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誤魔化
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ごまか
ふりがな文庫
“
誤魔化
(
ごまか
)” の例文
町役人は人別帳を控えて、かねて家主から渡しておいた短冊形の切手と引換えですから、手数な代り
誤魔化
(
ごまか
)
しも間違いも起りません。
銭形平次捕物控:029 江戸阿呆宮
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
新聞の漫画を見ていると、野良のむすこが
親爺
(
おやじ
)
の金を
誤魔化
(
ごまか
)
しておいて、これがレラチヴィティだなどと済ましているのがある。
アインシュタインの教育観
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
川上の産ませた子を
誤魔化
(
ごまか
)
して、秘密に里子にやってしまったということをきくと、そんな夫とは縁を断ってしまえと言出した。
マダム貞奴
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
平気で
誤魔化
(
ごまか
)
して行こうとしたりなさる御模様があったら、念のために書いて置きましたほかの一通を警察署へ出して頂きます。
少女地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
ところが、そんなことをデカ/\と書いた直ぐ後から、
到
(
いた
)
る処で党が活動している。それはどう
誤魔化
(
ごまか
)
しようにも誤魔化しがきかなかった。
党生活者
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
▼ もっと見る
まだ幼稚な者に向って、説いても無益と思いながら、武蔵には、少年に対しても、よいほどにものを
誤魔化
(
ごまか
)
しておくということができない。
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
曖昧
(
あいまい
)
な事を言って
誤魔化
(
ごまか
)
してしまおうとするのだが、造酒は、テッキリ園絵とばかり思いこんでいるので、深く追究もない。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
同じく用器とはいいますが、一時まに合せの
誤魔化
(
ごまか
)
し物であって、用には極めて不忠実な粗悪なものとなっています。
民芸四十年
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
そこで苦し紛れに信州から養殖のはやを取り寄せ、利根で釣れたのですといって
誤魔化
(
ごまか
)
したところ、
蛹
(
さなぎ
)
臭いので直ぐ化けの皮が現われたという話である。
水と骨
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
「とても
秤
(
はかり
)
を
誤魔化
(
ごまか
)
すんですよ。薪屋はどうしても二十四斤半というのだけれど、私は二十三斤半で勘定してやればいいと思います。どうでしょうかね?」
幸福な家庭
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
「いや、それは何んでもありません。御心配なさいますな。何んでもありませんから。」と医師は
誤魔化
(
ごまか
)
した。
花園の思想
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
もう僕と
異
(
ちが
)
ったものですから、虚飾にみちた自家広告も
愛嬌
(
あいきょう
)
だと思い、続けて自己嫌悪を連ねようと考えたのですが、シェストフで、
誤魔化
(
ごまか
)
して置きます。
虚構の春
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
……大師流で
手蹟
(
て
)
はいいが、見てくればかりで品がねえ。筆蹟は人格を現すというが、いや、まったく、よく言ったもんだ、こればっかりは
誤魔化
(
ごまか
)
せねえの。
顎十郎捕物帳:06 三人目
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
一種の
誤魔化
(
ごまか
)
し句と言われても弁護の余地がないのである。其処の区別はよほど注意しなければならぬ。
俳句はかく解しかく味う
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
若
(
も
)
し其時落第せず、唯
誤魔化
(
ごまか
)
して
許
(
ばか
)
り通って来たら今頃は
何
(
ど
)
んな者になって居たか知れないと思う。
落第
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
で、
莫迦莫迦
(
ばかばか
)
しいようだが、ドイツは、
盲人
(
めくら
)
に、よいように手紙を読んでやる長屋の悪書生みたいな
遣
(
や
)
り方で、アフガニスタンを
誤魔化
(
ごまか
)
してなにかせしめようとした。
戦雲を駆る女怪
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
しかし、その時も、私たちの怒りは、おかみさんの不得要領な哀訴嘆願で
誤魔化
(
ごまか
)
されて、しまった。
踊る地平線:02 テムズに聴く
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
第三句までは序詞で、この程度の序詞は万葉には珍らしくないが、やはり
誤魔化
(
ごまか
)
さない写生がある。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
クラス講義の方は何とか
