取持とりもち)” の例文
若江に心を懸ける者がお屋敷うちにあると見えます、それを青茎あおじくつぼみまゝ貴殿のもとへ送るというのは若江を取持とりもちいたす約束をいたした事か
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
遊興の取持とりもちを勤めと心得ているらちもないてあいばかりだが、新規に目附になった押原右内おしはらうないという男は、お家騒動で改易になった越後えちごの浪人者で
鈴木主水 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
如何いかにも不審な事には、お内儀かみさんが出て来て座敷に坐り込んでしきりに客の取持とりもちをすると、御亭主が周旋奔走して居る。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
五十兩九郎兵衞里兩人の養育料やういくれうとしてつかはし候儀に御座候其後九助同村の周藏喜平次木兵衞等が取持とりもちにて私しめひ節儀を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
そんな名剣も貧乏神だけはうにも出来ないものと見えて、犬養氏は最近和田つならう氏の取持とりもちで、所蔵の刀剣全部を根こそぎ久原くはら家へ売渡す事にめた。
お熊は下女のお久の取持とりもちで手代の忠七とうから起誓きしょうまでも取交している仲であった。
黄八丈の小袖 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
とはいえ場所はよし、和尚の取持とりもちはよし、麓の一本道に見張りさえ付けておけば、手入れの心配は毛頭ないので、入れ代り立代り寄り集まって手遊びするものの絶えぬところが面白い。
名娼満月 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
幽界ゆうかいおいても矢張やは知識ちしき必要ひつようはあるので、現世げんせおなじように書物しょもつませたり、また小供こどもには小供こども友達ともだちもなければならぬので、その取持とりもちをしてやったり、精神統一せいしんとういつ修行しゅぎょうをさせたり
自分がすぐに取持とりもちをして見て、3340
して廻り場へ出行いでゆきけりあとには七助お梅にむか所詮しよせん其方そなたも旦那はいやなるべしわれ取持とりもちせん事も骨折損ほねをりぞん出來ぬ時はかへつて首尾しゆびわろし然らば其方には少しも早く此處を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
矢張り此の頃の老妓あねえで、年は二十七歳に相成りまする、お月と申しますせいはすっきりとして芸がく、お座敷でお客と話などをして居ります間に取持とりもちが上手と評判の芸者でありました。
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
何分なにぶんにも年若としわかむすめのこととてはずかしさが先立さきだち、格別かくべつのお取持とりもちもできなかった……。』ひめはあっさりと、ただそれっきりしかおくちにはされませんでしたが、どうやらお二人ふたりあいだつないだ
取持とりもち橋渡はしわたしには
蟠「えゝ/\これはそのなんでござる、実は先日朋友ほうゆうがまいりまして、八丁堀辺の侍の娘で、御殿奉公を致してる者であるが、至って碁ずきな娘、折があったら御前へととと取持とりもちを頼まれまして」
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
かけられ承知しようちせぬとて刄物三昧はものざんまいいたしゝにつきせつわたくし中へ入て取鎭とりしづめ候へば金三兩呉られ候て取持とりもちやう申付られ候へども梅事は貞節ていせつをんなゆゑとてもかなはぬ事とぞんじ私しは申わけなきにより宿やど迯歸にげかへり候とつぶさに申たつ廉々かど/\粂之進くめのしん面目めんもくあをくなりあかくなりしが差俯向さしうつむきひかるを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)