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其塲
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そのば
逃げもせず
隱られもせず、
欲かしらねど
盜みましたと
白状はしましよ、
伯父樣同腹で
無きだけを
何處までも
陳べて、
聞かれずば
甲斐なし
其塲で
舌かみ
切つて
死んだなら
其時村の
内に
一人の
老人がありまして、
其塲に
驅け
付けて
參り、
錢を
呑んだと
云ふ
話を
聞たが
就ては、
私が
實驗があるから、
其れをば
何卒行ツて
見て
呉れ、
其法と
申すは
さて
夫よりは、
紀元節の
祝賀と、
此大なる
成功の
祝とで
沸くが
如き
騷ぎ、
夜になると、
兼て
設けられたる
海岸の
陣屋で
大祝賀會が
始まつた。
其塲の
盛况は
筆にも
言葉にも
盡されない。
文久錢とも
云ふべき
錢を
呑んだのです、
恰度私も
其節其塲に
居りましたが、
何も
心得ませんから
唯慌てる
計り、
何か
振舞のあツた
時ですから、
大勢人も
居りましたが、
何れも
青くなり
便りまつ
間の
一日二日嬉しきやうな
氣づかひな
八重に
遠慮は
入らぬものゝ
又言ひ
出すかと
思はるゝも
恥かしくじつと
堪ゆる
返事の
安否もしやと
思へば
萬一やになるなり
八重は
大丈夫と
受合へど
夫は
氣やすめの
詞なるべし
彼の
文とても
御受取になりしやならずや
其塲で
其ま〻
御突き
戻しになりたるを