トップ
>
僅々
>
きんきん
ふりがな文庫
“
僅々
(
きんきん
)” の例文
今ここに吾々が
僅々
(
きんきん
)
百部内外の古書、『日本紀』とか『古事記』とかの古い書物を持たぬとすると、千年以前の日本人の生活の中で
地名の研究
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
しかも、日頃忠実であって、深い信頼を
懸
(
か
)
けていた由蔵が、
僅々
(
きんきん
)
の時間に、場所もあろうにこんな所に屍骸と化して
横
(
よこたわ
)
っているとは!
電気風呂の怪死事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
僅々
(
きんきん
)
二、三年の知己の恩に
酬
(
むく
)
いるに、その後四十年の長い間、かつて変ることなかりしブラームスの好意は
褒
(
ほ
)
められるべきものである。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
只圓翁から能楽の指導を受けた福岡地方の人々の中で、私の記憶に残っている現存者は
僅々
(
きんきん
)
左の十数氏に過ぎない。(順序不同)
梅津只円翁伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
これが私の初恋の最も楽しい思出なのだ。
僅々
(
きんきん
)
八九ヶ月の間柄ではあったが、二人はもう決して離れることの出来ない関係になっていた。
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
▼ もっと見る
死体発見を去る
僅々
(
きんきん
)
三十分以前の正二時には、被害者の呼吸を耳にしたと云う——実に奇怪きわまる事実を陳述したのである。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
それまでは
卑禄
(
ひろく
)
のお
鷹匠
(
たかしょう
)
であったということ、だから他の三河以来の譜代とは違って、
僅々
(
きんきん
)
この十年来の一代のお旗本にすぎないということ
右門捕物帖:02 生首の進物
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
燃ゆるがごとき
憤嫉
(
ふんしつ
)
を胸に
畳
(
たた
)
みつつわが
寓
(
ぐう
)
に帰りしその
夜
(
よ
)
より
僅々
(
きんきん
)
五日を経て、
千々岩
(
ちぢわ
)
は突然参謀本部よりして第一師団の某連隊付きに移されつ。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
翁が一人や二人の工人を
相手
(
あいて
)
に、
僅々
(
きんきん
)
二年三年の片手間にも足らざる研究でこれを率直に発言させるのは、あまりにも罪がなさすぎるのではないか。
素人製陶本窯を築くべからず:――製陶上についてかつて前山久吉さんを激怒せしめた私のあやまち――
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
僅々
(
きんきん
)
たる残欠頁の拓本でさえこの通りの光がある。支那はエライ国だ、支那といえども外国は外国に違いないが、近ごろはやりの毛唐とは品が違う。
大菩薩峠:33 不破の関の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
もちろんこの供養に関係ある僧侶だけは役目として見ることが出来ますけれども、二万五、六千の僧侶中それを見得る者は
僅々
(
きんきん
)
二、三百人に過ぎない。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
しからば婦人が夫なる者に属してこれに仕うるに至りしは、比較的近代のことにして、
僅々
(
きんきん
)
数千年間の現象なり。
婦人の天職
(新字新仮名)
/
堺利彦
(著)
日本は開国以来
僅々
(
きんきん
)
四十年にして清国を破り、更に十年にして
露西亜
(
ロシア
)
を破り、ついに東洋の覇者たるに至った。
世界平和の趨勢
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
一、俳句における四季の題目は和歌より出でて
更
(
さら
)
にその区域を広くしたり。和歌にありては題目の数
僅々
(
きんきん
)
一百に
上
(
のぼ
)
らず。俳句にありては数百の多きに及べり。
俳諧大要
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
明治二十二年の統計表に依れば全国において途上発病または饑餓にて死せしものは
僅々
(
きんきん
)
千四百七十二人なり(消化器病にて死せしものは二十万五千余人なり)
基督信徒のなぐさめ
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
吾々が新橋の停車場を別れの場所、出発の場所として描写するのも、また
僅々
(
きんきん
)
四、五年間の事であろう。
銀座界隈
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
しかし一度出入りした以上どこかに入口が無ければならないのみならず
僅々
(
きんきん
)
数分時間の間に行われた行為とすると、それは必ず内部の隔ての壁に仕掛けがあって
水晶の栓
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
それでも
尚
(
なお
)
、とにかく何とか返事をしろと言われるのなら、地球が百万年はおろか
