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ていしゅ
ふりがな文庫
“
主翁
(
ていしゅ
)” の例文
もう
明日
(
あす
)
の朝の
準備
(
したく
)
をしてしまって、
膳
(
ぜん
)
さきの二合を
嘗
(
な
)
めるようにして飲んでいた
主翁
(
ていしゅ
)
は、
盃
(
さかずき
)
を持ったなりに土間の方へ目をやった。
黄灯
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
それは十畳吊の
萌黄地
(
もえぎじ
)
の近江麻で、裾は浅黄
縮緬
(
ちりめん
)
、四隅の大房から吊手の
輪乳
(
わちち
)
に至るまで、
凝
(
こ
)
ったものであったから
主翁
(
ていしゅ
)
は気にいった。
沼田の蚊帳
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
饅頭屋の
主翁
(
ていしゅ
)
は、関係のある人の書翰がこんなにいっしょに来るのも珍らしいと思いながら、
先
(
ま
)
ず××君の書翰から開封して見た。
二通の書翰
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
家の
周囲
(
まわり
)
が騒がしくなった。
主翁
(
ていしゅ
)
の支那人は五六人の者を
伴
(
つ
)
れて飛び込んで来た。クラネクはその人びとによってとり押えられた。
警察署長
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
主翁
(
ていしゅ
)
が一所懸命になって云うので、避暑に来て
怠屈
(
たいくつ
)
している時であったから、時間つぶしにと思って番地を聞いたうえで出かけて往った。
二通の書翰
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
▼ もっと見る
恐れて死んだ人のようになって此の
容
(
さま
)
を見ていた
主翁
(
ていしゅ
)
は、此の時やっと気が注いたのでそっと裏口から這い出て往って隣家の者に話した。
怪しき旅僧
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
椀は壁に当って音をたてた。由平は続けて手あたり次第に膳の上の茶碗や小皿を投げた。其の物音に驚いて
主翁
(
ていしゅ
)
があがってきた。
阿芳の怨霊
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
「冷麦でございますか、はい、はい」と、茶屋の
主翁
(
ていしゅ
)
は茶を汲もうとしていたのを
廃
(
よ
)
して、冷麦をかまえ、それを皿に載せて持って来た。
一緒に歩く亡霊
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
由平は婢の
肩端
(
かたはじ
)
へ斬りつけた。婢は悲鳴をあげて倒れた。婢の悲鳴を聞きつけてあがって来た
主翁
(
ていしゅ
)
は、由平の
後
(
うしろ
)
から抱き
縮
(
すく
)
めようとした。
阿芳の怨霊
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
「もう、外へ出る用事が無くなったと思って、急にえらくなったね」女房は小さな
縁側
(
えんがわ
)
をあがりながら、
主翁
(
ていしゅ
)
をおどしてやる気になった。
黄灯
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
生垣
(
いけがき
)
の上の方を
透
(
すか
)
すと、石碑の頭が一種の光を持って見えていた。
主翁
(
ていしゅ
)
の心は暗くなった。彼は書生とぴったりならんで歩いた。
黄灯
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
新吉は二階をおりてから下の
室
(
へや
)
へ往った。そこでは五十ぐらいになる
胡麻塩頭
(
ごましおあたま
)
の
主翁
(
ていしゅ
)
が汚いちゃぶ台に向って酒を飲んでいた。
女の首
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
それは、
演戯茶房
(
しばいちゃや
)
蔦屋
(
つたや
)
の
主翁
(
ていしゅ
)
の
芳兵衛
(
よしべえ
)
と云う者であったが、
放蕩
(
ほうとう
)
のために失敗して、
吉原角町河岸
(
よしわらすみちょうがし
)
の
潰
(
つぶ
)
れた女郎屋の
空店
(
あきだな
)
を借りて住んでいた。
幽霊の衣裳
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
午が来て家内同志で飯を
喫
(
く
)
っていた。
主翁
(
ていしゅ
)
