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怒罵
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どば
ふりがな文庫
“
怒罵
(
どば
)” の例文
もしか
敵役
(
かたきやく
)
でも出ようものなら熱誠を
籠
(
こ
)
めた
怒罵
(
どば
)
の声が場内に
充満
(
いっぱい
)
になる不秩序な
賑
(
にぎ
)
やかさが心も
躍
(
おど
)
るように思わせたのに違いない。
山の手の子
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
己は自分の隣に座を占めて、頻りに
怒罵
(
どば
)
を浴びせて居た一人の酔漢が、黒ん坊の姿を見ると、首をちゞめて小さくなってしまったのに心付いた。
小僧の夢
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
彼は
途々
(
みちみち
)
この
一言
(
いちごん
)
を胸に
幾度
(
いくたび
)
か繰返した、そして一念
端
(
はし
)
なくもその夜の先生の
怒罵
(
どば
)
に触れると急に足が
縮
(
すく
)
むよう思った。
富岡先生
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
瓜
(
うり
)
を投じて
怒罵
(
どば
)
するの語、其中に機関ありと
雖
(
いえど
)
も、又
尽
(
ことごと
)
く
偽詐
(
ぎさ
)
のみならず、
本
(
もと
)
より真情の人に
逼
(
せま
)
るに足るものあるなり。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
けれど、市助には、秀吉の
怒罵
(
どば
)
が、そのまま、秀次という姉の子にたいしての、実は、大きな愛の現われ——に聞えた。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
浅瀬はしゃんしゃんと
飛沫
(
ひまつ
)
を切り、かくて河を三分の一あたりまで突破して来た時に、後ろから、かなりの
狼狽
(
ろうばい
)
と
怒罵
(
どば
)
とを含んだ叫び声が起りました。
大菩薩峠:37 恐山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
その説常に講究する所にして、
具
(
つぶさ
)
に対策に載するが如し。ここを以て幕吏といえども甚だ
怒罵
(
どば
)
すること
能
(
あた
)
わず。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
止むを得ず大次郎も、腰の女髪兼安に、暮れ近い薄日を映えさせて、時ならぬ剣林、
怒罵
(
どば
)
、踏み切る跫音、気合いの声、相打つ
銀蛇
(
ぎんだ
)
、呼吸と、燃える眼と——。
煩悩秘文書
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
成経 野武士らはわしの
懇願
(
こんがん
)
を
下等
(
かとう
)
な
怒罵
(
どば
)
をもって拒絶した。そして扉を破って
闖入
(
ちんにゅう
)
し、
武者草鞋
(
むしゃわらじ
)
のままでわしの
館
(
やかた
)
を
蹂躪
(
じゅうりん
)
した。わしはすぐに飛び出て馬車に乗った。
俊寛
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
嬉笑
(
きしょう
)
にも相感じ
怒罵
(
どば
)
にも相感じ、愉快適悦、不平
煩悶
(
はんもん
)
にも相感じ、気が気に通じ心が心を
喚起
(
よびおこ
)
し決して
齟齬
(
そご
)
し
扞格
(
かんかく
)
する者で無い、と今日が日まで文三は思っていたに
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
母の
怒罵
(
どば
)
をさける為と、万一を心頼みにして、「やっぱり合宿かなア。もう一度、捜してくらア」
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
「だから貴様達は馬鹿だと云ふんだ」突如落雷の如き
怒罵
(
どば
)
の声は一隅より起れり、
衆目
(
しゆうもく
)
驚いて之に
注
(
そゝ
)
げば、
未
(
いま
)
だ
廿歳前
(
はたちぜん
)
らしき
金鈕
(
きんボタン
)
の書生、
黙誦
(
もくじゆ
)
しつゝありし洋書を握り固めて
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