僅々
(
きんきん
)
数千年を
出
(
い
)
でずして何かほかの天体と衝突して絶滅することは既定の事実であり
チェーホフ序説:――一つの反措定として――
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
あの瓦斯ストーブから
僅々
(
きんきん
)
二時間足らずのガスの漏洩で、果して死ぬものだろうか。新聞にはこの事には少しも触れていないけれども、私は第一の大きな疑問だと思うのだ。
血液型殺人事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
それを
僅々
(
きんきん
)
数時間あるいはむしろ数分間の調査の結果から、さもさももっともらしく一部始終の
顛末
(
てんまつ
)
を記述し関係人物の心理にまでも立ち入って描写しなければならないという
ジャーナリズム雑感
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
さっきから
僅々
(
きんきん
)
一二時間の間に如何なる現象が起ったのかを
明瞭
(
めいりょう
)
に看取したのであった。
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
しかし、今朝からの
戦
(
いくさ
)
では、まだ鉄砲しか物をいっていない。鉄砲の数となると、織田家の御所有は四千六、七百挺といわるるに、御当家には
僅々
(
きんきん
)
四、五百挺の数しかないのだ。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
作家の数から云う時も、作品の量から云う時も、
亦
(
また
)
その質から云う時も、全盛時代とは云えません。
但
(
ただ
)
し探偵創作物が、日本の読書界に現われてから、
僅々
(
きんきん
)
数年にしかなりません。
大衆文芸問答
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
航海中より
彼地
(
かのち
)
に
至
(
いた
)
りて
滞在
(
たいざい
)
僅々
(
きんきん
)
数箇月なるも、
所見
(
しょけん
)
所聞
(
しょぶん
)
一として
新
(
あらた
)
ならざるはなし。
瘠我慢の説:05 福沢先生を憶う
(新字新仮名)
/
木村芥舟
(著)
ただ、世の幽霊論者が
僅々
(
きんきん
)
二、三の事実によりて、ただちにこれありとの断定を下さんとする傾向なきにあらざれば、かくのごとき論者に向かいて注意を請わんと欲するに過ぎず。
迷信と宗教
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
その
唯一
(
ゆゐいち
)
の
大
(
おほ
)
株主たるジユウル・ルナアルが持株すら
僅々
(
きんきん
)
四株に過ぎざりしとぞ。
骨董羹:―寿陵余子の仮名のもとに筆を執れる戯文―
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
人間衛生の事なり、活計の事なり、社会の交際、一人の行状、小は食物の調理法より大は外国の交際に至るまで千差万別、無限の事物を
僅々
(
きんきん
)
数年間の課業をもって教うべきに非ず、学ぶべきに非ず。
文明教育論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
彼はこの方では英国に於ける第一人者といって
差支
(
さしつか
)
えないほどの研究者である。その大金庫は、
僅々
(
きんきん
)
十一分のうちに見事にぎいっと開かれた。
共軛回転弾:――金博士シリーズ・11――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
こんな風に書いていると長い様だが、舞台が明るくなってから、怪物の姿が木戸口の外に消えるまで、
僅々
(
きんきん
)
二三十秒の
惶
(
あわただ
)
しい出来事であった。
黄金仮面
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
ですから、
僅々
(
きんきん
)
数日の間に、すべての名所古蹟といったようなものを見尽してしまうと、彼の天性の迅足の
髀肉
(
ひにく
)
が、
徒
(
いたず
)
らに肥えるよりほかはせん
術
(
すべ
)
がなき姿です。
大菩薩峠:33 不破の関の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
僅々
(
きんきん
)
四箇月間の実験を行われました
後
(
のち
)
、今からちょうど一箇月前の十月二十日に、正木先生が亡くなられますと同時に閉鎖される事になりましたものですが、しかも
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
四階の一室では
僅々
(
きんきん
)
数分間しか費やさなかったとみえて、艶子が家に帰り着いた時刻はふだんとほとんど違わなかったので、少しも係官の嫌疑を
惹
(
ひ
)
き
起
(
お
)
こさなかったのだった。
五階の窓:04 合作の四
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
ただ、世の幽霊論者が
僅々
(
きんきん
)
二、三の事実によりて、ただちにこれありとの断定を下さんとする傾向なきにあらざれば、かくのごとき論者に向かいて、注意を請わんと欲するに過ぎず。
迷信と宗教
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
右門が
僅々
(
