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完
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まっと
ふりがな文庫
“
完
(
まっと
)” の例文
余はこの時立ちながら心の
中
(
うち
)
で、要するに千山行を撤回した方が、馬術家としての余の名誉を
完
(
まっと
)
うする
所以
(
ゆえん
)
ではなかろうかと考えた。
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
完
(
まっと
)
うするように計っている——とは聞かされてもいるが、頼朝としては何となく今以て、甚だその人に会い辛い心地にあるのだった。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
公の「遊戯」に関係した男女で無事に生命を
完
(
まっと
)
うしたものは
稀
(
まれ
)
であるのに、道阿弥が死を
免
(
まぬか
)
れたのは甚だ幸運と云わざるを得ない。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
人間には智識あり、愛情あり、その他何から何まで具備しているを見れば、必ずそれだけでは人生を
完
(
まっと
)
うしたということが出来ぬ。
教育の目的
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
裸体を回想として近接の過去にもち、あっさりした
浴衣
(
ゆかた
)
を
無造作
(
むぞうさ
)
に着ているところに、媚態とその形相因とが表現を
完
(
まっと
)
うしている。
「いき」の構造
(新字新仮名)
/
九鬼周造
(著)
▼ もっと見る
「金の代りに生きているようなものだね。よし/\、
済
(
な
)
しくずしに天命を
完
(
まっと
)
うする算段をするさ。いよ/\
真実
(
ほんとう
)
にやめるかな」
一年の計
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
一首は、
豊腴
(
ほうゆ
)
にして荘潔、
些
(
いささか
)
の渋滞なくその歌調を
完
(
まっと
)
うして、日本古語の優秀な特色が
隈
(
くま
)
なくこの一首に出ているとおもわれるほどである。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
愛あるが故に、個性の充実を
完
(
まっと
)
うして時ならざるに死ぬ人がある。然しながら
所謂
(
いわゆる
)
定命の死、不時の死とは誰が完全に決めることが出来るのだ。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
彼女はたぶん身をまもることを知っているし、同時にビジネスを
完
(
まっと
)
うすることも知っているね。なぜなら彼女はボクと同じぐらい頭脳優秀だからさ
現代忍術伝
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
「黙らぬ、いうだけのことはいうのじゃ、武士の
本文
(
ほんもん
)
によって、二君に仕えず、
清節
(
せいせつ
)
を
完
(
まっと
)
うする外にお互いの途はない」
討たせてやらぬ敵討
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
今日、某、訴人したる罪を負うて、自裁なされますなら、その最期の潔さ、それこそ、調所殿の一生を
完
(
まっと
)
うするものに、ござりましょう。さて——
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
しかしわたくしはよしや多少の困難があるにしても、書かんと欲する事だけは書いて、この稿を
完
(
まっと
)
うするつもりである。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
このときの少女と私は夫婦になり、今は孫も大勢出来て、何不自由なく天寿を
完
(
まっと
)
うして、今は神の国へ行くのだ、——とウラシベツの酋長が物語った。
えぞおばけ列伝
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
なぜなら自力の作家たちが容易に成し遂げ得ないものを、他力の工人たちは、平易に
完
(
まっと
)
うしている場合が、如何に多いかを目前に見るからであります。
益子の絵土瓶
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
今こそ有終の美を
完
(
まっと
)
うし得られたので、殿下の御機嫌さこそと、恐多いことながら私共までも非常に嬉しかった。
朝香宮殿下に侍して南アルプスの旅
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
第二は上書して私は身を
完
(
まっと
)
うすることが出来ても、他の人々に害を及ぼす憂いがあれば断じて上書しません。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
中止させようと努めたところ、中斎がそれを
諾
(
き
)
かなかったので、矩之丞は断念し、大塩中斎の党から脱し、身を
完
(
まっと
)
うしたとそういうのが、一番真相に近いらしい。
前記天満焼
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
そこで僕は今、この話を書く事によって、新小説の
編輯者
(
へんしゅうしゃ
)
に対する僕の寄稿の
責
(
せめ
)
を
完
(
まっと
)
うしようと思う。
西郷隆盛
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
ウェリントンが初めに戦っていなかったならば、彼も終局を
完
(
まっと
)
うすることはできなかったはずである。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
浮雲の塵欲に惑わされず、一日も早く仏門に入って悠々と天寿を
完
(
まっと
)
うなされと書いてある。……ここに捨蔵さまの絵姿もあるから、なにとぞ、よろしくおたのみもうす
顎十郎捕物帳:01 捨公方
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
真に憲政の花と実とを
完
(
まっと
)
うするのは、決して遠き将来で無いと我輩深く信じて疑わないのである。
東洋学人を懐う
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
しかし汚職で建てた蔵は、やがてつぶれるにきまっており、少なくとも終を
完
(
まっと
)
うした例はない。
江戸の昔を偲ぶ
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
諸々の勤めもとうてい
完
(
まっと
)
う出来ないこと、何とか足を抜き人目を避けなければならぬと考え、きょう一日だけ通い、明日は控えようという心に誓っても、その明日が来れば
花桐
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
◯しかも
遂
(
つい
)
に最大の災がヨブに臨むに至った。そは彼の妻の離反である。「時にその妻彼に言いけるは、汝はなおも己を
完
(
まっと
)
うして
自
(
みずか
)
ら堅くするや神を詛いて死ぬるに
如
(
し
)
かず」
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
子路はちょっと顔を
曇
(
くも
)
らせた。夫子のした事は、ただ形を
完
(
まっと
)
うするために過ぎなかったのか。形さえ
履
(
ふ
)
めば、それが実行に移されないでも平気で済ませる程度の義憤なのか?
