なるほど、どうも様子が訝しいと思ったら、盲人であったか、道理こそさいぜんから口だけ親切で、身体に気を許さないのがわかった。
大菩薩峠:19 小名路の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
赤ひげ診療譚:04 三度目の正直 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
あの世から便りをする話:――座談会から―― (新字新仮名) / 海野十三(著)
平賀源内捕物帳:萩寺の女 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
牧野富太郎自叙伝:01 第一部 牧野富太郎自叙伝 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
どうして、と綱雄は目を送れば、なにね、何でもありませんけれどね、あのー、あのー、ただなんだか訝しいの。だから私は好かないと思っていますの。と目顔に言わする心の中。
訝しな陽気だと思って居りましたよ、旦那、やっぱり風が出て来ましたね、と云うハンドルを握った運転手の声に、それ迄ウツラウツラ居眠って居た私ははっと気付いて窓の外を眺めますと
「おや、訝しな事を言うね、私が綾吉を殺したとでも——」
銭形平次捕物控:026 綾吉殺し (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
我が円朝研究:「怪談牡丹灯籠」「江島屋騒動」「怪談乳房榎」「文七元結」「真景累ヶ淵」について (新字新仮名) / 正岡容(著)
村の入口には眼になれた田舎酒屋の看板と申すも訝しいが、兎に角酒屋の目印となっておりまする杉の葉を丸く束ねたのが出ています。
根岸お行の松 因果塚の由来 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「そうなの、わたしも訝しいと思った、絵描きだ、絵描きだ、といって、ちっとも絵を描かないじゃありませんか」
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
あの世から便りをする話:――座談会から―― (新字新仮名) / 海野十三(著)
焼いたパンの中から鼻が飛び出したなどというのも訝しいし、当のイワン・ヤーコウレヴィッチはいったいどうしたのだろう?……いや、わたしにはどうもわからない
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
それは、これから説明しますが、おやおやと私が訝しく思っているうちに、その浮標は、ずんずんと海中に沈んでいったんです。(あっ、潜水艦だ!)と気がついたときには、もうあとの祭です。
大菩薩峠:10 市中騒動の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「だって先生、科学的には非常に信用が置けるし、言うことも普通であるし、友誼も潔癖であるほど厚いし、殊に細君のことなど潔癖で、細君が死んでから他の女には絶対に接しなかったという程の人格者としては訝しいですが」
あの世から便りをする話:――座談会から―― (新字新仮名) / 海野十三(著)
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分) (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
それにしても二人の役人ぶりが少し訝しいと思いました。仮りにも一カ寺に手を入れるのに、もとより確たる証拠は握っているだろうが、夜陰こうして踏み込むのはあまりに荒っぽい。
大菩薩峠:23 他生の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
大菩薩峠:23 他生の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「ほんとに、わたしも訝しいと思いましたから、もし何かの見損ないではないかと、あとで外へ出て近所の人に尋ねてみますと、いよいよ米友さんに違いないようでございますから、どうも合点がゆきませんの」
大菩薩峠:16 道庵と鯔八の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「そりゃ訝しいぞ」
大菩薩峠:08 白根山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
根岸お行の松 因果塚の由来 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)