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負
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ひ
ふりがな文庫
“
負
(
ひ
)” の例文
泳ぎにかけちゃ、こう見えても、
己惚
(
うぬぼ
)
れじゃねえが、夏場よくこの
河岸筋
(
かしすじ
)
で師範している何とか流の先生にも
負
(
ひ
)
けはとらねえつもりだが
魚紋
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
じきにタキシイに飛びのって、行きつけの
家
(
うち
)
へ走らせたが、部屋へ納まっても、何か仮り着をしているようで、庸三は気が
負
(
ひ
)
けた。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
ソレハ自分ノ女房ハ踊リ子上リダト云ウ
負
(
ひ
)
ケ目ガアルタメニ、自然ソウナッタノデアルガ、ソレガ一層「若奥様」ヲ増長サセル結果ニナッタ。
瘋癲老人日記
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「私、あなたに
負
(
ひ
)
けを取らせたくないと思って一生懸命になっているんですけれど、必ず貰えるって保証は致しませんよ」
求婚三銃士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
自分がしたのだという
負
(
ひ
)
け目のようなものもあったし、それと同時にはまた、そのためには自分が残ってよかったという安堵に似たものもあった。
宇宙爆撃
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
▼ もっと見る
自分はただ院の御愛情だけを力にして今の所は
負
(
ひ
)
け目がないとしても、そのお志というものも遂には衰えるであろう
源氏物語:35 若菜(下)
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
東京へ引き上げた後も
季節
(
シーズン
)
毎に村に帰つて——堀口達を牽制しつゞけてやることが出来る。百合子は、この頃こそ騎手にならなかつたが、誰にも
負
(
ひ
)
けを
南風譜
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
歯切れのよいその男を後に従えていたならば、商人どもの交渉にも
負
(
ひ
)
け目を見せずに済むだろうと思うのだ。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
女子衆達にあと/\まで羨まれしも必竟は姉さまの威光ぞかし、我れ寮住居に人の留守居はしたりとも姉は大黒屋の大卷、長吉風情に
負
(
ひ
)
けを取るべき身にもあらず
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
言うのだ。僕だって昔の僕じゃない。全身、傷だらけだ。あなたも、苦労したろうね。お互いだ。僕だって、よごれているのだ。君は、君の暗い過去のことで
負
(
ひ
)
けめを
デカダン抗議
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
ことさらに胸にのこった紀介様のおからだの重みも御身様の前で申し上げるのも何となく気が
負
(
ひ
)
けるような気になりますけれど、人の美しいちからはどのようにしても
玉章
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
それは彼女もフランスの美食家に
負
(
ひ
)
けをとらない、珍奇な喰べ物を探しだしたからであつた。
殴る
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
脱腸をはじめ、数えれば切りのない多くの
負
(
ひ
)
け目が、皮膚のようにへばりついていたのだ。
放浪
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
ある大事な一点で何人にも
負
(
ひ
)
けを取らぬ自信と、その自信が自分に与へられた光栄とを深く心に秘め、如何なることがあらうとも物に動じない覚悟ができてゐることであります。
青年の矜りと嗜み:――力としての文化 第四話
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
才智男前も人樣に
負
(
ひ
)
けは取らず、少しは附き合ひも知つて居りますが、世間の噂に上るやうな馬鹿はせず、何處か拔目がなくて、人柄がよくて、親父の彦太郎自慢の息子でした。
銭形平次捕物控:146 秤座政談
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
ただ武士の一念として、二人、三人を対手に——これでも
負
(
ひ
)
けを取ろうとは思わぬが、又、勝てるという自信も無い。勝てる、とは、卑怯ないい草じゃ。わしは、生きて戻る所存は無い。
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
死をもてあそぶ感動の水位などは長い省察を裏切るだけでつまらぬことだと思ひながら、やつぱり水位の低いことが
負
(
ひ
)
け目に思はれ、腹が立つてくるのであつた。キミ子は急に目をそらした。
外套と青空
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