九万ハ性放誕
不羈
(
ふき
)
、
嗜酒任侠
(
ししゅにんきょう
)
、
動
(
やや
)
モスレバ
輙
(
すなわ
)
チ連飲ス。数日ニシテ止ムヲ知ラズ。ヤヽ意ニ当ラザレバ
則
(
すなわ
)
チ狂呼
怒罵
(
どば
)
シテソノ座人ヲ
凌辱
(
りょうじょく
)
ス。マタ甚生理ニ
拙
(
つたな
)
シ。家道日ニ日ニ
艱
(
くる
)
シム。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
僕の耳には
亡父
(
なきちち
)
の
怒罵
(
どば
)
の声が聞こえるのです。僕の
眼
(
め
)
には疲れ
果
(
はて
)
た
身体
(
からだ
)
を起して、何も知らない無心の子を
擁
(
いだ
)
き、男泣きに泣き
給
(
たも
)
うた様が見えるのです。
運命論者
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
受けよう
怒罵
(
どば
)
も
打擲
(
ちょうちゃく
)
も辞する所にあらずという
覚悟
(
かくご
)
の上で来たのであったがそれでも長く
堪
(
た
)
え
忍
(
しの
)
んだ者は少く大抵は
辛抱
(
しんぼう
)
出来ずにしまった
素人
(
しろうと
)
などはひと月と続かなかった。
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
いかに
孟賁烏獲
(
もうほんうかく
)
の腕力に富むもその勢いを制するを得んや。ローマ社会の文弱に
趨
(
おもむ
)
くや、いかに老カトーがこれを
怒罵
(
どば
)
し、これを
叱咤
(
しった
)
し、その
鉄鞭
(
てつべん
)
を飛ばすもこれをいかんせんや。
将来の日本:04 将来の日本
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
「
止
(
や
)
めい、止めろ」と叫びざま、オォルを投げだすや、振返って、ぼくを
睨
(
ね
)
めつけ、「貴様、一人で、バランスを
毀
(
こわ
)
していやがる。そんなに女が気になるか」ぼくには一言もない
怒罵
(
どば
)
でした。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
面
(
おもて
)
もふらず、佐久間勢の槍隊のうちへ、これも多くは槍を
揮
(
ふる
)
ッて突入した。からみ合う長槍の響きは、
怒罵
(
どば
)
、
絶叫
(
ぜっきょう
)
、馬のいななきと入り交じって、それら
悉
(
ことごと
)
くが、血の音、血の声と聞かれた。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一、
吾
(
われ
)
性激烈、
怒罵
(
どば
)
に短し、務めて時勢に従い人情に適するを主とす〔それ
然
(
しか
)
り、
豈
(
あ
)
にそれ然らんや〕。ここを以て吏に対して幕府違勅の
已
(
や
)
むを得ざるを陳じ、
然
(
しか
)
る後当今的当の処置に及ぶ。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
笑声
嬉々
(
きき
)
としてここに起これば、歓呼
怒罵
(
どば
)
乱れてかしこにわくというありさまで、売るもの買うもの、
老若男女
(
ろうにゃくなんにょ
)
、いずれも忙しそうにおもしろそうにうれしそうに、駆けたり追ったりしている。
忘れえぬ人々
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
もって聞えていたことは前述のごとくややもすれば
怒罵
(
どば
)
が飛び手が伸びた教える方も盲人なら教わる方も盲人の場合が多かったので師匠に
叱
(
しか
)
られたり打たれたりする度に少しずつ後ずさりをし
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
流しふうふう云い出した元来が自分免許の芸でおだてられているうちはよいが意地悪く
突
(
つ
)
っ
込
(
こ
)
まれたらアラだらけであるそこへ
無遠慮
(
ぶえんりょ
)
な
怒罵
(
どば
)
が飛ぶから稽古に事寄せて
隙
(
すき
)
もあらばと云うようなだらけた心では
辛抱
(
しんぼう
)
しきれず次第に横着になりいくら熱心に教えてもわざと気のない弾き方を
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
怒
常用漢字
中学
部首:⼼
9画
罵
常用漢字
中学
部首:⽹
15画
“怒罵”で始まる語句
怒罵喧噪