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訝
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おか
ふりがな文庫
“
訝
(
おか
)” の例文
と
撫
(
なで
)
て見ると
訝
(
おか
)
しな
手障
(
てざわり
)
だから財布の中へ手を入れて引出して見ると、
封金
(
ふうきん
)
で百両有りましたから
恟
(
びっく
)
りして橋の
袂
(
たもと
)
まで
追駆
(
おっか
)
けて参り
文七元結
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
なるほど、どうも様子が
訝
(
おか
)
しいと思ったら、盲人であったか、道理こそさいぜんから口だけ親切で、身体に気を許さないのがわかった。
大菩薩峠:19 小名路の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
それ故商人に有勝ちな急用で、旅行云々などとは受取れぬ話である。殊に規律の正しい伯父が、旅行先を明記しないのも
訝
(
おか
)
しい。
P丘の殺人事件
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
(——清水茂は異常な恐怖に
迫
(
おそ
)
われているらしく顔色を蒼白に変えながら語った)……はて、これは
訝
(
おか
)
しなことがあるものだ。
象牙の牌
(新字新仮名)
/
渡辺温
(著)
と。かかる
滑稽
(
こっけい
)
な事を聞いた私は我知らず吹き出して大いに笑いましたが、かの主僧はその大笑に
訝
(
おか
)
しな顔をして居りました。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
▼ もっと見る
いまになってみると、どうしてあんな女に
惚
(
ほ
)
れこんだかわけがわからねえ、正直のところ自分で自分が
訝
(
おか
)
しいくらいなんだ。
赤ひげ診療譚:04 三度目の正直
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
そうしたら伯母さんが
怪訝
(
けげん
)
な顔をして、「それは
訝
(
おか
)
しい。チーちゃんというのは私の家の娘ではありません。あの子の
真実
(
ほんとう
)
の妹でございますよ」
あの世から便りをする話:――座談会から――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
そうして腕を組み直しながら、今一度よく考え直してみましたが、そのうちに私は又、とても
訝
(
おか
)
しい……
噴飯
(
ふきだ
)
したいくらい変テコな事実に気が付いたのです。
死後の恋
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
それから、もう一つ
訝
(
おか
)
しいことがある。この前の二人は、余程の浜村屋贔屓とみえて、髪は路考髷に結い、路考茶の着物を着、帯は路考
結
(
むすび
)
にしていたそうだ。
平賀源内捕物帳:萩寺の女
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
第一、あんな
恰好
(
かっこう
)
をして都中をほっつき歩いていることからして、
訝
(
おか
)
しいとは思わないかい? いくら人目を避ける変装だからと云ったって、あれは少々極端だ。
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
こいつは
訝
(
おか
)
しいぞ! それにこの手紙の書きぶりは、罪を犯した人間の書きぶりとはまるで違う。
鼻
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
もしあれが続いていたら、自分でいうのも
訝
(
おか
)
しいが、世界に出しても恥しくなくまた一面日本の誇りにもなるものが出来たろうと、今でも腕を
撫
(
ぶ
)
して残念に思っている次第である。
牧野富太郎自叙伝:01 第一部 牧野富太郎自叙伝
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
どうして、と綱雄は目を送れば、なにね、何でもありませんけれどね、あのー、あのー、ただなんだか
訝
(
おか
)
しいの。だから私は好かないと思っていますの。と目顔に言わする心の中。
書記官
(新字新仮名)
/
川上眉山
(著)
訝
(
おか
)
しな陽気だと思って居りましたよ、旦那、やっぱり風が出て来ましたね、と云うハンドルを握った運転手の声に、それ迄ウツラウツラ居眠って居た私ははっと気付いて窓の外を眺めますと
陳情書
(新字新仮名)
/
西尾正
(著)
「おや、
訝
(
おか
)
しな事を言うね、私が綾吉を殺したとでも——」
銭形平次捕物控:026 綾吉殺し
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「眼の下ヘポツリと
訝
(
おか
)
しな腫物が出来て、その腫物が段々腫れ上がってくると、紫色に少し赤味がかって、爛れて膿がジクジク出ます、眼は一方は腫れ塞がって、その顔の
醜
(
いや
)
な事というものは何ともいいようが無い」
我が円朝研究:「怪談牡丹灯籠」「江島屋騒動」「怪談乳房榎」「文七元結」「真景累ヶ淵」について
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
村の入口には眼になれた田舎酒屋の看板と申すも
訝
(
おか
)
しいが、兎に角酒屋の目印となっておりまする杉の葉を丸く束ねたのが出ています。
根岸お行の松 因果塚の由来
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「かの荷物は
