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一天
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いつてん
その
時、
横町を
縱に
見通しの
眞空へ
更に
黒煙が
舞起つて、
北東の
一天が
一寸を
餘さず
眞暗に
代ると、
忽ち、どゞどゞどゞどゞどゞと
言ふ、
陰々たる
律を
帶びた
重く
凄い
朝ぼらけ
一天晴れて黍の葉に雀羽たたくそのこゑきこゆ
一天は
墨すり流し
満山の桜のいろは
気負ひたちたり
たゆたひて、知らずや、かしこ
掻曇る
夜の
一天
一天霽れて、そが
下に、かゝる炎の野はあれど
一天霽れて、そが下に、かゝる炎の野はあれど
その日
一天うららかに空の色も水の色も青く
澄みて、
軟風おもむろに
小波わたる淵の上には、
塵一葉の浮べるあらで、白き鳥の
翼広きがゆたかに
藍碧なる水面を横ぎりて舞へり。
見よ、
一天は
紺青の伽藍の
廊の色にして
きのふは
仲秋十五夜で、
無事平安な
例年にもめづらしい、
一天澄渡つた
明月であつた。
小兒たちと
一所に、あら/\と、また
言ふ
隙に、
電柱を
空に
傳つて、
斜上りの
高い
屋根へ、きら/\きら/\と
青く
光つて
輝きつゝ、それより
日の
光に
眩しく
消えて、
忽ち
唯一天を
彫像の
成つた
時、
北の
一天、
俄かに
黒雲を
捲起こして
月夜ながら
霰を
飛ばした。