四人よつたり)” の例文
四人よつたり各自めいめい木箸きばしと竹箸を一本ずつ持って、台の上の白骨はっこつを思い思いに拾っては、白いつぼの中へ入れた。そうして誘い合せたように泣いた。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
一所に交際つきあってくれたら、翌日あすとは言わず帰り次第藤沢(宿場女郎の居る処)をおごってやるが、と言えば四人よつたり顔見合わせ
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
さうか、そこいな、大きな鯨が出て、大砲の彈丸を三發もうけたが、とうとう船に四人よつたり乘せたまま呑んでしまつたとよ。
佃のわたし (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
この抱いてゐる子の外の四人よつたりの中で、上の方の二人は学校に往つてゐる。その二人は男の子が一人に娘が一人である。婿は昨夜寝なかつたので、昼寝をしてゐる。
切なる様は目に余ったと見え、四人よつたりとも口がきけなくなってしまった。……やがてお父さんが
野菊の墓 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
商人あきんどは宿へ着くなり、先刻さつきの会場へ電話をかけて、芸妓げいこの名を訊いてみた。何でもその芸妓げいこは心持髪の毛が縮れてゐたさうだ。だが、その折髪の毛の縮れたをんな四人よつたりあつた。
『もう店はしてえしまへんがな。どもしも二人居るだけで、阿母おかアはんと四人よつたりだす。……お茶屋はんから口がかゝるとどもを送るだけで、家へはお客を上げえしまへん。』
東光院 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
そこで四人よつたりの男たちは、てんでにすきな方へ向いて、声をそろへて叫びました
狼森と笊森、盗森 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
ひとりぢやあんめえな、かうやつて三にん四人よつたりたんだものなあ」
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
でなければうちのものだが、それでは少し変である。須永のいえは彼と彼の母と仲働なかばたらきと下女の四人よつたり暮しである事を敬太郎はよく知っていたのである。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
帳場ちやうばから此處こゝまゐうちも、とほりの大汗おほあせと、四人よつたり車夫しやふくちそろへ、精一杯せいいつぱい後押あとおしで、おともはいたしてまするけれども、前途さきのお請合うけあひはいたされず。
雪の翼 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
四人よつたりぜんに向いながら話をした。お兼さんは佐野とはだいぶ心やすい間柄あいだがらと見えて、時々向側から調戯からかったりした。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
得右衛門を始めとして四人よつたり壮佼わかものは、茶碗酒にて元気を養い一杯機嫌で立出でつ。
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
四人よつたりは此関係で約二年やくにねん足らずごした。すると菅沼すがぬまの卒業するとしはる菅沼すがぬまはゝと云ふのが、田舎いなかからあそびにて、しばらく清水しみづ町にとまつてゐた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
骨上こつあげには御仙おせん須永すながと千代子とそれに平生ふだん宵子よいこの守をしていたきよという下女がついて都合四人よつたりで行った。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
と、歩きながら独言ひとりごとを云った。誰も答えたものはない。四人よつたりとも雲の中を、雲に吹かれるような、取りかれるような、またうずめられるような有様で登って行った。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
二階が荷主のへやだと云うんで、二階へあがって見ると、なるほど室がたくさん並んでいる。そのうちの一つでは四人よつたり博奕ばくちを打っていた。博奕の道具はすこぶるなものであった。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
代助の一家いつけは是丈の人数にんずから出来上できあがつてゐる。そのうちでそとてゐるものは、西洋に行つた姉と、近頃ちかごろ一戸を構へた代助ばかりだから、本家ほんけには大小合せて四人よつたり残る訳になる。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
朝起きてぜんに向った時見ると、四人よつたりはことごとく寝足らない顔をしていた。そうして四人ともその寝足らない雲を膳の上に打ちひろげてわざと会話を陰気にしているらしかった。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
その時夕暮の窓際まどぎわに近く日暮ひぐらしが来て朗らに鋭どい声を立てたので、卓を囲んだ四人よつたりはしばらくそれに耳をかたむけた。あの鳴声にも以太利イタリヤの連想があるでしょうと余は先生に尋ねた。
ケーベル先生 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
と云って、四人よつたりながら面白そうに笑った。自分は黙っていた。すると四人は自分をいてしきりに達磨の話を始めた。約十分余りも続いたろう。その間自分はほかの事を考えていた。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
夕方は四人よつたりでトランプをした。みんなが四枚ずつのカードを持って、その一枚を順送りに次の者へ伏せ渡しにするうちに数のそろったのを出してしまうと、どこかにスペードの一が残る。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
一時間程してきやくかへつた。四人よつたりかたを揃へて玄関迄た。奥へ這入る時
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
足は昨夕ゆうべから歩き続けで草臥くたびれてはいるが、あるけばまだ歩ける。そこで注意の通り、なるべく気をつけて、長蔵さんと赤毛布のあとけて行った。みちがあまり広くないので四人よつたり一行いちぎょうに並べない。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
開会後第一の土曜の午過ひるすぎには大勢おほぜい一所にた。——広田先生と野々宮さんと与次郎と三四郎と。四人よつたり余所よそ後廻あとまはしにして、第一に「森の女」の部屋に這入つた。与次郎が「あれだ、あれだ」と云ふ。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)