きやう)” の例文
旧字:
本堂ほんだうはうではきやうこゑかねおともしてゐる。道子みちこ今年ことしもいつかぼんの十三にちになつたのだとはじめてがついたときである。
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
しらみひねる事一万疋に及びし時酒屋さかや厮童こぞうが「キンライ」ふしを聞いて豁然くわつぜん大悟たいごし、茲に椽大えんだい椎実筆しひのみふでふるつあまね衆生しゆじやうため文学者ぶんがくしやきやう説解せつかいせんとす。
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
かくてその黄昏たそがれにいたり、源教げんけうは常より心して仏に供養くやうし、そこらきよらになしきやうたり。七兵衛はやきたりぬ。
いや、やみわすれまい。ぬまなかあてきやうませて、斎非時ときひじにとておよばぬが、渋茶しぶちやひと振舞ふるまはず、すんでのことわし生涯しやうがい坊主ばうず水車みづぐるまらうとした。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
みな歴々の女房衆にてましませば、肌にはきやうかたびら、色よき小袖うつくしく出立いでたち、少しも取みだれず神妙也。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いにしへよりやまと漢土もろこしともに、国をあらそひて兄弟あたとなりしためしは珍しからねど、つみ深き事かなと思ふより、悪心あくしん懺悔さんげの為にとてうつしぬる御きやうなるを、いかにささふる者ありとも
きやうはにがし春のゆふべを奥の院の二十五菩薩歌うけたまへ
みだれ髪 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
遠く行ききやうは負はねど詩を負へり蒙古の沙よ我を埋むな
ほととぎす治承ちしやう寿永じゆえいのおん国母こくも三十にしてきやうよます寺
恋衣 (新字旧仮名) / 山川登美子増田雅子与謝野晶子(著)
わし師匠ししやうきびしかつたし、きやう身体からだぢや、はださへいだことはついぞおぼえぬ。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
堂の鐘のひくきゆふべを前髪の桃のつぼみにきやうたまへ君
みだれ髪 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
肩おちてきやうにゆらぎのそぞろ髪をとめ有心者うしんじや春の雲こき
みだれ髪 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)