たす)” の例文
天保十四年癸卯きぼう 夏、村田清風毛利侯をたすけて、羽賀台の大調練をもよおす。水戸烈公驕慢につのれりとのとがこうむり、幽蟄ゆうちつせしめらる。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
これに学問の独立を謀る所以の道ならん哉(謹聴、喝采)。おもうに、皇家をたすけ天下の学者を優待するは、内閣諸君の責なり。
祝東京専門学校之開校 (新字新仮名) / 小野梓(著)
行基ぎょうき良弁ろうべんのごとき名僧が側近にたすけたことも見逃しえないが、しかしここに感得さるるのは、そういう外的事情のみではない。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
至誠をもって、天子をたすけ、至仁をもって士農を愛し、おもむろに新しい時勢を転回して、時勢と袁紹とを戦わせるべきです。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その年の二月武帝が崩じて、わずか八歳の太子弗陵ふつりょうが位をぐや、遺詔いじょうによって侍中奉車都尉じちゅうほうしゃとい霍光かくこう大司馬だいしば大将軍としてまつりごとたすけることになった。
李陵 (新字新仮名) / 中島敦(著)
殊にこれをたすけて居る司令長官などはなかなか世界の事情に通じて居って、容易に人の口車に乗るような方ではない。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
燕王自らその縛を解いて曰く、皇考の霊、なんじもって我に授くるなりと。って兵を挙ぐるの故を語る。成感激して心をし、ついに世子をたすけて北平を守る。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
令嬢は舌の先でこの発明家の事業をたすける事が出来たなら、こんな結構な事はないと思つてゐたのだ。エデイソンは小匙こさじ乳鉢にゆうはちの薬料を一寸しやくつた。
この際、朝威をたすけ、諸侯と共に王命を奉戴ほうたいして、外国の防侮に力を尽くさなかったら、この日本のことはいかんともすることができないかもしれないと。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
父の芸の道に於て、僕には父をどうたすけようもなく、そのことを思うと、いつも淋しい気持にとらわれます。
わが師への書 (新字新仮名) / 小山清(著)
かくて上世そのかみの伝説外相を変えて、ミカエル尊者、ジョージ尊者等、上帝に祈りて竜を誅した譚となり、以前ローマの大廟カピトル窟居くっきょして大地神女ボナ・デアたすけ人に益した神蛇も
それから数日して重二郎の失踪は確定的となったが、それにつれて帳簿の整理が行われ、喜兵衛の親友でありチヨの実父たる三原太兵衛が家業に不馴れな清作をたすけて指図する。
それらの無数に起伏して異った中心を作る諸性が互にたすけ合い、埋め合せ、もしくは互にね返し、闘争して、不断の流転を続けることに由って私の自我は成長し、私の生活は開展する。
母性偏重を排す (新字新仮名) / 与謝野晶子(著)
西郷以下の武断派を代表した人はまず亡くなり、次いで文治派の人も、即ち大久保おおくぼ木戸きどというが如き人々もすでに三十年前に亡くなり、これをたすけた人々もまた多数は亡くなっている。
賢良方正の士を挙げてこれをたすけ、一片の私心なく半点の我欲なく、清きこと水のごとく、なおきこと矢のごとく、己が心を推して人に及ぼし、民をするに情愛を主とし、饑饉ききんには米を給し
学問のすすめ (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
只清盛が一二三人果にんくわ大にして、親族氏族うからやからことごとく高き官位につらなり、おのがままなる国政まつりごと執行とりおこなふといへども、一二四重盛忠義をもてたすくる故、いまだときいたらず。汝見よ、平氏も又久しからじ。
お絹さんは母をたすけてよく働いています。
青春の息の痕 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
新帝はいまだ幼少のこととて君が故旧たる霍子孟かくしもう上官少叔じょうかんしょうしゅくが主上をたすけて天下の事を用いることとなったと。
李陵 (新字新仮名) / 中島敦(著)
女仙外史の名は其のじつを語る。主人公月君げっくん、これをたすくるの鮑師ほうし曼尼まんに公孫大娘こうそんたいじょう聶隠娘しょういんじょう等皆女仙なり。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
彼この時において、寡婦孤児をたすけ、以て内外の大難をやすんず、千載の下、れか彼の精誠を諒するものぞ
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
ここに三浦兵衛尉義勝ひょうえのじょうよしかつとありますよ。この人はじゅ五位だ。元弘げんこう二年新田義貞にったよしさだたすけて、鎌倉かまくらを攻め、北条高時ほうじょうたかときの一族を滅ぼす、先世のあだかえすというべしとしてありますよ。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
なんじらもろもろの臣、ちんたすけて、政事に忠良なれ
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
大老これを上につかさどり、間部これを下にたすくるに非ざるよりは、天下の事、いずくんぞここに至らんや。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
古の士は国に道あれば忠を尽くしてもってこれをたすけ、国に道無ければ身を退いてもってこれを避けた。こうした出処進退の見事さはいまだ判らぬと見える。詩にう。
弟子 (新字新仮名) / 中島敦(著)
太祖の挙止端整なるを喜びて、皇孫にって曰く、この荘士、まさその才を老いしめて以てなんじたすけしめんと。えつ十年にして又すすめられて至る。太祖曰く、今孝孺を用いるの時にあらずと。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
それをたすける・しかつめらしい老獪ろうかい上卿しょうけい孔叔圉こうしゅくぎょ(自分の姉の夫に当る爺さんだが)の下で、蒯聵かいがいなどという名前は昔からてんで聞いたこともなかったような顔をして楽しげに働いている。
盈虚 (新字新仮名) / 中島敦(著)