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停
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どま
ふりがな文庫
“
停
(
どま
)” の例文
私は立ち
停
(
どま
)
った。女も私に気が
注
(
つ
)
いたのか、
斜
(
ななめ
)
に後を
揮
(
ふ
)
り返った。その顔の
輪廓
(
りんかく
)
から眼の
辺
(
あたり
)
が、どうしてもお八重であった。
妖影
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
馬越氏は皺くちやな
掌
(
て
)
の甲で、その大事な眼を
摩
(
こす
)
つて
悦
(
よろこ
)
んだ。そして骨董屋の
店前
(
みせさき
)
を出ようとして思はず
立
(
た
)
ち
停
(
どま
)
つた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
彼は一人の洋装の麗人が喫茶ギボンの
飾窓
(
ショウインドウ
)
の前で立ち
停
(
どま
)
ったままスローモーションの
操
(
あやつ
)
り
人形
(
にんぎょう
)
のように上体をフラリフラリと動かしているのを認めた。
流線間諜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
ちょうど二つ目の
隧道
(
トンネル
)
へはいった時に青年はこう言ってじっと息を殺していた。私も石のようになって立ち
停
(
どま
)
った。
動物園の一夜
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
と踏み掛けて、
二足
(
ふたあし
)
ばかり、板の
半
(
なか
)
ばで、
立
(
た
)
ち
停
(
どま
)
ったが、
何
(
なん
)
にも聞こえぬ。
固
(
もと
)
より聞こうとしたほどでもなしに、何となく夕暮の静かな水の音が身に染みる。
海の使者
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
「うまいうまい其辺でいい、一寸立ち
停
(
どま
)
ってくれ、お前の頭の上は、二階の欄干の丁度角のあたりだ」
銭形平次捕物控:241 人違い殺人
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
つかつかと進んだのが立
停
(
どま
)
つて見渡して、駄目だと思つて引返さうとすると、一隅の卓にゐた若い紳士が自分を呼び止めて、その卓に差向ひではどうだと云つてくれた。
貝殻追放:002 新聞記者を憎むの記
(旧字旧仮名)
/
水上滝太郎
(著)
山口は早くお杉を見に行こうと急に思い立つと、立ち
停
(
どま
)
って顔を上げた。すると、
忽
(
たちま
)
ち、もう
先
(
さっ
)
きから、街の隅々から彼の挙動を
窺
(
うかが
)
っていた車夫の群が、殺到して来た。
上海
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
その前後二、三分の間にまくし上がった騒ぎの
一伍一什
(
いちぶしじゅう
)
を彼は一つも見落とさずに観察していたわけではなかったけれども、立ち
停
(
どま
)
った瞬間からすぐにすべてが理解できた。
卑怯者
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
童子
(
どうじ
)
はしょんぼり
庭
(
にわ
)
から出られました。それでも、また立ち
停
(
どま
)
ってしまわれましたので、母さまも出て行かれてもっと
向
(
むこ
)
うまでお
連
(
つ
)
れになりました。そこは
沼地
(
ぬまち
)
でございました。
雁の童子
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
時代をいつに置くとも判らない意識にするこの場所に
暫
(
しばら
)
く立ち
停
(
どま
)
り、むす子のアトリエのあるモンパルナスの空を眺め
乍
(
なが
)
ら、むす子を置いて日本へ去る親子の哀別の情を貫いて
母子叙情
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
だが、そんなに須山のことに立ち
停
(
どま
)
っていることはよくないことなのだ。
党生活者
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
「しかし——」と校長は教員室の前で立ち
停
(
どま
)
った。陰気くさくぞろぞろ歩いていた教員たちははっとして校長の顔を見かえる。すると彼はちょこちょこと杉本に追いついて君——とその肩をたたいた。
白い壁
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
そしては又立ち
停
(
どま
)
って眩しい夏の日光の中にうずくまっている。
とかげ
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
主翁はちょと立ち
停
(
どま
)
った。白い書生の手がこっちへ来いと云うように動いた。主翁は書生の方へ歩いて往った。寒い風が庭の植木の枝を吹いていた。
黄灯
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
彼は、ふと
立
(
た
)
ち
停
(
どま
)
って、あたりを見まわした。目についたのは、
畦道
(
あぜみち
)
の
傍
(
そば
)
を流れる小川だった。
英本土上陸戦の前夜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
それはかの
君長
(
ひとこのかみ
)
の弟の反絵であった。彼は
芒
(
すすき
)
の中に
立
(
た
)
ち
停
(
どま
)
ると、片眼で山上に揺られている一本の蜜柑の枝を
狙
(
ねら
)
って矢を引いた。蜜柑の枝は、一段と闇の中で激しく揺れた。
日輪
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
かの女は立ち
停
(
どま
)
って眼を閉じた。が、やがて何もかも取りなすような逸作のもの分りの好い笑顔が、かの女の
瞼
(
まぶた
)
の裏に浮ぶと、かの女は辛うじて救われたように、ほっと息をして歩き出した。
母子叙情
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
時に、ここを通り過ぎて、廊下の
彼方
(
かなた
)
に
欄干
(
てすり
)
のある、
螺旋形
(
らせんがた
)
の段の下り口の処に立ち
停
(
どま
)
って、宿直医と看護婦長と、ひそかに額を交えて
彳
(
たたず
)
んだのが、やがて
首
(
こうべ
)
を垂れて、段を下りるのが見えた。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
タクマ少年が、僕の袖をひいて立ち
停
(
どま
)
らせたのは、上品な
店舗
(
てんぽ
)
の前だった。白と緑の
人造大理石
(
じんぞうだいりせき
)
を
貼
(
は
)
りめぐらし、
黄金色
(
こがねいろ
)
まばゆきパイプを窓わくや手すりに使ってあった。
海底都市
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
すぐ立ち
停
(
どま
)
ってどこへ往ったものであろうかと考えているようにしていたが、間もなく
後
(
あと
)
に引返して、そこに見えている山の方へ入って往く
路
(
みち
)
を
透
(
すか
)
して見るようにした
後
(
のち
)
に、その方へ歩いて往った。
女の首
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
というのは、そのトンネルの穴が、すぐ向こうで
行
(
ゆ
)
き
停
(
どま
)
りになっているように見えるのに、僕たちがそっちへ歩みよるに従って、その穴がしずかに後退していくことだった。
海底都市
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
二宮の足は重いらしく、四本のすぐ前で立ち
停
(
どま
)
りそうな足どりである。
時計屋敷の秘密
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「おい、立ち
停
(
どま
)
らんで、もっと奥へはいってくれ」
英本土上陸戦の前夜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「昨夜は
極
(
きわ
)
めて
静穏
(
せいおん
)
でしたな。報告するほどの事件は一つもなかった。いや、正確に申せば只一件だけあった。
深夜
(
しんや
)
池袋駅
停
(
どま
)
りの省線電車の中に、人事不省になった一人の男が鞄と共に残っていたというだけのことです」
鞄らしくない鞄
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「行き
停
(
どま
)
りか——」
流線間諜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「
行
(
ゆ
)
き
停
(
どま
)
りだ」
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
停
常用漢字
小5
部首:⼈
11画
“停”を含む語句
停車場
停止
立停
停留場
停車
停滞
停泊
調停
停車場前
停車塲
北停車場
御停止
停留所
新橋停車場
停泊用釜
停頓
鳴物停止
電車停留場
里昂停車場
横須賀停車場
...