天和堂
(
テンホータン
)
で荷造りをして居る時は
薬舗
(
やくほ
)
へ預けて置くような風であったが
今日
(
きょう
)
運んで行くところを見ると
訝
(
おか
)
しい」
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
「そうなの、わたしも
訝
(
おか
)
しいと思った、絵描きだ、絵描きだ、といって、ちっとも絵を描かないじゃありませんか」
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
生前
(
せいぜん
)
原稿を毎日書いていた位の男が、死ぬと急に原稿が何であるかということを知らなかったのはどうも
訝
(
おか
)
しい。
あの世から便りをする話:――座談会から――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「そうなの、家の母さんは此五六日ほんとに様子が
訝
(
おか
)
しいのよ。貴郎はそれに気がお付きになって?」
P丘の殺人事件
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
焼いたパンの中から鼻が飛び出したなどというのも
訝
(
おか
)
しいし、当のイワン・ヤーコウレヴィッチはいったいどうしたのだろう?……いや、わたしにはどうもわからない
鼻
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
……どうしてって
素振
(
そぶ
)
りが第一
訝
(
おか
)
しいじゃないか。
生娘
(
きむすめ
)
の癖に、亭主持ちの真似をして、一年近くも物凄い
廃屋
(
あばらや
)
に納まっているなんてナカナカ義理や物好きでは出来るものじゃないよ。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
と聞いて内証では
何
(
ど
)
うも様子が
訝
(
おか
)
しい、知ってる人だから朝勘定でも
宜
(
い
)
いんだが、金の遣振りが訝しいから宵勘定に下げて貰え。
政談月の鏡
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
而
(
しか
)
も一時間も前に同じ汽車でこの土地に着いていながら、今迄
何処
(
どこ
)
にいたものであろう。そして最も
訝
(
おか
)
しいのはグヰンの服装が停車場で見た時と
異
(
ちが
)
っていた事である。
緑衣の女
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
それはなるべくそういうことをしないように
警護
(
けいご
)
の僧を付けてある。ところがその警護の僧が
訝
(
おか
)
しい。自分が
見張
(
みはり
)
をして居りながらなるべくそれを取らせるようにする。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
そうして朝から晩まで、食事の時でも膝をはなさないで
大切
(
だいじ
)
がっているのが
訝
(
おか
)
しいほどである。
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
それは、これから説明しますが、おやおやと私が
訝
(
おか
)
しく思っているうちに、その浮標は、ずんずんと海中に沈んでいったんです。(あっ、潜水艦だ!)と気がついたときには、もうあとの祭です。
人造人間エフ氏
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
新「
何
(
なん
)
だね、見捨てるの見捨てないのと、
昨夜
(
ゆうべ
)
初めて松戸へ泊ったばかりで、見捨てるも何も無いじゃアないか、
訝
(
おか
)
しく疑るね」
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
お君はこの米友を忘れてしまったのか、あんな仲間へ入っているうちに
気象
(
きしょう
)
が変って、俺らのことなんぞはどうでもいいことにしてしまったんじゃあるまいか、どうも
訝
(
おか
)
しい。
大菩薩峠:10 市中騒動の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「だって先生、科学的には非常に信用が置けるし、言うことも普通であるし、
友誼
(
ゆうぎ
)
も
潔癖
(
けっぺき
)
であるほど厚いし、
殊
(
こと
)
に細君のことなど潔癖で、細君が死んでから他の女には絶対に接しなかったという程の人格者としては
訝
(
おか
)
しいですが」
あの世から便りをする話:――座談会から――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
とんと
手前
(
てまい
)
商いのことは知りません、家来がやると申すので始めましたのだけれども、
廉
(
やす
)
う売るのを咎めるのは
些
(
ち
)
と
訝
(
おか
)
しいように心得ます
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
唄が少々疲れてきたのと、四天王の祈りがばかに景気よくなって、無暗に
珠数
(
じゅず
)
を
押揉
(
おしも
)
む形が、珠数を揉むよりも、芋を揉むような形に見え出したのだから、道庵が
訝
(
おか
)
しいと見ました。
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
平「ヘエ……おい、お前
私
(
わし
)
が迷惑するよ、冗談じゃアない、困るよ、
疾
(
と
)
うに金は届いてる
処
(
とこ
)
へ又百両持って来るてえのは
訝
(
おか
)
しいじゃアないか」
文七元結
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
