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一斉
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いっとき
ふりがな文庫
“
一斉
(
いっとき
)” の例文
旧字:
一齊
見る見る野の末に黒雲がかかると、黒髪の影の池の中で、一つ、かたかたと鳴くに連れて、あたりの蛙の
一斉
(
いっとき
)
に、声を合わせるのが
河伯令嬢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
(ハイ、これ、昔から言うことだ。二人
一斉
(
いっとき
)
に産をしては、後か、
前
(
さき
)
か、いずれ一人、
相孕
(
あいばらみ
)
の
怪我
(
けが
)
がござるで、分別のうてはなりませぬ、)
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
阿母
(
おふくろ
)
が死んだあとで、段々馬場も寂れて、
一斉
(
いっとき
)
に二
頭
(
ひき
)
斃死
(
おち
)
た馬を売って、
自暴
(
やけ
)
酒を飲んだのが、もう飲仕舞で。米も買えなくなる、
粥
(
かゆ
)
も薄くなる。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ちょいと
雛形
(
みほん
)
がこんなもの。三十余人の貧民等、暴言を並べ、
気焔
(
きえん
)
を吐き、嵐、
凩
(
こがらし
)
、
一斉
(
いっとき
)
に
哄
(
どっ
)
と荒れて
吹捲
(
ふきま
)
くれば、花も、もみじも、ちりぢりばらばら。
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
見えつつ、
幻影
(
まぼろし
)
かと思えば、雲のたたずまい、日の加減で、その色の濃い事は、
一斉
(
いっとき
)
に
緋桃
(
ひもも
)
が咲いたほどであるから、あるいは桃だろうとも言うのである。
瓜の涙
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
それがね、やっぱりその日なんです、事というと妙なもんで、何でもない時は東京中押廻したって、
蜻蜓
(
とんぼ
)
一疋ぶつかりこはねえんですが、幕があくと
一斉
(
いっとき
)
でさ。
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
迚
(
とて
)
も
敵
(
てき
)
し
難
(
がた
)
しと、断念をするとともに、
張詰
(
はりつ
)
めた気も
弛
(
ゆる
)
み、心も
挫
(
くじ
)
けて、
一斉
(
いっとき
)
にがつくりと
疲労
(
つかれ
)
が出た。
二世の契
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「驚いた……烏が
一斉
(
いっとき
)
に飛びやあがった。何だい、今の、あの声は。……烏瓜を
挘
(
もぎ
)
っただけで下りりゃ
可
(
い
)
いのに、何だかこう、樹の枝に、
茸
(
きのこ
)
があったもんだから。」
白金之絵図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
炬燵
(
こたつ
)
から見ていると、しばらくすると、雀が一羽、パッと来て、おなじ枝に、花の
上下
(
うえした
)
を、
一所
(
いっしょ
)
に廻った。続いて三羽五羽、
一斉
(
いっとき
)
に皆来た。
御飯
(
おまんま
)
はすぐ
嘴
(
くちばし
)
の下にある。
二、三羽――十二、三羽
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
行過ぎたのが、菜畑越に、
縺
(
もつ
)
れるように、
一斉
(
いっとき
)
に顔を重ねて振返った。三面
六臂
(
ろっぴ
)
の
夜叉
(
やしゃ
)
に似て、中にはおはぐろの口を張ったのがある。手足を振って、
真黒
(
まっくろ
)
に
喚
(
わめ
)
いて行く。
小春の狐
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「そして驚いて水を飲んだ、今も
一斉
(
いっとき
)
に飲むような気がします。」と云う顔も白澄むのである。
浮舟
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
……黙って切ってくれて、ふふふんと笑うと、それまで
堪
(
こら
)
えていたらしい乗客が
一斉
(
いっとき
)
に
哄
(
わっ
)
と
吹出
(
ふきだ
)
したじゃありませんか。次の停車場へ着くが早いか、
真暗三宝
(
まっくらさんぼう
)
です。
飛降
(
とびおり
)
同然。
菊あわせ
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
聾
(
つんぼ
)
の
僻
(
ひが
)
みで、昨日悩まされた、はじめの
足疾
(
あしばや
)
な女に対するむか腹立も、かれこれ
