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あぶな
おつぎは
後の
方へ
隱れて
居た。
勘次は
箸を一
本持つて
危險い
物にでも
觸るやうに
平椀の
馬鈴薯を
其先へ
刺しては一
杯に
口を
開いて
頬張つた。
「
彼所がもう
少し
廣いと
可いけれども」と
危險がるので、よく
宗助から
笑はれた
事があつた。
あのやうな
良人を
持つ
身の
何が
不足で
劔の
刃渡りするやうな
危險い
計較をするのやら、
可愛さうにあの
人の
好い
仲町の
姉さんまでを
引合ひにして
三方四方嘘で
固めて、
此足はまあ
何處へ
向く
『釧路座に五百人ぢや、棧敷が
危險いね。』
「
危險う
御座います」と
云つて
宜道は
一足先へ
暗い
石段を
下りた。
宗助はあとから
續いた。
町と
違つて
夜になると
足元が
惡いので、
宜道は
提灯を
點けて
僅一
丁許の
路を
照らした。
彼は
危險い
手もとで
間違つて
落しては
灰にくるまつても
口でふう/\と
吹いて
手でばた/\と
叩くのみで
洗ふこともしなかつた。じり/\と
白く
火箸へ
燒け
附いた
鹽が
長く
火箸に
臭氣を
止めた。
「おつぎも
身體みつしりして
來たなあ、
女も
廿と
成つちや
役に
立つなあ」とおつぎを
見ていつた。
勘次は
茶碗から
少し
飯粒を
零しては
危險い
手つきで
箸を
持つた
儘指の
先で
抓んで
口へ
持つて
行つた。