會得ゑとく)” の例文
新字:会得
汝はあたかも物を名によりてよく會得ゑとくすれども、その本質にいたりては人これを現はさゞれば知る能はざる者の如し 九一—九三
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
ロミオ わし無禮ぶれいをしたおぼえはない、いや、その仔細しさいわかるまではとて會得ゑとくのゆかぬほどわし足下きみあいしてゐるのぢゃ。
私達はどんなにそのめにもだえたでせう!その頃の風潮ふうてうからは、たゞ破壞はくわいをのみ會得ゑとくして、建設けんせつについては一部いちぶ一厘いちりんだにもまなぶことが出來できなかつたのです。
冬を迎へようとして (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
かれ自分じぶん學校生活がくかうせいくわつをしてゐるにもかゝはらず、あに日曜にちえうが、如何いかあににとつてたつといかを會得ゑとく出來できなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
もとよりいさゝかも無氣味と思ふ樣子もなければ、きたないと思ふ樣子も無い。眞個まツたく驚くべき入神の妙技で、此くしてこそ自然の祕儀が會得ゑとくせられようといふものである。
解剖室 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
信用の出來ない不完全な凡ての設備に馴らされた日本人は自然と其に對する方法をよく會得ゑとくして居るのだ。
新帰朝者日記 (旧字旧仮名) / 永井荷風(著)
女はこの二度目の詞の出ないうちに、男が何を云ふのであるかを會得ゑとくして居た。
計画 (旧字旧仮名) / 平出修(著)
自分じぶんのわからぬもの、會得ゑとくすることの出來できぬものを尊敬そんけいすることになる。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
私はそれをはつきりした實際的な形で會得ゑとくした。私は滿足して眠入ねいつた。
聞より相摸守殿はおそれながら左樣の仰聞おほせきけらるゝ計にては會得ゑとくつかまつり難し右には其御因縁そのごいんえんも候はんが其を委敷くはしく仰聞られくだされたしといふ其時そのとき伊賀亮少しくせきすゝみ相摸守殿に向ひ相摸守にはうへ御身分ごみぶん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
是においてか、情愛は會得ゑとくの作用にともなふがゆゑに、かれらのうちのうるはしき愛そのあつ微温ぬるさを異にす 一三九—一四一
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
ロレ おゝ、それは、そなたこひをば、會得ゑとくしてもゐぬことを、たゞ口頭くちさきたぐひぢゃと見拔みぬいてゐたためでもあらう。
別段べつだんさうするやうにひつけたわけではなかつたけれど、自然しぜん自然しぜんはゝ境遇きやうぐう會得ゑとくしてむすめ君子きみこは、十三になつた今年頃ことしごろから、一人前にんまへ仕事しごとにたづさはるのをたのしむものゝやうに
(旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
しかし僧侶そうりよ道士だうしふものにたいしては、何故なぜふこともなく尊敬そんけいねんつてゐる。自分じぶん會得ゑとくせぬものにたいする、盲目まうもく尊敬そんけいとでもはうか。そこで坊主ばうずいてはうとつたのである。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
汝既に要點を會得ゑとくす、されど聖なる寺院は誓ひよりき、わが汝にあらはしゝ眞理にそむくとみゆるがゆゑに 三四—三六
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
はやうせねばならぬ仔細わけを、なん會得ゑとくめされたか?
汝等の會得ゑとくの力は印象を實在よりとらへ來りて汝等のうちにあらはし魂をこれにむかはしむ 二二—二四
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
この故に汝會得ゑとくしうべし、未來の門の閉さるゝとともに我の知識全く死ぬるを 一〇六—一〇八
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)