きんきん
)
一日の間で、胸中を読むこと鏡のごとく、おのれのほしいもののことごとくをそこにみやげとしながら携えかえったものでしたから、前後も忘れて薄雪に取りすがりました。
右門捕物帖:09 達磨を好く遊女
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
すなわち
僅々
(
きんきん
)
一、二カ月前の、総理大臣としての広田氏から生まれ出た「浩々居」は著しき心境の動きによって(?)断然
曩
(
さき
)
の「鬱々含晩翠」とは人間を異にし、書能を一変してしまった。
現代能書批評
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
かりに濁音を清音と同じにしたり、kとh、mとb、sとtなどを同一視したりいろいろして行くと、独立したものの数nは
僅々
(
きんきん
)
五つか六つになってしまう。従って最後のPは著しく増大する。
比較言語学における統計的研究法の可能性について
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
すなわち
僅々
(
きんきん
)
数十種の物体を十数通りに変形させたのが今日の紋である。
名字の話
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
が、「
凡
(
およ
)
そ文学に於て構造的美観を最も多量に持ち得るものは小説である」と云ふ谷崎氏の言には不服である。どう云ふ文芸も、——
僅々
(
きんきん
)
十七字の
発句
(
ほつく
)
さへ「構造的美観」を持たないことはない。
文芸的な、余りに文芸的な
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
野蛮時代と異るところはない。祖先以来辛苦経営して蓄積したところの富を
僅々
(
きんきん
)
四年の間に失ってしまった。二千万人の血を流し屍を積んだのである。しかして文明文化を誇るというのは何事ぞ。
始業式に臨みて
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
今この列車の停っている位置は甲南女学校を東北に
距
(
へだた
)
ること
僅々
(
きんきん
)
半丁程の地点であることは明かであり、従って、
此処
(
ここ
)
から目的の洋裁学院へは、平日ならば数分を出でずして到達出来る訳であった。
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
ただただ驚くばかりさ。
僅々
(
きんきん
)
二十時間あまりの間に、二人の死者と二人の昏倒者が出来てしまったんだ。どのみち、問題になるのは、文字盤が廻される以前さ。それまでに、犯人は昏倒させた津多子を
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
僅々
(
きんきん
)
六週間で作曲したという、超人的な逸話をさえ残している。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
僅々
(
きんきん
)
数時間で
目付
(
めっ
)
けたのである。
半七雑感
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
如何なる要塞もトーチカもこの巨人国の戦車の前には全く無力である。どんな大都市も
僅々
(
きんきん
)
数時間にして廃墟となり、無人の境と化し去る外はない。
偉大なる夢
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
その地点から、電車の窓までの最短距離は
僅々
(
きんきん
)
五十メートルしかなかったのだった。小さなピストルでも、容易に
偉力
(
いりょく
)
を発揮できるほどの近さだった。
省線電車の射撃手
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
此
(
かく
)
の如く、
僅々
(
きんきん
)
二箇年の間に、三名の婦人と一人の青年とを
或
(
あるい
)
は殺し、或は発狂せしめて、その一家の血統を再び起つ能わざる迄に破滅せしむるが如き残虐を敢えてせるにも拘わらず
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
ヤソ教家が世界の
開闢
(
かいびゃく
)
を
僅々
(
きんきん
)
六千年前と認めたるを見て、これを打ち破りたる手際は称すべきも、なお宇宙の開発につきて、時間と空間との無限なるがごとく、世界の無限にして、世界の進化
通俗講義 霊魂不滅論
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
よし又かう云ふ変化位を進歩と呼ぶことは出来ないにしろ、人間の文明は有史以来
僅々
(
きんきん
)
数千年を閲したのに過ぎない。けれども地球の氷雪の下に人間の文明を葬るのは六百万年の後ださうである。
僻見
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
独逸
(
ドイツ
)
語と、
羅甸
(
ラテン
)
語の二種類で書かれておりますが、これを文献も何も無い宿屋の二階で
僅々
(
きんきん
)
二三週間の間に書き上げられた正木先生の頭脳と、精力からして既に非凡以上と申さねばなりますまい。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
僅
常用漢字
中学
部首:⼈
13画
々
3画
“僅”で始まる語句
僅
僅少
僅有
僅僅
僅計
僅三時
僅有絶無