敬意けいい)” の例文
彼等かれらはそのことをあからさまに見せつけたが、彼は気づかない様子ようすで、彼等に深い敬意けいいをしめしていた。そのため、二人の気持きもちはいくらかやわらいだ。
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
近頃ちかごろ仕合しあはせなあたらしい麻雀マアジヤン好きの面面めんめんはすべからくそれ諸賢しよけん敬意けいいさゝげてしかるべきかもれない。
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
これをきくと、清作せいさくさんは、はじめてるこのひとにたいして、かぎりなきなつかしさと敬意けいいひょうせずにいられません。しぜんとそのひとまえあたまがるのをかんじました。
村へ帰った傷兵 (新字新仮名) / 小川未明(著)
かれはらなかかんがへながら、宜道ぎだう面前めんぜんで、それだけことちからがなかつた。かれこゝろからこのわか禪僧ぜんそう勇氣ゆうき熱心ねつしん眞面目まじめ親切しんせつとに敬意けいいへうしてゐたのである。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
訪問ほうもんして敬意けいいへうしておくのも無意義むいぎではなからうとおもつてゐたのであつた。
微笑の渦 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
いへ引取ひきとつた小六ころくさへはらそこではあに敬意けいいはらつてゐなかつた。二人ふたり東京とうきやうたてには、單純たんじゆん小供こどもあたまから、正直しやうぢき御米およねにくんでゐた。御米およねにも宗助そうすけにもそれがわかつてゐた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
そのころおう直接ちよくせつ撮影塲さつえいぜうに出るといふやうなことはなかつたが、あたまのすつかり銀髮ぎんはつになつた、ひたいひろい、あごの角張かどはつたおうかほを、この人が寫眞しやしん元祖ぐわんそだといふ風な一しゆ敬意けいいを以てながめたことが
MK私達わたしたちまえに、さきうつくしいひとならんでゐて、元気げんきよくしきり茶目振ちやめふり発揮はつきしてゐた。わたしかれくものに敬意けいいをもつてゐたがつてみるとまたくものとはちがつた、べつ意味いみしたしさがかんじられた。
微笑の渦 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)