「しかも安祥旗本で、家柄にかけては、
負
(
ひ
)
けを取らぬ」
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
やはり自分は田舎侍であったという正直な
負
(
ひ
)
け
目
(
め
)
である。しかし相手がそれを
見下
(
みくだ
)
しているような
倨傲
(
きょごう
)
でないことは十分にわかっていた。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
見たところお玉さんは、単純と従順そのもののような女だったが、内心
負
(
ひ
)
け目を感じているらしく朗らかだとは言えなかった。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
女子衆
(
をんなしゆ
)
達にあとあとまで
羨
(
うらや
)
まれしも
必竟
(
ひつきやう
)
は姉さまの威光ぞかし、我れ寮
住居
(
ずまい
)
に人の留守居はしたりとも姉は大黒屋の大巻、長吉
風情
(
ふぜい
)
に
負
(
ひ
)
けを取るべき身にもあらず
たけくらべ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
それは彼女もフランスの美食家に
負
(
ひ
)
けをとらない、珍奇な喰べ物を探しだしたからであつた。
小熊秀雄全集-15:小説
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
才智男前も人様に
負
(
ひ
)
けは取らず、少しは付き合いも知っておりますが、世間の
噂
(
うわさ
)
に上るような馬鹿はせず、どこか抜け目がなくて、人柄がよくて、親父の彦太郎自慢の息子でした。
銭形平次捕物控:146 秤座政談
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
しかし、同僚の女たちに
負
(
ひ
)
け目を感じるほどの器量だとは思つてゐなかつた。
髪の毛と花びら
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
何時でも酒が仲にはいっていたが、女の事で張り合ったこともなく、文学論なぞしたこともない。私はお金がとれる愉快さに濫作に昼夜を上げて書いていたから、金では萩原に
負
(
ひ
)
け目はなかった。
我が愛する詩人の伝記
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
五つも六つも若いように
吹聴
(
ふいちょう
)
している大谷夫人は、年の多い丈けが自分の方が
負
(
ひ
)
け目だと思っている。他の点では決して負けない積りだ。高等官と支店長なら主人の格式も似たり寄ったりだろう。
求婚三銃士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
この小暴君の暴君ぶりも、可愛くてたまらないのに、そのことと、母のじぶんの
負
(
ひ
)
け
目
(
め
)
とが悲しくからみあってしまうのだった。
私本太平記:07 千早帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
女子衆達
(
をんなしゆたち
)
にあと/\まで
羨
(
うらや
)
まれしも
必竟
(
ひつきやう
)
は
姉
(
あね
)
さまの
威光
(
いくわう
)
ぞかし、
我
(
わ
)
れ
寮住居
(
りようずまい
)
に
人
(
ひと
)
の
留守居
(
るすい
)
はしたりとも
姉
(
あね
)
は
大黒屋
(
だいこくや
)
の
大卷
(
おほまき
)
、
長吉風情
(
ちやうきちふぜい
)
に
負
(
ひ
)
けを
取
(
と
)
るべき
身
(
み
)
にもあらず
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
東金で仕込まれたが、柄がいいのでみすみす
田舎
(
いなか
)
芸者にするのが惜しまれ、新橋の森川家へあずけて、みっちり仕込んでもらっただけに芸でも
負
(
ひ
)
けは取らなかった。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
南、北の両奉行のうちで、今、老先生にも
負
(
ひ
)
けをとらない名捕手とはいったい誰であろうか、と東儀与力は、首をひねった。
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
物質的にまだ一度もこれという力を貸していないことに相当
負
(
ひ
)
け目も感じていたので、そんな点では決してぼんやりしていない彼女なので、何かの
手蔓
(
てづる
)
を見つけて
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
そういわれれば、俺はこの獄人の中では愚かな事、どんな悪党のなかへ顔を出しても、
負
(
ひ
)
けを取らない強悪な男だからな。
茶漬三略
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ただ均一を見舞うだけの旅行であったが、
逢
(
あ
)
ってみると別に話すべきこともなく、今の自分の姿にも
負
(
ひ
)
け
目
(
め
)
が感じられ、後は加世子に
委
(
まか
)
せて、ベランダへ出て風に吹かれていた。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
