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斑紋
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はんもん
ふりがな文庫
“
斑紋
(
はんもん
)” の例文
痣
(
あざ
)
のようにあった、うすい
錆
(
さび
)
の
斑紋
(
はんもん
)
も消えているし、血あぶらにかくれていた
錵
(
にえ
)
も、
朧夜
(
おぼろよ
)
の空のように、ぼうっと美しく現れていた。
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
死体には
鵜
(
う
)
の毛で突いた程の外傷もなく、
鬱血
(
うっけつ
)
も、
斑紋
(
はんもん
)
も、苦悶の跡も無いばかりでなく、毒物で殺したという疑も絶対にありません。
葬送行進曲
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
その
褐色
(
かっしょく
)
に黒い
斑紋
(
はんもん
)
のある胴中は、太いところで深い
山中
(
さんちゅう
)
の松の木ほどもあり、こまかい
鱗
(
うろこ
)
は、
粘液
(
ねんえき
)
で気味のわるい
光沢
(
こうたく
)
を放っていた。
爬虫館事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「いや大して沢山はない。
斑紋
(
はんもん
)
癩に
天疱瘡
(
てんほうそう
)
、断節癩に麻痺癩がある。
丘疹
(
きゅうしん
)
癩に眼球
癆
(
ろう
)
、獅子癩に
潰瘍
(
かいよう
)
癩、だがおおかたは混合する」
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
それに、彼の胸の
辺
(
あたり
)
の砂の上に、どす黒い
斑紋
(
はんもん
)
が浮出して、それがジリジリと、少しずつ拡がっている様に見えるではないか。
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
▼ もっと見る
水泳などに行って友だちや先輩の背中に妙な
斑紋
(
はんもん
)
が規則正しく並んでいて、どうかするとその内の一つ二つの
瘡蓋
(
かさぶた
)
がはがれて大きな穴が明き
自由画稿
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
その表に雨気のあるきららが浮いています。星は
河豚
(
ふぐ
)
の皮の
斑紋
(
はんもん
)
のように大きくうるんで、その一々の周囲の空を毒っぽく黄ばんでみせています。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
一番左の端にある遊園で、樹木のしげった弁天の
境内
(
けいだい
)
は、蝶の翅に置く唯一の美しい
斑紋
(
はんもん
)
とも言われよう。しかしその翅の大部分はまだ
田圃
(
たんぼ
)
と沼地だ。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
この辺には灰色の
斑紋
(
はんもん
)
あるナーという鹿が居りまして、多い所には二百疋も三百疋も谷間に群がって居るです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
動物のからだの
斑紋
(
はんもん
)
が周囲の有様によって変ることに注目して、その種類の変ってゆくことを考えたのです。
チャールズ・ダーウィン
(新字新仮名)
/
石原純
(著)
南国
(
なんこく
)
の空は
紺青
(
こんじょう
)
いろに晴れていて、蜜柑の茂みを
洩
(
も
)
れる日が、きらきらした
斑紋
(
はんもん
)
を、花壇の
周囲
(
まわり
)
の砂の上に印している。厩には馬の手入をする
金櫛
(
かなぐし
)
の音がしている。
鶏
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
巨獣の
斑紋
(
はんもん
)
のように二筋三筋キラリと光って、夏の富士にして始めて見るところの、
威嚇
(
いかく
)
的な紫色が、
抜打
(
ぬきうち
)
に稲妻でもひらめかしそうに、うつぼつと眉に迫って来る。
不尽の高根
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
首里
(
しゅり
)
からすぐ近い別荘の前の海で、手ずから
撈
(
すく
)
い
捕
(
と
)
られたものばかりというのに、名も附けきれないほどの何百という種類で、形よりも色と
斑紋
(
はんもん
)
の変化が目ざましく
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
そして何よりもナオミと違っていたところは、その皮膚の色の異常な白さです。白い下にうすい紫の血管が、大理石の
斑紋
(
はんもん
)
を
想
(
おも
)
わせるように、ほんのり透いて見える
凄艶
(
せいえん
)
さです。
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
それは
斑紋
(
はんもん
)
のあざやかなたくましい虎であったが、
隻方
(
かたほう
)
の眼が小さく
眇
(
すがめ
)
になっていた。
虎媛
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
大体表皮は厚くして「ふし」(
斑紋
(
はんもん
)
)が長い。深い山の中腹以上に育つ
樹
(
き
)
だという。
樺細工の道
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
そこからあふれ出た水がかわききった縁側板に丸い
斑紋
(
はんもん
)
をいくつとなく散らかして。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
