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くちこごと
ふりがな文庫
“
口小言
(
くちこごと
)” の例文
面と向かっては、葉子に
口小言
(
くちこごと
)
一ついいきらぬ器量なしの叔父が、場所もおりもあろうにこんな場合に見せびらかしをしようとする。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
殆
(
ほと
)
んど
立続
(
たてつづ
)
けに
口小言
(
くちこごと
)
をいいながら、
胡坐
(
あぐら
)
の
上
(
うえ
)
にかけた
古
(
ふる
)
い
浅黄
(
あさぎ
)
のきれをはずすと、
火口箱
(
ほぐちばこ
)
を
引
(
ひ
)
き
寄
(
よ
)
せて、
鉄
(
てつ
)
の
長煙管
(
ながきせる
)
をぐつと
銜
(
くわ
)
えた。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
ブツブツ
口小言
(
くちこごと
)
をいいながら、
濠
(
ほり
)
のまわりをいきつもどりつしていると、向こうから足をはやめてきた男が、ひょいと木を
楯
(
たて
)
にとって
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
軍夫は黙して
退
(
しりぞ
)
きぬ。ぶつぶつ
口小言
(
くちこごと
)
いひつつありし、他の多くの軍夫らも、
鳴
(
なり
)
を留めて静まりぬ。されど尽く不穏の色あり。
海城発電
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
口小言
(
くちこごと
)
をいいながら婆は起きて来て、明るい月のまえに寝ぼけた顔を突き出すと、待ち構えていた千枝松は
蝗
(
いなご
)
のように飛びかかって婆の胸倉を引っ掴んだ。
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
▼ もっと見る
女隠居は離れへ来る度に(清太郎は離れに
床
(
とこ
)
に
就
(
つ
)
いていた。)いつもつけつけと
口小言
(
くちこごと
)
を言った。が、二十一になる清太郎は
滅多
(
めった
)
に口答えもしたこともない。
春の夜
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
師匠のいい附けもせぬものを勝手に彫って見るなぞとはよろしくないと
口小言
(
くちこごと
)
をいって将来をも
誡
(
いまし
)
むべきであるのですが、今、こうして師匠自身も尊敬している坊様より
幕末維新懐古談:17 猫と鼠のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
口小言
(
くちこごと
)
をいいながらも、平次は座布団を引寄せて、八五郎のために座を作ってやるのでした。
銭形平次捕物控:282 密室
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
それだから
金
(
かね
)
のいること
夥
(
おびた
)
だしい。定額では
所詮
(
しょせん
)
足らない。尼寺のおばさん達が、表面に
口小言
(
くちこごと
)
を言って、内心に
驚歎
(
きょうたん
)
しながら、折々送ってくれる補助金を加えても足らない。
世界漫遊
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ユリウス・ダビット
(著)
宇治山田の米友もまた、こんな
口小言
(
くちこごと
)
を言いながら、闇と靄の中の夜の甲府の町を、例の
毬栗頭
(
いがぐりあたま
)
で、
跛足
(
びっこ
)
を引いて棒を肩にかついで、小田原提灯を腰にぶらさげて走って行く一人であります。
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
一 どうやら隠居の
口小言
(
くちこごと
)
のみ多くなりて肝腎の小説
作法
(
さくほう
)
はお留守になりぬ。初学者もし小説にでも書いて見たらばと思ひつく事ありたらばまづその思ふがままにすらすらと書いて見るがよし。
小説作法
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
洗
(
あら
)
ふ樣子なれども
暗
(
くら
)
き夜なれば確とも知れず
寒
(
さむ
)
さは
寒
(
さむ
)
し足早に路次口へ來て戸を
叩
(
たゝ
)
くに家主勘兵衞は
口小言
(
くちこごと
)
たら/\
立出
(
たちいで
)
今夜
(
こんや
)
は常よりも遲かりしぞ以後は
少
(
ちと
)
早く歸る樣に致されよと
睨付
(
ねめつけ
)
て木戸を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
時折
微
(
かす
)
かに
電光
(
いなずま
)
が瞬き、
口小言
(
くちこごと
)
のような雷鳴が鈍く
懶気
(
ものうげ
)
に
轟
(
とどろ
)
いてくる。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
とぶつぶつ
口小言
(
くちこごと
)
をいいながら、そばへ
寄
(
よ
)
って
来
(
き
)
て
一本のわら
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
兄夫婦は
口小言
(
くちこごと
)
を言いつつ、手足は少しも休めない。
隣の嫁
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
ぶつぶつ
口小言
(
くちこごと
)
謂いつつありし、他の多くの軍夫等も、
鳴
(
なり
)
を
留
(
とど
)
めて静まりぬ。されどことごとく不穏の色あり。
海城発電
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
口小言
(
くちこごと
)
をいいながら、
自
(
みずか
)
ら
格子戸
(
こうしど
)
のところまで
立
(
た
)
って
行
(
い
)
った
松江
(
しょうこう
)
は、わざと
声音
(
こわね
)
を
変
(
か
)
えて、
低
(
ひく
)
く
訊
(
たず
)
ねた。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
と
小頭
(
こがしら
)
の雁六が
腹
(
はら
)
をたてて、岩に
腰
(
こし
)
をおろしてしまったので、
以下
(
いか
)
六十人の
山掘夫
(
やまほり
)
も、みんなブツブツ
口小言
(
くちこごと
)
をつぶやきながら、ふて
腐
(
くさ
)
れの
煙草
(
たばこ
)
やすみとでかけはじめた。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
口小言
(
くちこごと
)
を云いながら、七兵衛は進んでお葉を抱え
起
(
おこ
)
そうとすると、
彼女
(
かれ
)
は
其
(
その
)
手を跳ね
退
(
の
)
けて
衝
(
つ
)
と
起
(
た
)
った。例えば
疾風
(
しっぷう
)
落葉
(
らくよう
)
を巻くが如き勢いで、さッと飛んで来て冬子に
獅噛付
(
しがみつ
)
いた。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
子供の
口小言
(
くちこごと
)
は然し耳からばかりでなく、
喉
(
のど
)
からも、胸からも、沁み込んで来るやうに思はれた。彼は少しづゝいら/\し出した。しまつたと思つたけれども、もう
如何
(
どう
)
する事も出来ない。
An Incident
(新字旧仮名)
/
有島武郎
(著)
口
常用漢字
小1
部首:⼝
3画
小
常用漢字
小1
部首:⼩
3画
言
常用漢字
小2
部首:⾔
7画
“口”で始まる語句
口惜
口
口吻
口説
口髭
口籠
口許
口上
口調
口々