一斉
(
いっとき
)
に
打撞
(
ぶつか
)
って、何を……天気は悪し、名所の見どころもないのだから、とっとっ、すたすた
河伯令嬢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
人間の気を奪ふため、
故
(
ことさ
)
らに
引込
(
ひきこ
)
まれ/\、やがて
忽
(
たちま
)
ち
其
(
その
)
最後の
片翼
(
かたつばさ
)
も、城の石垣につツと消えると、いままで
呼吸
(
いき
)
を詰めた、
群集
(
ぐんじゅ
)
が、
阿
(
あ
)
も
応
(
おう
)
も
一斉
(
いっとき
)
に、わツと鳴つて声を揚げた。
妖魔の辻占
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
腹が空くと、電信の針がねに一座ずらりと出て、ぽちぽちぽちと
中空
(
なかぞら
)
高く順に並ぶ。中でも
音頭取
(
おんどとり
)
が、電柱の
頂辺
(
てっぺん
)
に一羽
留
(
とま
)
って、チイと鳴く。これを合図に、
一斉
(
いっとき
)
にチイと鳴出す。
二、三羽――十二、三羽
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それから、
同一
(
おなじ
)
く、それもやはり、とって置いたものらしい。
藍鼠
(
あいねずみ
)
の派手な
縮緬
(
ちりめん
)
の
頭巾
(
ずきん
)
を取って、
被
(
かぶ
)
らないで、襟へ巻くと、すっと車へ乗る。庭に居たものは皆
一斉
(
いっとき
)
にそっちの方。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
店の人たちも三人
一斉
(
いっとき
)
に礼をしたが、十鉢ばかり、その見事な菊を並べた、ほとんど菊の中に
彳
(
たたず
)
んで、ほたりと笑いながら同じく一礼した、
十徳
(
じっとく
)
を着そうな、隠居頭の柔和な老人が見えた。
卵塔場の天女
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
……どんなお酒だったでしょうね、熱い甘露でしょう、……二三杯あがったと思うと、凍った骨、枯れた筋にも、
一斉
(
いっとき
)
に、くらくらと血が
湧
(
わ
)
いて、積った雪を
引
(
ひっ
)
かけた
蒲団
(
ふとん
)
の気で、
大胡坐
(
おおあぐら
)
。
ピストルの使い方:――(前題――楊弓)
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
尾を地へ着けないで、舞いつつ、飛びつつ、庭中を
翔廻
(
かけまわ
)
りなどもする、やっぱり羽を馴らすらしい。この舞踏が
一斉
(
いっとき
)
に
三組
(
みくみ
)
も
四組
(
よくみ
)
もはじまる事がある。
卯
(
う
)
の花を
掻乱
(
かきみだ
)
し、
萩
(
はぎ
)
の花を散らして狂う。
二、三羽――十二、三羽
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
一斉
(
いっとき
)
に
湧
(
わ
)
き
動揺
(
どよめ
)
いて、都大路を八方へ
溢
(
あふ
)
れる時、揚出しの鍋は百人の湯気を立て、
隣近
(
となりぢか
)
な汁粉屋、その氷月の小座敷には、閨秀二人が、雪も消えて、
衣紋
(
えもん
)
も、
褄
(
つま
)
も、春の色にやや
緩
(
と
)
けたであろう。
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
縁側でも
呻唸
(
うな
)
り出す——
数百
(
すひゃく
)
の虫が
一斉
(
いっとき
)
に離座敷を引包んだようでしょう、……これで、どさりと音でもすると、天井から血みどろの片腕が落ちるか、ひしゃげた胴腹が、畳の
合目
(
あわせめ
)
から
溢出
(
はみだ
)
そう。
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と
一斉
(
いっとき
)
に云いかけられて、袖で胸を
煽
(
あお
)
いでいた手を留めて
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「場所が場所だし、念ばらしに
一斉
(
いっとき
)
に
打
(
ぶち
)
まけたんだよ。」
卵塔場の天女
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
わッと響くのが
一斉
(
いっとき
)
で、相撲が四五人どッと立った。
白花の朝顔
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“一斉”の意味
《名詞》
一斉(いっせい)
平等で一様なこと。また、そのようなさま。
すべてのもの、あるいは多くのものが同時に行うさま。いちどき。
(出典:Wiktionary)
一
常用漢字
小1
部首:⼀
1画
斉
常用漢字
中学
部首:⽂
8画
“一斉”で始まる語句
一斉射撃