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斯道
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しどう
ふりがな文庫
“
斯道
(
しどう
)” の例文
そして将軍家自身の熱心な実践と唱道も大きな素因となって、
斯道
(
しどう
)
の名人達人は、まさにこのときを陽春の
魁
(
さきがけ
)
として輩出した観がある。
剣の四君子:05 小野忠明
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そしてその前山さんが陶製上の予備知識を絶無とはいわないが殆どというも過言ではないほど
斯道
(
しどう
)
知識をもたれなかったこと。
素人製陶本窯を築くべからず:――製陶上についてかつて前山久吉さんを激怒せしめた私のあやまち――
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
あたかもこの時に当り小説家の
淵叢
(
えんそう
)
たりし
硯友杜
(
けんゆうしゃ
)
の才人元禄文学の研究と共にまた盛んに俳句を咏ぜしは
斯道
(
しどう
)
の復興に
与
(
あずか
)
つて
甚
(
はなはだ
)
力ありしなり。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
喜兵衛は
斯道
(
しどう
)
の研究者であるだけに、浜主の名を知っていた。
尾張
(
おわり
)
の
連
(
むらじ
)
浜主
(
はまぬし
)
はわが朝に初めて笛をひろめた人で斯道の開祖として仰がれている。
青蛙堂鬼談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
於此乎
(
ここにおいて
)
斯道
(
しどう
)
愛好者は宜しく冷静に熟慮反省して、決して人間界に於てこの声を発せず、換言すれば深山幽谷に去って哀猿悲鳥を共として吟ずるか
謡曲黒白談
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
▼ もっと見る
仁義礼智
(
じんぎれいち
)
などとは
斯道
(
しどう
)
の人にあらざれば
解
(
かい
)
し
能
(
あた
)
わぬ
倫理
(
りんり
)
として、
素人
(
しろうと
)
のあえて関せざる道理のごとくみなす
風
(
ふう
)
がある。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
事実をいへば余は英文学卒業の学士たるの故を以て選抜の上留学を命ぜらるるほど、
斯道
(
しどう
)
に精通せるものにあらず。
『文学論』序
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
こう云う風であるから真面目に熱心に
斯道
(
しどう
)
の研究をしようと云う考えはなく少しく名が出れば肖像でも画いて
黄白
(
こうはく
)
を
貪
(
むさぼ
)
ろうと云うさもしい奴ばかりで
根岸庵を訪う記
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
吉は、闇太郎のような、
斯道
(
しどう
)
の大先輩と、同じ部屋に坐っているのさえ幸福だ。まして、今、いれて出した茶を讃められて、ますます歓喜に堪えない。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
和尚この一喝の下に始めて大いに感悟するところあり、すなわち改めて滴水と号し、
爾来
(
じらい
)
斯道
(
しどう
)
に刻意すること久しく、いよいよますます一滴水の深味を体得す。
貧乏物語
(新字新仮名)
/
河上肇
(著)
コスモは古代および現代の武器については非常にくわしく、
斯道
(
しどう
)
の権威者とみとめられていた。ことに武器の使い方にかけては、学生仲間にも並ぶ者がなかった。
世界怪談名作集:16 鏡中の美女
(新字新仮名)
/
ジョージ・マクドナルド
(著)
心ばかりは、何かと
斯道
(
しどう
)
のために尽くしたいものであると思いおる次第であります。ついでながら今日の帝室技芸員で在京の人々の顔触れをいって置きましょう。
幕末維新懐古談:67 帝室技芸員の事
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
宗祇の忌日は、歿後も
斯道
(
しどう
)
において永く記憶され、時としては遠忌の実隆邸に催さるることもあった。
東山時代における一縉紳の生活
(新字新仮名)
/
原勝郎
(著)
今尚諸国を
経巡
(
へめぐ
)
りて、
斯道
(
しどう
)
の達人を求めおる次第、しかるに只今お聞きすれば、忍術の心得ござる
趣
(
おもむ
)
き、拙者にとっては何よりの幸い、なにとぞ拙者の
懇望
(
こんもう
)
を入れられ
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
欣々女史の書画——篆刻の
技
(
わざ
)
は、
素人
(
しろうと
)
のいきをぬけて、
斯道
(
しどう
)
の人にも認められていたのだ。
江木欣々女史
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
重い
鉄槌
(
てっつい
)
をふるう平鍛冶のやからなればこそ、これも道理とうなずけて、弥生は、こころからなる信頼のほほえみを禁じ得なかったと同時に、
斯道
(
しどう
)
に対する老人の熱意のまえには
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
職業作家になろうなどと思わず道楽として
斯道
(
しどう
)
に精進されるよう、おすすめしたい。
推理小説論
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
念の為め主人と私の関係を話して置くと、私の父は幼時に維新の
匆騒
(
そうそう
)
を越えて来たアマチュアの
有職故実
(
ゆうそくこじつ
)
家であったが、
斯道
(
しどう
)
に熱心で、研究の
手傅
(
てだす
)
けのため一人娘の私に絵画を習わせた。
東海道五十三次
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