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
その時箕島が、その理由を説明すればよかったであろうに、箕島は三人の生命を
完
(
まっと
)
うしなければならぬという方に気をとられ、いきなり卓上電燈のスイッチをひねって灯を消しました。
稀有の犯罪
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
大いなる祝福は、かならず大いなる信仰と大いなる努力を通して
完
(
まっと
)
うされる。
最も楽しい事業
(新字新仮名)
/
羽仁もと子
(著)
この貴重なる源泉の純潔を
完
(
まっと
)
うしようとしているし、そのことは即ち、歴史性の上で歪んだ足どりを不可能にしているというところに、なみなみならぬ意味があると信じているのですから。
獄中への手紙:05 一九三八年(昭和十三年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
かくて一汁三菜の献立は彼に於て
完
(
まっと
)
うしたつもりである。
食魔
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
あわせて彼は、父織田信秀の、皇室中心の
祖承
(
そしょう
)
をも
完
(
まっと
)
うしたものといえよう。まぎれなく、忠誠と臣道において、織田父子も、二代をかけた。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
夫婦の愛はその一つを代表するものだから、人間は是非結婚をして、この幸福を
完
(
まっと
)
うしなければ天意に
背
(
そむ
)
く訳だと思うんだ。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
しかるにはびこるほうからいえば、これ自己の天職を
完
(
まっと
)
うし、
伸
(
の
)
びるのである。ゆえに天より見れば彼らは悪い者でない。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
あゝ、それで安心しましたと、私は云った、———それまでにして私の貞節を
完
(
まっと
)
うさせて下さるのを有難く思います。
鍵
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
此方面の山は赤羽台よりも寧ろ凌雲閣の方が
能
(
よ
)
く望まれるようである。此等は他日或は補足して東京から見ゆる山岳の展望観を
完
(
まっと
)
うしたいと思っている。
望岳都東京
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
むしろ、逃げられたあなたは、あなた自身の責任を感じ、あわせて、彼女を無事保管の任を
完
(
まっと
)
うせるぼくに向って感謝の意を表して然るべきではないですか。
街はふるさと
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
恐らく愛が他を益する時その作用を
完
(
まっと
)
うし得るという既定の観念に制せられているのを現わしているようだ。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
(五) 工藝において美が労働と結合するなら、労働の運命を担う大衆が、
相応
(
ふさわ
)
しい工藝の作者である。否、民衆ならでは工藝の美を
完
(
まっと
)
うすることができない。
工芸の道
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
逢うてこうこういう話をしていろいろ
鄭重
(
ていちょう
)
な品物をくれたばかりでなく
菩提薩埵
(
ボーデサッタ
)
、
摩謌薩埵
(
マハーサッタ
)
の行を
完
(
まっと
)
うせよということを言われたという
一伍仔什
(
いちぶしじゅう
)
を語りました。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
しかし
此方
(
こっち
)
も今更やめようとは言えないし、先方もやめて下さいと言える義理でなかった。課長なればこそ部下なればこそで、兎に角お互に終りを
完
(
まっと
)
うした形だった。
四十不惑
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
そして斯く思想的大観的に歌うのは、此時代の歌には時々見当るのであって、その恩想を統一して一首の声調を
完
(
まっと
)
うするだけの力量がまだこの時代の歌人にはあった。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
日本の金権を掌握するところの大都
名邑
(
めいゆう
)
の紳士豪商諸君が、賛助の意を表したる
一箇
(
いっか
)
の女子大学校が設立を
完
(
まっと
)
うする事が出来ぬとは、
予
(
わたくし
)
の信ずることの出来ぬところであります。
国民教育の複本位
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
互いに
相俟
(
あいま
)
ってその美しさを輝かし
完
(
まっと
)
うする人がらだったので、友情からというよりもむしろ
嬌艶
(
きょうえん
)
の本能から決して離れないで、互いに寄り合ってイギリスふうの態度を取っていた。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
ことによると、病院の人々に知れなかったのを幸いに、出来るなら永久に生命を
完
(
まっと
)
うしようとするのだろう。なぜ君は男らしく僕と一しょに死なないのだ。僕は君のその女々しい心が恐ろしいよ。
卑怯な毒殺
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
この玄関払の使命を
完
(
まっと
)
うしたのがペンである。自分は
嘘
(
うそ
)
をつくのは
嫌
(
いや
)
だ。神さまにすまない。しかし主命もだしがたしでやむをえず嘘をついた。
倫敦消息
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
商売人ならば他より起こる取引を
完
(
まっと
)
うするのであり、婦人ならば家政上のことを、いわば余儀なくさせらるるのである。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
「まだそんなことをいっておるか。……死は必定だ。もののふの死にふたいろはない。無益に時を移すよりも、わしのいいつけたことを
完
(
まっと
)
うせい」
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いずれともこの英領インド政府の長官に依頼してそうして事を
完
(
まっと
)
うするような手続きにしなければならぬ。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
そして後になってこの稿を
完
(
まっと
)
うすることにしよう。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
こんなところにまごまごしているとまた
吶喊
(
とっかん
)
を喰う危険があるから、早く話しの歩を進めて、一刻も早く使命を
完
(
まっと
)
うする方が万全の策と心付いた。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
張均は、その時、そんな死に方をしなくても、帝へ忠諫したことを十常侍に聴かれていたから、必ずや、後に命を
完
(
まっと
)
うすることはできなかったろう。
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“完”の意味
《名詞》
(カン)完了。完成。終。
(出典:Wiktionary)
完
常用漢字
小4
部首:⼧
7画
“完”を含む語句
完全
完成
完膚
不完全
完了
完備
伏完
完璧
完遂
邦枝完二
御完
野中完一氏
鄧完白
説完
補完
至完善
田完
父叔完疆柔
楊完
未完成
...