だが、母性としての悲しみは、依然として、悲しみであり、世間へも
良人
(
おっと
)
へも、いいしれない
負
(
ひ
)
け
目
(
め
)
を感じて、その憂いは
拭
(
ぬぐ
)
うことができなかった。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そうした上は、武士の面目も立つ、
近郷
(
きんごう
)
への評判もようなる、まず、
吉野郷
(
よしのごう
)
で
負
(
ひ
)
け
目
(
め
)
をとる
家統
(
いえすじ
)
は
他
(
ほか
)
にはあるまいてな
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
男ぶりから云っても、悪事の腕にかけても、山岡屋の才助は、一歩の
負
(
ひ
)
け目をこの男には感じずに居られない。
魚紋
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
黄祖のために、むなしく遠征の途において敗死した孫堅以来、二代孫策、そしていま三代の孫権に仕えて、歴代、武勇に
負
(
ひ
)
けをとらない呉の宿将として——
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
『十内老人が? ……あの老人は、何事にも、若い者より先立って、気慨の強いのでは
負
(
ひ
)
けをとらぬ方だのに』
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
これなら剛健で、武勇は槍組の随一と聞えているし、戦国の士として、
負
(
ひ
)
け
目
(
め
)
は取らないが、ただ寧子とはあまり年がちがう。それに一度妻をもった人でもあるし
日本名婦伝:太閤夫人
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「——あいつも、事に当れば
負
(
ひ
)
けをとらない男ですが、たった一つ、そいつが
彼
(
あ
)
れのやまいでしてね」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
夕方ぶつかった六部のような人間では不気味だが、もう
二十歳
(
はたち
)
も超えながら、前髪や若衆小袖でぺらぺらしているような柔弱者に、よも
負
(
ひ
)
けを取ろうとは思われない。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そして自分に対して、何となく、
負
(
ひ
)
け
目
(
め
)
を感じているような友の弱気を、むしろ歯がゆく思った。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
また、自分のすがたが——いや心がいかにも
見窶
(
みすぼ
)
らしく思えて
負
(
ひ
)
け
目
(
め
)
を感じるらしいのである。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「む、ちょうどいい人物がある。あれならば、年は若いし、
頭脳
(
あたま
)
はすばらしくよいし、決してこの江漢にも
負
(
ひ
)
けはとらぬ名捕手と思う。わしが推挙すれば、彼よりほかはない」
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
世に問うて見るも早くはなかろう。滅多にそこらのお天狗な刀鍛冶たちに
負
(
ひ
)
けはとるまい。この上とも、精進一途に、大を成すように心懸けい。それには、身も慎んでな。——よいか
山浦清麿
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
世の中に、
不愍
(
ふびん
)
な人間という者をかぞえれば、路傍の物乞いより、
明日
(
あす
)
の知れない瀕死の病人より、そういう日常坐臥に、人間のくせに、人間に対して
負
(
ひ
)
け
目
(
め
)
をもっている悪人である。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
同じ
負
(
ひ
)
け
目
(
め
)
は、小柳生城のうちで柳生の四高弟に囲まれた時にもうけた。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「その為に、ここ数ヵ月、兵馬も鍛えてある。奴らに
負
(
ひ
)
けをとるものか」
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
殊には、いまや主人の忠平も、自分に
負
(
ひ
)
け目をもっている。それだに、愉快でならないところへ、彼は、不死人という人間に、先夜以来、甚だ心がひかれていた。これが、賊とよばれる悪人だろうか。
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ただ
挙止
(
きょし
)
やことばが静かなだけで、酒量は誰にも
負
(
ひ
)
けはとらない。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“負”の意味
《名詞》
(フ)実数で零(無)より小さい数。
(フ)悪い状態。否定的な状態。厭わしい状態。
(出典:Wiktionary)
負
常用漢字
小3
部首:⾙
9画
“負”を含む語句
背負
脊負
負傷
勝負
負惜
手負
負債
負傷者
請負
気負
引背負
背負梯子
贔負
負目
背負上
背負籠
背負子
御負
背負投
負嫌
...