中形ちうがた)” の例文
改めしに金子四十三兩と縮緬ちりめん單物ひとへもの木綿もめんすぢの單物眞岡まをか中形ちうがた浴衣ゆかた三枚紛失ふんじつせり因て家主孫八へ委細ゐさいはなして訴へに及しによく日定廻りの同心どうしん孫八方へ出張にて道庵だうあんへ心當りの有無うむ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
浴衣ゆかた白地しろぢ中形ちうがたで、模樣もやうは、薄月うすづきそら行交ゆきかふ、——またすこあかるくつたが——くもまぎるゝやうであつたが、ついわき戸袋とぶくろ風流ふうりうからまりかゝつたつたかづらがのまゝにまつたらしい。
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
冥途めいどからほとけ宿やどつたしるしだといつてかなら提灯ちやうちん墓地ぼちからけられるのである。おつぎは勘次かんじふところいくらかあたゝかにつたので、廉物やすものではあるが中形ちうがた浴衣地ゆかたぢこしらへてもらつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
笠森稻荷かさもりいなりのあたりをとほる。路傍みちばたのとある駄菓子屋だぐわしやおくより、中形ちうがた浴衣ゆかた繻子しゆすおびだらしなく、島田しまだ襟白粉えりおしろいたすきがけなるが、緋褌ひこん蹴返けかへし、ばた/\とけてで、一寸ちよつと煮豆屋にまめやさん/\。
弥次行 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
落せしかば誠に勿化もつけの幸ひなりと悦びながら足を早めてはしる程にやがて鈴ヶ森へぞ指懸さしかゝりける斯る所に並木なみきの蔭より中形ちうがた縮緬ちりめんの小袖のすそたか端折はしをり黒繻子くろじゆすおびにてかたむす緋縮緬ひぢりめんたすきかけ貞宗さだむね短刀たんたう
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
其處そこ病上やみあがりと風采とりなり中形ちうがた浴衣ゆかたきよらかな白地しろぢも、よる草葉くさばくもる……なよ/\とした博多はかた伊達卷だてまき姿すがたで、つひぞないことにはた。とき美人びじん雪洞ぼんぼりつてたのである。
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)