“はなびら”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
花片39.5%
花弁35.2%
12.4%
花瓣5.2%
花葩2.4%
1.9%
1.9%
0.5%
花辨0.5%
葩弁0.5%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
其処にある花は花片はなびらも花も、不運にも皆むしばんで居る。完全なものは一つもなかつた。それが少ししづまりかかつた彼の心を掻き乱した。
牡丹ぼたんたちまち驚いてひるがえれば、花弁はなびらから、はっと分れて、向うへ飛んだは蝴蝶ちょうちょうのような白い顔、襟の浅葱あさぎれたのも、空が映って美しい。
白金之絵図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
地は隈無く箒目の波を描きて、まだらはなびらの白く散れる上に林樾こずえを洩るゝ日影濃く淡くあやをなしたる、ほとんど友禅模様の巧みを尽して
巣鴨菊 (新字旧仮名) / 正岡容(著)
大理石色なめいしいろ薔薇ばらの花、あかく、また淡紅うすあかじゆくして今にもけさうな大理石色なめいしいろ薔薇ばらの花、おまへはごく内證ないしよ花瓣はなびらの裏をみせてくれる、僞善ぎぜんの花よ、無言むごんの花よ。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
そこでさっそくにその花葩はなびらを摘み採り、試みに白のハンケチにすりつけてみたところ少しも濃淡なく一様に藤色に染んだので
カキツバタ一家言 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
能代のしろの膳には、徳利とッくりはかまをはいて、児戯ままごとみたいな香味やくみの皿と、木皿に散蓮華ちりれんげが添えて置いてあッて、猪口ちょく黄金水おうごんすいには、桜花さくらはなびらが二枚散ッた画と、端に吉里と仮名で書いたのが
今戸心中 (新字新仮名) / 広津柳浪(著)
にほひでせう」と云つて、自分のはなを、はなびらそばつてて、ふんといで見せた。代助は思はずあし真直まつすぐつて、うしろの方へらした。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
しかれどもはなひらいて絢爛けんらんたり。昌黎しやうれいうるところ牡丹ぼたんもとむらさきいま白紅はくこうにしてふちおの/\みどりに、月界げつかい採虹さいこう玲瓏れいろうとしてかをる。はなびらごとに一聯いちれんあり。なるかないろ分明ぶんみやうにしてむらさきなり。
花間文字 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
來たのは花辨はなびらか 白い雲の斷片かけら
草鞋わらじに踏みにじった雪片は、山桜の葩弁はなびらのように、白く光ってあたりに飛び散る。
槍ヶ岳第三回登山 (新字新仮名) / 小島烏水(著)