花葩はなびら)” の例文
川音がタタと鼓草たんぽぽを打って花に日の光が動いたのである。濃くかぐわしい、その幾重いくえ花葩はなびらうちに、幼児おさなごの姿は、二つながら吸われて消えた。
若菜のうち (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そこでさっそくにその花葩はなびらを摘み採り、試みに白のハンケチにすりつけてみたところ少しも濃淡なく一様に藤色に染んだので
カキツバタ一家言 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
サラミスの長人せいたかアヤース、ギリシア軍のトロイ攻めに武勇抜群だったが敵味方ともオジッセウス戦功無双と讃めしをうらみ自殺した、その血から紫の百合花葩はなびらにアイ
(蓮の花をむしりて、二人の前にその花葩はなびらを雪のごとくに敷く。)
箕輪の心中 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
私はつらつらそれを眺めている内に我が邦上古にその花を衣に摺ったという事を思い浮べたので、そこで早速にその花葩はなびらを摘み採り試みに白のハンケチに摺り付けて見た所
植物記 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)