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(
ごまか
)
せたが、問題は夜の社交的という方である。新聞では八時から九時半ということになっていたが、とても一時間半はつとまりそうもない。
ネバダ通信
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
「賞与を
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(
ごまか
)
したり俸給を匿したりするのは何処かにお金を使うところがあるからでございますわ。奥さまは村島さんから主人の噂を何かお聞きじゃございませんの?」
好人物
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
どうして己に、其れ程の小遣いがあるかと云うと、大きな声では云えないが、帳場の金を少しずつ
誤魔化
(
ごまか
)
して居るのだ。買い物にやられる度毎に、己はこっそりと頭をはねる。
小僧の夢
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
しかし、私は親の勝手な量見に
謟
(
へつら
)
つたり、僞善的
口吻
(
こうふん
)
を洩したり、または
誤魔化
(
ごまか
)
しの後押しをしようと思つて書いてゐるのではない。私は、たゞ眞實を語らうとしてゐるのだ。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
米国の西部海岸に備えつけられた水中聴音機や其の辺を
游戈
(
ゆうよく
)
している監視船、さては太平洋航路を何喰わぬ顔で通っている堂々たる
間諜船舶
(
かんちょうせんぱく
)
の眼と耳とを
誤魔化
(
ごまか
)
すためだったのだ。
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「あなたひとりに身も世も捨てた」と云う
小唄
(
こうた
)
をうたって、
誤魔化
(
ごまか
)
して暮していた。
清貧の書
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
将又
(
はたまた
)
ファルスの発生なぞということに
就
(
つい
)
て一言半句の差出口を加えることさえ不可能であり、
従而
(
したがって
)
、最も
誤魔化
(
ごまか
)
しの利く論法を用いてやろうと心を砕いた次第であるが、——この
言草
(
いいぐさ
)
を、又
FARCE に就て
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
え、それじゃ女は薬を飲んでるのか、然し、おい、
誤魔化
(
ごまか
)
しちゃいけねえぜ。薬を飲ませて裸にしといちゃ差引
零
(
ゼロ
)
じゃないか、卵を食べさせて男に
蹂躙
(
じゅうりん
)
されりゃ、差引欠損になるじゃないか。
淫売婦
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
「いや何、これは何んでもござらぬ」老師は透かさず
誤魔化
(
ごまか
)
しにかかる。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
そして、それが私の
羞恥
(
しゅうち
)
を
誤魔化
(
ごまか
)
した。
麦藁帽子
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
狼狽
(
ろうばい
)
した余り、娘はこう
誤魔化
(
ごまか
)
した。
貉
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
弘 (笑って)うまく
誤魔化
(
ごまか
)
した。
みごとな女
(新字新仮名)
/
森本薫
(著)
殺したに違いあるまい。うんにゃ、隠したって駄目だ。お上の眼は
晦
(
くら
)
ませても俺の眼は
誤魔化
(
ごまか
)
せねえ。あの水の中で、
鮭
(
しゃけ
)
のように腹を
銭形平次捕物控:016 人魚の死
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
極めて科学的な、絶対に
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(
ごまか
)
しの無い
俯仰
(
ふぎょう
)
天地に恥じざる真実の記録と信ずる次第で……御座います……かね……ヤレヤレ。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「うんにゃ、そうに違いねえ。うぬが隠し男を持っているので、なんとか、おれを甘口に乗せて
誤魔化
(
ごまか
)
していやがるのだろう」
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
決して
誤魔化
(
ごまか
)
しをやらない。「衣川の漆器は丈夫だという評判です」。そう村の人も話している。実に手堅い塗ということが、この衣川漆器の生命である。
陸中雑記
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
「馬も悪くはないが、しかし、まあ一長一短というところだろうな。」あいまいに
誤魔化
(
ごまか
)
した。
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
二人の車掌が詰め寄るような勢いを示して
声高
(
こわだか
)
にものを云っていた。「
誤魔化
(
ごまか
)
そうと思ったんですか、そうじゃないですか。サア、どっちですか、ハッキリ云って下さい。」
雑記(Ⅰ)
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
下塗
(
したぬ
)
り
奴
(
やっこ
)
にでも
紛
(
まぎ
)
れ込んで八丁堀の眼を
誤魔化
(
ごまか
)
すために、進んでここへ現れたのであろうか?
