部分ぶゞん)” の例文
こと浮沈室ふちんしつ機關室きくわんしつとはこのていもつと主要しゆえうなる部分ぶゞんではあるが、此事このこといては殘念ざんねんながらわたくしちかひたいして一言いちごん明言めいげんすること出來できぬ。
しかも、肩とかむねとかの高くなつてゐる部分ぶゞんに、ぼんやりした火の光をうけて、低くなつてゐる部分の影を一そうくらくしながら、永久におしの如くだまつていた。
羅生門 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
にはか空洞からりとした燒趾やけあとかぎつてつてうしろはやしたけ外側そとがはがぐるりとれて、げたえだあをえだおほうてみきちかかつた部分ぶゞんあぶらいてきら/\となめらかにかはつてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
しんのある部分ぶゞんさはつてると、しんかたく、何物なにものはいつてゐさうにもおもへぬ。が、ひねつてみると、カサヽヽとおとがして、なにやら西洋紙せいやうしのやうなかんじもする。わたしいそいで、はじからつてた。
背負揚 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
わたくしいへかへり、それより終日しゆうじつ室内しつない閉籠とぢこもつて、かねてよりくわだてゝつたこの旅行奇譚りよかうきだんの、今迄いまゝで部分ぶゞん編輯へんしう着手ちやくしゆして本書ほんしよ第三回だいさんくわいの「あやしふね」のへんまでしたゝめかけると、れ、日出雄少年ひでをせうねん稻妻いなづま
かれまた悠長いうちやう茶碗ちやわんをとつてよごれた部分ぶゞんでこすつて、さら茶釜ちやがま熱湯ねつたうそゝいであしもとのはひけた。ふたをとつたのでほう/\と威勢ゐせいよくつて水蒸氣ゆげがちら/\としろつてちるはひうた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)