柿色」とは異なる。
(出典:Wikipedia)
柿
常用漢字
中学
部首:⽊
9画
色
常用漢字
小2
部首:⾊
6画
“柿色”で始まる語句
柿色染
柿色割羽織