の九兵衛が空になった茶碗を出すと、その傍にいた
婢
(
じょちゅう
)
がお給仕の盆を差しだした。
蠅供養
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
支那料理を
喫
(
く
)
いに往ったところで、そこの
主翁
(
ていしゅ
)
が支那料理の話をしたあげく、背が緑青色をした腹の白い小さな蛇を
浸
(
つ
)
けた酒の
罎
(
びん
)
を持って来た。
文妖伝
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
三左衛門は若党を
促
(
うなが
)
して走るように山をおりて
温泉宿
(
ゆやど
)
へ帰ったが、どうも不審でたまらないのですぐ宿の
主翁
(
ていしゅ
)
を呼んだ。
竈の中の顔
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
三左衛門は
主翁
(
ていしゅ
)
を
対手
(
あいて
)
にして碁を打つ気もしないので、江戸から
伴
(
つ
)
れて来ている
若党
(
わかとう
)
を
供
(
とも
)
に伴れて
戸外
(
そと
)
へ遊びに出た。
竈の中の顔
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
と、
鼓
(
つづみ
)
の音がばったり止んだ。
主翁
(
ていしゅ
)
は明るい
陽
(
ひ
)
の光がさしてほかほかとしているとっつきの
室
(
へや
)
の
障子
(
しょうじ
)
を開けてみた。
鼓の音
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
旅館の
主翁
(
ていしゅ
)
は憲一の顔を見るなりとびだして来た。旅館では憲一がいなくなったので心配していたところであった。
藤の瓔珞
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
主翁
(
ていしゅ
)
は冷酷な男であったから初めは寝たふりをして返事をしなかったが、何時までたっても旅僧が去らないので、「もう寝たから、
他
(
よそ
)
へ往って頼むが好い」
怪しき旅僧
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
「だめだ、
幾何
(
いくら
)
隠したって証拠がある、それとも君は、それを知らないのか、町内に知らぬは
主翁
(
ていしゅ
)
ばかりなり、君は気が
注
(
つ
)
かんのか、おめでたい人間だな」
春心
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
主翁
(
ていしゅ
)
と
婢
(
じょちゅう
)
が出て来てこの
壮
(
わか
)
い旅人を愛想よく迎えた。婢は裏山から引いた
筧
(
かけい
)
の水を汲んで来てそれを
足盥
(
あしだらい
)
に入れ、旅人の草鞋擦のした蒼白い足を洗ってやった。
立山の亡者宿
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
胡麻塩の男はそこの
主翁
(
ていしゅ
)
で、一人は隣家の男であった。主翁は火のない
長火鉢
(
ながひばち
)
の傍で小さな声で云った。
青い紐
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
相場三左衛門
(
あいばさんざえもん
)
はそう云ってから、
碁盤
(
ごばん
)
を中にして
己
(
じぶん
)
と向いあっている
温泉宿
(
ゆやど
)
の
主翁
(
ていしゅ
)
の顔を見て笑った。
竈の中の顔
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
女房は財布の中の
書類
(
かきつけ
)
を開けて見た。それは四日市屋の
主翁
(
ていしゅ
)
が久兵衛に渡した証拠の一札であった。
雁
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
柳橋
(
やなぎばし
)
の
船宿
(
ふなやど
)
の
主翁
(
ていしゅ
)
は、二階の
梯子段
(
はしごだん
)
をあがりながら、
他家
(
よそ
)
のようであるがどうも
我家
(
うち
)
らしいぞ、と思った。二階の方では、とん、とん、とん、と云う
小鼓
(
こつづみ
)
の音がしていた。
鼓の音
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
主翁
(
ていしゅ
)
はこう云って
婢
(
じょちゅう
)
の
口留
(
くちどめ
)
をしたが、どうしても不思議でたまらないので、
某日
(
あるひ
)
、この土地に昔から住んでいると云う
按摩
(
あんま
)
を呼んだ時に、肩を
揉
(
も
)
んでもらいながら聞いてみた。
鼓の音
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