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
いま乾板現像液で茶色に染まってる手を出して、他人の
賭金
(
ステイキ
)
を
誤魔化
(
ごまか
)
してさらえ込もうとしている——AA! 何て
素走
(
すばし
)
っこい事業でしょう! あたしはあの人を讃美します。
踊る地平線:09 Mrs.7 and Mr.23
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
「私、あなたなんかに
誤魔化
(
ごまか
)
されませんわ。甘く見ていらっしゃるから、
懲
(
こら
)
しめの為めよ」
求婚三銃士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
さいわい片側だけの見物で、象の血を見た
人数
(
にんず
)
もあまりたんとではない。さまざまに世話役が骨を折り、
舁役
(
かきやく
)
が怪我をしたのだと
誤魔化
(
ごまか
)
してようやくおさまりをつけてホッと胸を撫でおろす。
平賀源内捕物帳:山王祭の大像
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
結句の「も」は「さを鹿鳴くも」の「も」に等しい。万葉にはこの種類の歌がなかなか多いが皆相当なものだというのは、実質的で
誤魔化
(
ごまか
)
さぬのと、奥に恋愛の心を
潜
(
ひそ
)
めているからであるだろう。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
石川孫三郎の顔は
硬張
(
こわば
)
りました。何と言おうと、どう
誤魔化
(
ごまか
)
そうと、この
悪戯
(
いたずら
)
は、屋敷内に住んでいる者の仕業でなければなりません。
銭形平次捕物控:098 紅筆願文
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
そうしてそのお話というのは大抵、校友会費に関係した事ばかりで、お二人でその
誤魔化
(
ごまか
)
し方を熱心に研究なさるのでした。
少女地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
武蔵は、その彫りに向って、技巧を心得ている
玄人
(
くろうと
)
ではない。また、賢い逃げ道や、上手らしい小刀の
痕
(
あと
)
をつけて
誤魔化
(
ごまか
)
してゆく方法を知らない。
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかも
自家使
(
うちづか
)
いのものや、特別の注文による品は念入りに作られます。これに対し儲けるために粗製
濫造
(
らんぞう
)
した商品の方には、
誤魔化
(
ごまか
)
しものが多くなります。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
大阪の
天王寺
(
てんのうじ
)
の五重塔が倒れたのであるが、あれは文化文政頃の
廃頽期
(
はいたいき
)
に造られたもので正当な建築法に拠らない、肝心な箇所に
誤魔化
(
ごまか
)
しのあるものであったと云われている。
颱風雑俎
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
ことさら僕が国籍を
誤魔化
(
ごまか
)
したわけではなく、全体、はじめて口を利いたとき、リンピイが頭からお前は
支那公
(
チンク
)
だろうと決めてかかって来たので、正誤するのも面倒くさかったし
踊る地平線:08 しっぷ・あほうい!
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
石川孫三郎の顏は
硬張
(
こはば
)
りました。何と言はうと、どう
誤魔化
(
ごまか
)
さうと、この
惡戯
(
いたづら
)
は、屋敷内に住んでゐる者の
仕業
(
しわざ
)
でなければなりません。
銭形平次捕物控:098 紅筆願文
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
叔父はそうした旧悪に対する一種の自白心理を利用して私たちを
誤魔化
(
ごまか
)
そうと試みているので、友丸伊奈子と私とはその実、タネ違いの
兄妹
(
きょうだい
)
とも
鉄鎚
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
すこしも、
憚
(
はばか
)
るには当らんじゃないか。武士は武士、町人は町人、
自
(
おのず
)
からの立場がある。正道を踏むというのは、その立場に揺ぎや
誤魔化
(
ごまか
)
しのないことを云うのだ
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
誤
常用漢字
小6
部首:⾔
14画
魔
常用漢字
中学
部首:⿁
21画
化
常用漢字
小3
部首:⼔
4画
“誤魔化”で始まる語句
誤魔化読