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愈〻
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いよいよ
ふりがな文庫
“
愈〻
(
いよいよ
)” の例文
方々
彷徨
(
さまよ
)
ったあげくに、このまま帰宅してはどうにも引込みのつかない落莫たる思いがたかまり、
愈〻
(
いよいよ
)
小笠原を訪ねる決心を堅めると
小さな部屋
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
愈〻
(
いよいよ
)
中国出陣の日も近いにちがいないと感じたので、姫路へ帰る予定を急に
更
(
か
)
えて、単身その脚で山陰へ廻ったものであった。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
『これで
愈〻
(
いよいよ
)
、
後生
(
ごしやう
)
も悪くはないやうなものだ』などと云ひ云ひ、石段を下りて無明の橋のへんに差しかかつた頃であつた。
仏法僧鳥
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
愈〻
(
いよいよ
)
日常を単純にしようと思うの。生活の様々な経験はそういうためにいつしか大変私のためになっているのが愉快です。
獄中への手紙:03 一九三六年(昭和十一年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
芳子にはこの時雄の教訓が何より意味があるように聞えて、渇仰の念が
愈〻
(
いよいよ
)
加わった。
基督
(
キリスト
)
教の教訓より自由でそして権威があるように考えられた。
蒲団
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
▼ もっと見る
愈〻
(
いよいよ
)
出かけて行けば、生半可な好加減なことが出来ぬ、力の出せるだけ出す、結果のよしあしなど考えて居られぬ
楞迦窟老大師の一年忌に当りて
(新字新仮名)
/
鈴木大拙
(著)
勢
(
いきおい
)
を得た
山名
(
やまな
)
方は九月
朔日
(
ついたち
)
つひに
土御門万里
(
つちみかどまで
)
の小路の三宝院に火をかけて、ここの陣所を奪ひとり、
愈〻
(
いよいよ
)
戦火は
内裏
(
だいり
)
にも室町殿にも及ばう勢となりました。
雪の宿り
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
そんなこんなで私は
愈〻
(
いよいよ
)
イヤ気がさして、二七日の日に一と晩泊りで帰省した折、「そのうち会社を罷めるかも知れない」と、叔父に
洩
(
も
)
らしたくらいでした。
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
利生
(
りしょう
)
相見
(
あいみ
)
え豊年なれば、
愈〻
(
いよいよ
)
その
瑞気
(
ずいき
)
を慕ひて
懈怠
(
けたい
)
無く祭り
来
(
きた
)
り候。いま村にて
世持役
(
よもちやく
)
と申す役名も、是に
準
(
なぞ
)
らへて祈り申す由に候。但し
此時
(
このとき
)
由来伝へ
噺
(
はなし
)
有之
(
これあり
)
候也(以上)
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
粋
(
すい
)
ほど迷う道多くて自分ながら思い分たず、うろ/\する
内
(
うち
)
日は
消
(
たち
)
て
愈〻
(
いよいよ
)
となり、
義経袴
(
よしつねばかま
)
に
男山
(
おとこやま
)
八幡
(
はちまん
)
の守りくけ込んで
愚
(
おろか
)
なと
笑
(
わらい
)
片頬
(
かたほ
)
に
叱
(
しか
)
られし
昨日
(
きのう
)
の声はまだ耳に残るに、今
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
幼稚な正岡が其を振り廻すのに恐れを
為
(
な
)
していた程、こちらは
愈〻
(
いよいよ
)
幼稚なものであった。
正岡子規
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
愈〻
(
いよいよ
)
だ! 健は恐ろしいような、心臓のあたりをくすぐられるような気持になっていた。
不在地主
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
珠
(
たま
)
のようだといわれたその肌は、
年増盛
(
としまざか
)
りの
愈〻
(
いよいよ
)
冴
(
さ
)
えて、わけてもお旗本の
側室
(
そくしつ
)
となった身は、どこか昔と違う、お屋敷風の品さえ
備
(
そな
)
わって、
恰
(
あたか
)
も
菊之丞
(
きくのじょう
)
の
濡衣
(
ぬれぎぬ
)
を見るような
凄艶
(
せいえん
)
さが
溢
(
あふ
)
れていた。
歌麿懺悔:江戸名人伝
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
三たび用ひて
愈〻
(
いよいよ
)
工
(
たくみ
)
。詩の窮り無きを信ず。(老学庵筆記、巻十)
放翁鑑賞:07 その七 ――放翁詩話三十章――
(新字旧仮名)
/
河上肇
(著)
手を取られて、苫の中に入りましたものの、お蝶は屋根の低い小舟の中の
世帯
(
しょたい
)
をながめて、
愈〻
(
いよいよ
)
、腑に落ちない顔つきです。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
禅僧は思案にくれたあげく、医者のところへ
金策
(
きんさく
)
にでむいた。医者の方では
愈〻
(
いよいよ
)
坊主も発狂したんじゃあるまいかと薄気味わるくなったぐらいのものである。
禅僧
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
若い二人の恋が
愈〻
(
いよいよ
)
人目に余るようになったのはこの頃であった。時雄は監督上見るに見かねて、芳子を
説勧
(
ときすす
)
めて、この
一伍一什
(
いちぶしじゅう
)
を故郷の父母に報ぜしめた。
蒲団
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
呼吸しなければならないことも
愈〻
(
いよいよ
)
明瞭となっているし、来年は、大変たのしみです。
獄中への手紙:05 一九三八年(昭和十三年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
八月になりますと
漸
(
ようや
)
く藤ノ森や
深草
(
ふかくさ
)
のあたりに
戦
(
いくさ
)
の気配が熟してまゐり、さてこそ
愈〻
(
いよいよ
)
東山にも
嵯峨
(
さが
)
にも火のかかる時がめぐつて来たと、わたくしどもも
私
(
ひそ
)
かに心の用意を致してをりますうち
雪の宿り
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
愈〻
(
いよいよ
)
雪子に対して済まなく感じられて来るのであった。
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
のみならず、あの一敗を口惜しがって、母子してここまで自分の後を慕って来たところを見ると、
愈〻
(
いよいよ
)
、負けずぎらいな母子の恨みの程が怖ろしい。
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
絶望なぞと一口に言っても、もともと言いたてるほどの望みすらないところへ、それが
愈〻
(
いよいよ
)
絶えたとなると一体どういう
澱
(
よど
)