能登守の家中に左様な者があるとは
訝
(
おか
)
しいとあって、今こちらへ調べにおいでなさるところなんでございます、それにつかまって
御覧
(
ごろう
)
じろ、
退引
(
のっぴき
)
がなりません、それを聞き込んだから
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
永「七兵衞さん、
先刻
(
さっき
)
お前、
私
(
わし
)
におつう
云掛
(
いいか
)
けたが、お前はお梅はんと私と
訝
(
おか
)
しな事でも有ると思って
疑
(
うたぐ
)
って居やアせぬか」
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
それにしても二人の役人ぶりが少し
訝
(
おか
)
しいと思いました。仮りにも一カ寺に手を入れるのに、もとより確たる証拠は握っているだろうが、夜陰こうして踏み込むのはあまりに荒っぽい。
大菩薩峠:23 他生の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
駕「いゝったって今明けてお這入んなすった様だった、女中がネ、
然
(
そ
)
うでないのですか、
何
(
なん
)
だか
訝
(
おか
)
しいな、じゃア
行
(
ゆ
)
こうよ」
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
拐
(
かどわか
)
されたんだよ、連れて行ったのは、さきほどお寺を見に来た旅の大工だといったあの人に違いない、それだから茂ちゃんが隠れたのだ、わたしも
訝
(
おか
)
しいとは思いました、訝しいとは思ったけれど
大菩薩峠:23 他生の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
繼「そうして斯う男と女と二人で一緒に寝ますと、肌を
触
(
ふれ
)
ると云って
仮令
(
たとえ
)
訝
(
おか
)
しな事は無くっても、訝しい事が有ると
同
(
おんな
)
じでございますとねえ」
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「ほんとに、わたしも
訝
(
おか
)
しいと思いましたから、もし何かの見損ないではないかと、あとで外へ出て近所の人に尋ねてみますと、いよいよ米友さんに違いないようでございますから、どうも合点がゆきませんの」
大菩薩峠:16 道庵と鯔八の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
位牌班
(
ゐはいまだら
)
といふので名が一
体
(
たい
)
に
訝
(
おか
)
しうございます、
私
(
わたし
)
もモウ
明日
(
みやうにち
)
役
(
やく
)
に立てば
宜
(
よ
)
うございますが、
今晩
(
こんばん
)
にもヒヨツと
生者必滅
(
しやうじやひつめつ
)
でございますから……。
牛車
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「そりゃ
訝
(
おか
)
しいぞ」
大菩薩峠:08 白根山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
晋「ハヽヽヽいよ/\
訝
(
おか
)
しいよ、お若はこゝにいるじゃないか、殊に二十年来の病気で外出したことのないものがお前の
家
(
うち
)
へ
行
(
ゆ
)
くわけがないよ」
根岸お行の松 因果塚の由来
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
主人の
妻
(
さい
)
は長二郎に女房の世話を致したいと申して居りましたから、
私
(
わたくし
)
の考えますには、其の事を長二郎に話しましたのを長二郎が
訝
(
おか
)
しく
暁
(
さと
)
って
名人長二
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
三「コレ/\甚藏、
然
(
そ
)
う
汝
(
きさま
)
が云うと己が殺して死骸を引取って、葬りでもした様に
疑
(
うたぐ
)
って、
訝
(
おか
)
しくそんな事を云うのか」
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
下女のおますが
訝
(
おか
)
しな
譫言
(
うわこと
)
を云い、幽霊に頼まれて百両の金を貰い、是迄の身代に取付いたの、萩原新三郎様を殺したの、海音如来のお守を盗み出し
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
訝
(
おか
)
しな事を云いなさるぜ、お
前
(
めえ
)
さんはこんな事が度々ありましたか、
私
(
わっち
)
ア骨の折れる程嚊を
打
(
ぶ
)
たれたのは初めだ、お
前
(
めえ
)
さんは森松さんか何か知らねえが
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
永「これ
私
(
わし
)
も
一箇寺
(
いっかじ
)
の住職の身の上、納所坊主とは違うぞえ、それはお
前
(
ま
)
はんがお梅さんと私が
訝
(
おか
)
しいと云うては、夫ある身で此の儘には捨置かれんが」
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
孝「何も疑ぐりはしませんのに、疑ぐると思うのが
余程
(
よっぽど
)
おかしい、夜夜中女ばかりの処へ男が這入り込むのは
何
(
ど
)
うも
訝
(
おか
)
しいと思っても
宜
(
よ
)
かろうと思います」
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
訝
漢検1級
部首:⾔
12画
“訝”を含む語句
怪訝
可訝
怪訝顔
怪訝相
驚訝