白い
斑紋
(
はんもん
)
のある弾力性の皮膚をそなえている毛のないまっ裸の桃色の
蚯蚓
(
みみず
)
を。
ジャン・クリストフ:05 第三巻 青年
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
首筋から肩、肩から背中にかけて、紅色の大きな
痣
(
あざ
)
のような
斑紋
(
はんもん
)
がぽつりぽつりと一面にできているのだ。裸体になって見ると色の白い彼の肌にそれは
牡丹
(
ぼたん
)
の花弁のようにバッと
紅
(
あか
)
く浮き上っている。
癩
(新字新仮名)
/
島木健作
(著)
三十五六歳の、
無髥
(
むぜん
)
の男だ。これという特徴もない。その顔の所々に、熱い蝋にやけどをして、異様な
斑紋
(
はんもん
)
が現れている。
吸血鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
その表に雨気のあるきらゝが浮いています。星は河豚の皮の
斑紋
(
はんもん
)
のように大きくうるんで、その一々の周囲の空を毒っぽく黄ばんで見せています。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
ところどころ無氣味な
斑紋
(
はんもん
)
はありますが、それも大したこともなく、見た感じは、それほど
醜
(
みにく
)
くもなつて居りません。
銭形平次捕物控:023 血潮と糠
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
梨
(
なし
)
の葉に病気がついて黄色い
斑紋
(
はんもん
)
ができて、その黄色い部分から一面に毛のようなものが
簇生
(
ぞくせい
)
することがある。
自由画稿
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
殺人であって自殺ではないことは、
後
(
のち
)
に隧道の中から探し出された
轢断屍体
(
れきだんしたい
)
の
咽喉部
(
いんこうぶ
)
に残る紫色の
斑紋
(
はんもん
)
から明らかなことだった。
扼殺
(
やくさつ
)
——つまり喉を締めたのだ。
キド効果
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
あざやかな
斑紋
(
はんもん
)
、がっしりと太い
四肢
(
しし
)
、生きているような長い
尻尾
(
しっぽ
)
、まっ青に光る両眼、もう見違いはない。
豹
(
ひょう
)
だ。豹が野放しで歩いているのだ。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
それはこの部屋にはむしろ不似合なほどの大
暖炉
(
ストーブ
)
だった。まわりは黒と
藍
(
あい
)
との
斑紋
(
はんもん
)
もうつくしい大理石に囲われて居り、大きなマントルピースの上には、置時計その他の雑品が並んでいた。
蠅男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
黄色に黒く
斑紋
(
はんもん
)
美しい
猛虎
(
もうこ
)
と、まっ黒な大熊とが、双方
後肢
(
あとあし
)
で立ち上がって、お互いの肉に鋭い
爪
(
つめ
)
をうち込みながら、まっ赤な口、まっ白な
牙
(
きば
)
を
咬
(
か
)
み合わせ
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
本当の品川は真面目顔、もう一つの方はニヤリと笑って、無修正の、ボタボタと
斑紋
(
はんもん
)
をなした陰影が、暗闇の二人に向って、ニューッと迫って来る感じだった。
猟奇の果
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
明智は
大切
(
だいじ
)
相に麻のハンカチを解いて、色々な形の
瓶
(
びん
)
だとか、ニッケル製の容器だとかを、そこに並べた。それらの
滑
(
なめら
)
かな表面には沢山の黒い
斑紋
(
はんもん
)
が現れていた。
一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
彼らは人間の白毛染め薬を用いて、豹の
斑紋
(
はんもん
)
を巧みに染めつなぎ、動物のからだ一面に
虎斑
(
とらふ
)
を描き上げたのだ。人々は豹を探している。虎を探しているのではない。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
照子は顔から胸から壁の様に白粉を塗られて、
殆
(
ほとん
)
ど皮膚の生地は見えぬ程になっていたが、それでも、白粉のひび割れた箇所、手足などに、毒々しく、紫色の
斑紋
(
はんもん
)
が現われていた。
恐怖王
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
ガラス板の
外
(
そと
)
に、彼女を送迎する魚類の夥しさ、その鮮かさ、気味悪さ、そして又美しさ、
雀鯛
(
すずめだい
)
、
菱
(
ひし
)
鯛、
天狗
(
てんぐ
)
鯛、
鷹羽
(
たかのは
)
鯛、あるものは、
紫金
(
しこん
)
に光る縞目、あるものは絵の具で染め出した様な
斑紋
(
はんもん
)
パノラマ島綺譚
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
その金色のからだに、黒い
斑紋
(
はんもん
)
が、いっぱいならんでいます。
黄金豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
“斑紋”の意味
《名詞》
斑 紋(はんもん)
まだらの模様。
(出典:Wiktionary)
斑
常用漢字
中学
部首:⽂
12画
紋
常用漢字
中学
部首:⽷
10画
“斑紋”で始まる語句
斑紋裡