みきった空しさだけが残るだろうか
禅僧
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
芳子は
愈〻
(
いよいよ
)
困ったという風で、「止めてはやりますけれど、手紙が行違いになるかも知れませんから」
蒲団
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
野上さん
愈〻
(
いよいよ
)
彼女の外へ外へと行く傾向に失望したらし。六年目の対面であった。
日記:09 一九二三年(大正十二年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
零落
(
れいらく
)
した旧主に高利の金を貸し、その
抵当
(
かた
)
に、旧主の家族を追い出して、旧主の家にそちが住んでみい、世間はそちを、
愈〻
(
いよいよ
)
、悪鬼か
蛇蝎
(
だかつ
)
のようにいうぞ
鍋島甲斐守
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼は
愈〻
(
いよいよ
)
蒼白となって空気を舐めるような格好をしながら胸苦しさを押えているようであったが、やおら立ち上って麻油の腰に
縋
(
すが
)
りつくと、自分の方でずどんとぶっ倒れて
小さな部屋
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
愈〻
(
いよいよ
)
閉口です。でも何とかして折々息吸いにゆきたいとは思って居ります。
獄中への手紙:07 一九四〇年(昭和十五年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
それから第二期の——大坂落城と世間の
趨勢
(
すうせい
)
を見ては、
愈〻
(
いよいよ
)
彼自身の向う道も、胸底に決していたに違いない。
随筆 宮本武蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
おそらく「作家の感想」は
愈〻
(
いよいよ
)
感想に止っているでしょうし。
獄中への手紙:07 一九四〇年(昭和十五年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
愈〻
(
いよいよ
)
、知れないとなると、城太郎はまた、ベソを掻き出したが、ちょうど今朝は、大蔵が旅立ちの日なので
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それをぐっともって重く
愈〻
(
いよいよ
)
慎重にと進んでゆくあの気持。
獄中への手紙:04 一九三七年(昭和十二年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
こちらの文のお返しに、白紙など
遣
(
よ
)
こされて、なんとも小憎い一座ではある。このまま黙って引っ込んでいては、
愈〻
(
いよいよ
)
、あの
公達輩
(
きんだちばら
)
をよい気にさせて置くようなもの。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
さて
愈〻
(
いよいよ
)
十七日の物語り。
獄中への手紙:09 一九四二年(昭和十七年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
母のすることを見——又八の変り方を見て来て——彼女は自分が最初から心のうちで、武蔵の方を選んでいたことが間違いでなかったことに、
愈〻
(
いよいよ
)
信頼を深くしていた。
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
罵
(
ののし
)
るために、往来はよけい足を止め、また
愈〻
(
いよいよ
)
、笑い声を増すことが、お杉婆には分らぬらしい。
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
念のために、万太郎がもう一応こう言ってみましたが、相手が立ち竦んだまま返辞もせぬので、さてこそ、
愈〻
(
いよいよ
)
うさんくさい曲者と、いきなり相手へ向って飛びかかりました。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
どんと
舳
(
みよし
)
を寄せて来たのは、これも今では、四十男の分別ざかりとなりながら、今もって、いや
愈〻
(
いよいよ
)
もって、自分を悪党の一人前に仕立てすました阿能十こと、阿能十蔵であった。
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼には
愈〻
(
いよいよ
)
、世間から超然とした学識が蓄えられた。ひそかに誇るところが高かった。
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
真雄へお
吩咐
(
いいつ
)
け下さるようにとお願いしておいたところ、快く御承諾で、其後、大小一揃い、真雄方へ、御註文があったという知らせで、わしも
面目
(
めんぼく
)
を施し、真雄に取っても、
愈〻
(
いよいよ
)
山浦清麿
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
京を立つ朝、馬には乗った事もないから恐いなどと云っていた事を考え合せると、
愈〻
(
いよいよ
)
もって、この豹の子は油断がならない。下手をしたら手を噛まれるぞと、警戒を抱きはじめた。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そして、城主別所小三郎以下の切腹と開城とは、
愈〻
(
いよいよ
)
、正月十七日と決定した。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その武蔵が、
愈〻
(
いよいよ
)
、小倉へ向って立つということを、きのう九度山で聞いた。
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
富士川の
渡舟
(
わたし
)
にかかると、
愈〻
(
いよいよ
)
追い越された
距
(
ひら
)
きは取り戻せなくなった。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と
愈〻
(
いよいよ
)
、大君の
防人
(
さきもり
)
たる
武士
(
もののふ
)
の本道を意志につよめて、同時に
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「猿! そちは
愈〻
(
いよいよ
)
、おれの一刀を、細首に望んでいるのか」
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
三平は、土を
被
(
かぶ
)
せられて、
愈〻
(
いよいよ
)
感情的に
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
『あっ……では
愈〻
(
いよいよ
)
……今日! 今日!』
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「あすは、
愈〻
(
いよいよ
)
、十七日」
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
愈〻
(
いよいよ
)
、外濠へ出た。
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
愈〻
(
いよいよ
)
いかん」
三国志:03 群星の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
愈
漢検準1級
部首:⼼
13画
〻
“愈〻”で始まる語句
愈〻新
愈〻甚
愈〻道