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雲霧
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くもきり
ふりがな文庫
“
雲霧
(
くもきり
)” の例文
ひとりの男の目まぜに働く四、五人の
黒衣
(
くろご
)
、それは
正
(
まさ
)
しく、徳川万太郎を暗殺することの
籖
(
くじ
)
を引きあてた、
雲霧
(
くもきり
)
の
仁三
(
にざ
)
の一組です。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
隔
(
へだ
)
ては
次第
(
しだい
)
に
重
(
かさ
)
なるばかり、
雲霧
(
くもきり
)
がだんだんと
深
(
ふか
)
くなつて、お
互
(
たが
)
ひの
心
(
こゝろ
)
の
分
(
わか
)
らないものに
成
(
な
)
りました、
今
(
いま
)
思
(
おも
)
へばそれは
私
(
わたし
)
から
仕向
(
しむ
)
けたので
この子
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
山のいただきは
雲霧
(
くもきり
)
にかくれてみえませんでした。やがて雪が降りはじめて、風がつめたく吹いて来ました。
幸福のうわおいぐつ
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
人間の知らない山の奥に
雲霧
(
くもきり
)
を破った桃の木は
今日
(
こんにち
)
もなお昔のように、
累々
(
るいるい
)
と無数の
実
(
み
)
をつけている。勿論桃太郎を
孕
(
はら
)
んでいた実だけはとうに谷川を流れ去ってしまった。
桃太郎
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
五月雨
(
さみだれ
)
で田圃が白くなり、
雲霧
(
くもきり
)
で遠望が煙にぼかさるゝ頃は、田圃の北から南へ出る
岬
(
みさき
)
と、南から北へと差出る
𡽶
(
はな
)
とが、
宛
(
さ
)
ながら入江を
囲
(
かこ
)
む崎の如く末は海かと疑われる。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
▼ もっと見る
もう別にうまい物を
喰度
(
たべた
)
いという気もなし、只観音様へ向ってお詫事をして居るせえか、胸の
中
(
うち
)
の
雲霧
(
くもきり
)
が晴れて善に
赴
(
おもむ
)
いたものだから、皆さんがお比丘様/\と云って呉れ
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
人はこういう
処
(
ところ
)
に、こうしていても、胸の
雲霧
(
くもきり
)
の
霽
(
は
)
れぬ事は、
寐
(
ね
)
られぬ
衾
(
ふすま
)
と
相違
(
そうい
)
はない。
春昼後刻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
松
(
まつ
)
柏
(
かしは
)
は奥ふかく
茂
(
しげ
)
りあひて、
二一
青雲
(
あをぐも
)
の
軽靡
(
たなび
)
く日すら
小雨
(
こさめ
)
そぼふるがごとし。
二二
児
(
ちご
)
が
嶽
(
だけ
)
といふ
嶮
(
けは
)
しき
嶽
(
みね
)
背
(
うしろ
)
に
聳
(
そばだ
)
ちて、千
仞
(
じん
)
の
谷底
(
たにそこ
)
より
雲霧
(
くもきり
)
おひのぼれば、
咫尺
(
まのあたり
)
をも
鬱俋
(
おぼつかな
)
きここちせらる。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
雲霧
(
くもきり
)
は流れて、ざわついて、渦巻いて
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
それからも千
束
(
ぞく
)
の稲が来る。
雲霧
(
くもきり
)
の
仁三
(
にざ
)
が来る。そのほか、有名無名の白浪たちが「目ざまし草」の胴乱をかけ、たばこを仕入れに出入りします。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
此坊
(
このばう
)
やの
生
(
うま
)
れて
來
(
こ
)
やうといふ
時分
(
じぶん
)
、まだ
私
(
わたし
)
は
雲霧
(
くもきり
)
につゝまれぬいて
居
(
ゐ
)
たのです、
生
(
うま
)
れてから
後
(
のち
)
も
容易
(
ようい
)
には
晴
(
は
)
れさうにもしなかつたのです、だけれども
可愛
(
かあい
)
い、いとしい
この子
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
弓弭
(
ゆはず
)
の
清水
(
しみず
)
を
掬
(
むす
)
んで、弓かけ松の下に立って眺める。
西
(
にし
)
は
重畳
(
ちょうじょう
)
たる磐城の山に
雲霧
(
くもきり
)
白く
渦
(
うず
)
まいて流れて居る。東は太平洋、
雲間
(
くもま
)
漏
(
も
)
る夕日の
鈍
(
にぶ
)
い
光
(
ひかり
)
を浮べて唯とろりとして居る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
しかしある寂しい朝、運命は一羽の
八咫鴉
(
やたがらす
)
になり、さっとその枝へおろして来た。と思うともう赤みのさした、小さい実を一つ
啄
(
ついば
)
み落した。実は
雲霧
(
くもきり
)
の立ち
昇
(
のぼ
)
る中に
遥
(
はる
)
か下の谷川へ落ちた。
桃太郎
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
暗き
雲霧
(
くもきり
)
は
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
たちまち
雲霧
(
くもきり
)
のように消え去ッてしまう
乱波
(
らっぱ
)
(第五列)的な土軍の出没が近ごろになっていちじるしい。
私本太平記:07 千早帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いたしませぬ
勘藏
(
かんざう
)
も
乳母
(
ばあや
)
も
長
(
なが
)
の
間
(
あひだ
)
の
心
(
こゝろ
)
づかひ
嘸
(
さぞ
)
かしと
氣
(
き
)
の
毒
(
どく
)
な
私
(
わたし
)
の
心
(
こゝろ
)
は
今
(
いま
)
もいふ
通
(
とほ
)
り
晴
(
はれ
)
てみれば
迷
(
まよ
)
ひは
雲霧
(
くもきり
)
これまでの
氣
(
き
)
は
少
(
すこ
)
しもなし
必
(
かなら
)
ず
必
(
かなら
)
ず
心配
(
しんぱい
)
して
下
(
くだ
)
さるなよと
流石
(
さすが
)
に
心
(
こゝろ
)
の
弱
(
よわ
)
ればにや
後悔
(
こうくわい
)
の
涙
(
なみだ
)
を
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
最前ここへ訪ねて来て、そこに居合せた
雲霧
(
くもきり
)
と四ツ目屋も、声を合せて笑いながら
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
雲
常用漢字
小2
部首:⾬
12画
霧
常用漢字
中学
部首:⾬
19画
“雲霧”で始まる語句
雲霧晦冥
雲霧組
雲霧茶屋
雲霧仁左衛門