武士はこんな
佳
(
い
)
い処があるのに
主翁
(
ていしゅ
)
は
何
(
な
)
んのよまよいごとを云ってるだろうかと思った。武士は下にさえこんな佳い処があるから、頂上にはまだ佳い処があるだろうと思った。
山寺の怪
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
東京から避暑に往っていた××君がその前を通っていると、饅頭屋の
主翁
(
ていしゅ
)
が出て来て
二通の書翰
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
ベルセネフがまた何か思いだして云おうとした時に、
主翁
(
ていしゅ
)
が食事の
準備
(
したく
)
をして持って来た。二人は話を
止
(
や
)
めて主翁の並べる料理の皿を見ていた。
瓶
(
びん
)
に入れた酒も持って来てあった。
警察署長
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
そして、温泉宿の
主翁
(
ていしゅ
)
の云った山の方達に
酷
(
ひど
)
い目に
逢
(
あ
)
わされたと云うことを知った。
山寺の怪
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
そして、暫く待っていると
主翁
(
ていしゅ
)
が二人分の膳を持って来た。甚六は不審に思って
一緒に歩く亡霊
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
主翁
(
ていしゅ
)
、わしの腰に何があるか見てくれ、わしも天下の
御連枝
(
ごれんし
)
、
紀州侯
(
きしゅうこう
)
の
禄
(
ろく
)
をはんでいるものじゃ、天狗や木精がいると云うて、武士が一度云いだしたことが、
後
(
あと
)
へ
退
(
ひ
)
かれるか、お前が恐ければ
山寺の怪
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
因業者
(
いんごうもの
)
で通っていた
主翁
(
ていしゅ
)
は、それを突き出したので徳蔵は牢屋に入れられ、其のうちに病死したが、其の徳蔵が
曳
(
ひ
)
かれて往く時着ていた衣服は、店の
妓
(
おんな
)
がやった浅黄木綿三つ柏の単衣であった。
幽霊の衣裳
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
「ああ、鮫洲の大尽か、知ってる、
主翁
(
ていしゅ
)
は脚がわるいと云うじゃないか」
春心
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
扉
(
ドア
)
が
開
(
あ
)
いてランプを持った
主翁
(
ていしゅ
)
の支那人と、ベルセネフが入って来た。
警察署長
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
宿の
主翁
(
ていしゅ
)
に前夜の話を聞かしたが、鍛冶の母のことは云わなかった。
鍛冶の母
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
お滝はその年十三になる新一を奥の
室
(
へや
)
へ寝かして、
己
(
じぶん
)
は
主翁
(
ていしゅ
)
の室となっている表座敷で一人寝ていたが、寝心地が好いのでぐっすり睡っていたところで、不思議な感触がするので
吃驚
(
びっくり
)
して飛び起きた。
狐の手帳
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
「家なんかありませんや、もっとも、まだ臨海亭の出来ない時、さあ三十年にもなりますかね、このあたりに漁師の家が一軒あって、そこの
主翁
(
ていしゅ
)
が漁に往って
歿
(
な
)
くなったと云う、
壮
(
わか
)
い女が住んでたことがありますよ」
草藪の中
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
主翁
(
ていしゅ
)
が
脂
(
あぶら
)
のぎらぎらした頭を近くへ持って来た。
女の首
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
憲一は
主翁
(
ていしゅ
)
がどうかしているだろうと思った。
藤の瓔珞
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
と、
主翁
(
ていしゅ
)
がまた云った。
一緒に歩く亡霊
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
主
常用漢字
小3
部首:⼂
5画
翁
常用漢字
中学
部首:⽻
10画
“主”で始まる語句
主
主人
主婦
主家
主水
主従
主題
主君
主税
主計