更に勇猛心を振い興して
斯道
(
しどう
)
に力を尽そうと考えていた矢先であったので、それらの教員団体、並びに旧友であるところの柳原極堂、村上霽月、
御手洗不迷
(
みたらいふめい
)
らの諸君を病床に引きつけて
漱石氏と私
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
実に心細き時勢なれば
売弘
(
うりひろめ
)
などは出来ざるものと覚悟して出版然るべし、その費用の如きは迂老が
斯道
(
しどう
)
の為め又先人へ報恩の為めに
資
(
たす
)
くべしとて、持参したる数円金を出し懇談に及びしかば
蘭学事始再版之序
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
そこには
甘蠅
(
かんよう
)
老師とて
古今
(
ここん
)
を
曠
(
むな
)
しゅうする
斯道
(
しどう
)
の大家がおられるはず。老師の技に比べれば、我々の射のごときはほとんど
児戯
(
じぎ
)
に類する。儞の師と頼むべきは、今は甘蠅師の外にあるまいと。
名人伝
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
其後
斯道
(
しどう
)
の専門家たる新村出博士の研究によって、現在他には林若樹氏と新村氏との所蔵のみが世に知られて居るということを学んだが、此両大家に伍するを得たことは私の
窃
(
ひそか
)
に喜ぶ所であり
春水と三馬
(新字新仮名)
/
桑木厳翼
(著)
失明の後に始めて
味到
(
みとう
)
したいつもお師匠様は
斯道
(
しどう
)
の天才であられると口では云っていたもののようやくその真価が分り自分の
技倆
(
ぎりょう
)
の
未熟
(
みじゅく
)
さに比べて余りにも
懸隔
(
けんかく
)
があり過ぎるのに驚き今までそれを
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
ふと見ると、可愛いらしく着飾った十三くらいの女の子が、
斯道
(
しどう
)
の名手と一緒に踊っている。別に二人の
一組
(
イザイー
)
が、娘の前で踊っている。そして、壁ぎわの椅子には、娘の母親がかけているんです。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
みなケプロンの推薦で赴任した
斯道
(
しどう
)
一流の人士であった。
望郷:――北海道初行脚――
(新字新仮名)
/
服部之総
(著)
と赤石さんは
斯道
(
しどう
)
の最高権威をもって任じている。
ガラマサどん
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
柳剛流
(
りゅうごうりゅう
)
をよく使うことで、
斯道
(
しどう
)
のものに相当な敬意を払われている
湧井道太郎
(
わくいどうたろう
)
——四、五日まえに、柳川の使者についてきて徳島城にいあわせた。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
明治十一、二年頃なりし。神波即山君が官を罷めて
専
(
もっぱら
)
斯道
(
しどう
)
に従事せらるる事になり月に一、二回ずつ竜岡吟社に会を開き鷲津先生が詩経の講義あり。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
為
(
な
)
して著述せるものに御座
候
(
そろ
)
因
(
よ
)
って本書を
普
(
あまね
)
く一般の家庭へ製本実費に
些少
(
さしょう
)
の利潤を附して
御購求
(
ごこうきゅう
)
を願い一面
斯道
(
しどう
)
発達の一助となすと同時に又一面には
僅少
(
きんしょう
)
の利潤を
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
しかも維新後、能楽没落のただ中に黙々として
斯道
(
しどう
)
の
研鑽
(
けんさん
)
を怠らなかった。
梅津只円翁伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
其費用の如きは迂老が
斯道
(
しどう
)
の為め又先人へ報恩の為めに
資
(
たす
)
く可しとて、持参したる数円金を出し懇談に及びしかば、主人も迂老の志を
悦
(
よろこ
)
びいよ/\上木と決し、其頃は
固
(
もと
)
より活版とてはなく
蘭学事始再版序
(新字旧仮名)
/
福沢諭吉
(著)
危険を忘れてしまったのであろうか? これは
斯道
(
しどう
)
の平青眼、鋩子先を紋也の肩口へさしつけ、引くままに引かれて庭の奥へ、ジリリ、ジリリ、ジリリ、ジリリ、これも刻み足をして追って行く。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
かくは一つ
家根
(
やね
)
に住み、一つ
釜
(
かま
)
の御飯をたべ、時には苦労を共にし、また楽しみをも共にし、ひたすらお互いに
斯道
(
しどう
)
を励んだことで、今日といえども、私は既に七十有余の高齢に達しておりますが
幕末維新懐古談:79 その後の弟子の事
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
その小説について、
斯道
(
しどう
)
に関係ある我々の
見逃
(
みのが
)
し
能
(
あた
)
わざる特殊の現象が毎月刊行の雑誌の上に著るしく現れて来た。それは全体の小説が芸術的作品として、或る水平に達しつつあるという事実である。
文芸委員は何をするか
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
この
書
(
しょ
)
今に
到
(
いた
)
るもなほ
斯道
(
しどう
)
研究者
必須
(
ひっす
)
の参考書たり。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
“斯道”の意味
《名詞》
(学問や技芸などにおいて)その分野や方面。
仁義の道。人としての道。
(出典:Wiktionary)
斯
漢検準1級
部首:⽄
12画
道
常用漢字
小2
部首:⾡
12画
“斯”で始まる語句
斯
斯様
斯々
斯樣
斯波
斯界
斯学
斯程
斯般
斯民