“金鈕”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
きんボタン71.4%
きんぼたん28.6%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
たまたまこの家の前を通りかかった、髪の毛の長い画学生は細長い絵の具箱を小脇こわきにしたまま、同じ金鈕きんボタンの制服を着たもう一人の画学生にこう言ったりした。
玄鶴山房 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「だから貴様達は馬鹿だと云ふんだ」突如落雷の如き怒罵どばの声は一隅より起れり、衆目しゆうもく驚いて之にそゝげば、いま廿歳前はたちぜんらしき金鈕きんボタンの書生、黙誦もくじゆしつゝありし洋書を握り固めて
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
金鈕きんぼたんの服を着た黒人が一人大きい太鼓を打っている。この黒人も亦いつの間にか一本の樟の木に変ってしまう。
誘惑 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
一寸見ちょっとみには、かの令嬢にして、その父ぞとは思われぬ。令夫人おくがた許嫁いいなずけで、お妙は先生がいまだ金鈕きんぼたんであった頃の若木の花。夫婦ふたりの色香を分けたのである、とも云うが……
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)