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おやこ
ふりがな文庫
“
父娘
(
おやこ
)” の例文
その酒屋の一人娘がワーワー泣いて
阿父
(
おやじ
)
さんに叱られていたが、小さなアンポンタンの胸は、
父娘
(
おやこ
)
のあらそいを聞いてドキンとした。
旧聞日本橋:10 勝川花菊の一生
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
お隣の半助さん
父娘
(
おやこ
)
もよくは思っていないことでしょう。私の家がこの通り運がいいのに、半助さんが長患いで、むずかしい顔を
銭形平次捕物控:123 矢取娘
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
二人の
父娘
(
おやこ
)
を養つて行く義務はないと思つてゐるし、月々、二百円からの小遣を大威張りでふんだくられるのは、いまいましいのである。
落葉日記
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
たしかにあれは神尾喬之助で、壁辰の
父娘
(
おやこ
)
のあいだに、こんな話もあったのを聞いたのだ、という幸吉の
陳辯
(
ちんべん
)
には耳をも
籍
(
か
)
さず
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
社長
父娘
(
おやこ
)
と文吾と、腕力の強い社員を二人のせたランチは、明石町の
河岸
(
かし
)
をはなれて、約束の九時には月島五号地沖を静かにはしっていた。
水中の怪人
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
▼ もっと見る
むしろ
愁
(
うれ
)
いの色すら濃い。血は同じでも、人生の
伴侶
(
はんりょ
)
を選ぶについては、
父娘
(
おやこ
)
でも見解の相違のぜひないことが、とたんにはっきり分った。
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
父娘
(
おやこ
)
は
唯
(
ただ
)
、紫玉の
挙動
(
ふるまい
)
にのみ気を
奪
(
と
)
られて居たらう。……此の辺を
歩行
(
ある
)
く
門附
(
かどづけ
)
見たいなもの、と又訊けば、父親がつひぞ見掛けた事はない。
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
自分のふとした罵倒が、瑠璃子
父娘
(
おやこ
)
に、どんなに
禍
(
わざわい
)
しているかと云うことを聴けば、熱情な恋人は、どんな必死なことをやり出すかも分らない。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
床前に、三斎
父娘
(
おやこ
)
が控えて、左右には浜川、横山、それに三郎兵衛、芸者、末社も、もうおいおい集まりはじめていた。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
そうして
巫山戯
(
ふざけ
)
させた。併し、菊枝と春吉とは
父娘
(
おやこ
)
揃ってふさぎ込んでいた。他人が冗談を言っても、春吉と菊枝とは、微かな笑いしか笑わなかった。
駈落
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
おまけにその熊が大勢の人を傷つけたというので、
父娘
(
おやこ
)
は後難を恐れて、どこへか影をかくしたと伝えられた。
半七捕物帳:29 熊の死骸
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
その外に、構内別館——そこは赤沢博士の住居になっていた——に博士夫人
珠江子
(
たまえこ
)
という、博士とは
父娘
(
おやこ
)
にしかみえぬ若作り婦人がたった一人閉じ籠っていた。
人間灰
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
小さいときから一緒に育ったけれども、青年期に入る頃から海に出はじめ、だんだん
父娘
(
おやこ
)
には性格が
茫漠
(
ぼうばく
)
として来た若い店員には、今はもう強いて遠慮する必要は無い。
河明り
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
どうしたって
父娘
(
おやこ
)
だとは見てくれまい。大池の生活に密着した、抜きさしのならない関係にある女だと、解釈したこったろうから、ここへ話をもちこんでくるのは当然だ。
肌色の月
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
父娘
(
おやこ
)
とも芸事が好き上手であったから自然その道の方へ熱心になり、娘は十か十一の時、もう諸方の御得意から招かれて、行く末は
一廉
(
ひとかど
)
の富本の名人になろうと評判された位でありました。
幕末維新懐古談:01 私の父祖のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
父娘
(
おやこ
)
、腹を合せて不義を
強
(
し
)
いるような不埓者、すておかば
恩寵
(
おんちょう
)
に甘えて、どのような非望企らむやも計られませぬ、知りつつお膝をお借り申し奉ったは、みな、主水之介、上への御意見代り
旗本退屈男:11 第十一話 千代田城へ乗り込んだ退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
併
(
しか
)
し、この無造作なうちにも包み切れない品位と、弱気のくせに純情らしいところが、すっかり遠藤
父娘
(
おやこ
)
の気に入りました。
奇談クラブ〔戦後版〕:09 大名の倅
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
あと振り返り振り返り、朝霧の中を、
渭州
(
いしゅう
)
の場末から立ち
退
(
の
)
いていく
父娘
(
おやこ
)
の姿へ、
魯達
(
ろたつ
)
もちょっと大きな手を振って見せた。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
父娘
(
おやこ
)
はただ、紫玉の
挙動
(
ふるまい
)
にのみ気を
奪
(
と
)
られていたろう。……この辺を
歩行
(
ある
)
く門附みたいなもの、とまた訊けば、父親がついぞ見掛けた事はない。
伯爵の釵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
このお駒ちゃんと板さんの久助は、
父娘
(
おやこ
)
なのだ。その
父親
(
てておや
)
の久助に、こうこっぴどくいわれても、お駒ちゃんは相変わらずしゃあしゃあとしたもので
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
父も娘も、無言のまゝに、三十分も一時間も
坐
(
すわ
)
っていた。いつまで、坐っていても
父娘
(
おやこ
)
の胸の中の、黒いいやな
塊
(
かたまり
)
が、少しもほぐれては行かなかった。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
伊兵衛はその頃からお孝と小田原町の家へ移り、飯炊きの老婆と女中を使って、
父娘
(
おやこ
)
二人さし向いの生活を始めた。……妻と娘とが交代したかたちである。
寒橋
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
或は、自分は農業技術の指導員として、娘たちは託児所の保姆見習として働かせ、
父娘
(
おやこ
)
の生活を全体として新しい農村建設のために献げる夢をも描いてみた。
荒天吉日
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
(あの人がもしわたしたち
父娘
(
おやこ
)
を憎んで、あのことをだれかに言ったら、わたしはどうなるのだろう?)
恐怖城
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
元旦の朝、若旦那と並んだ姿を見せたのは、
影身
(
かげみ
)
に添うことだけはゆるしてくれというのだったかも知れない……抑留所ではじめて
父娘
(
おやこ
)
がめぐり逢うなんて、これは因縁。
ユモレスク
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
父娘
(
おやこ
)
でもあろうか——と、始めはそうおもった。もう六十ぢかい太った老紳士の腕を、その横からピンク色の洋装のうつくしく身についた若い女が支えて、ブリッジをのぼってくる。
地球を狙う者
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
だからこの夏期は夜番と
云
(
い
)
いつくろって
父娘
(
おやこ
)
二人水泳場へ
寝泊
(
ねとま
)
りである。
渾沌未分
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
疑うべくもない浩一郎とその母親です、そう解ると、陽子
父娘
(
おやこ
)
の表情は、足の下に横わる鉄板のように冷たくなりました。
古銭の謎
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
父娘
(
おやこ
)
の者が、人目もなく、そこに相擁しているすがたを奥から眺めながら、禰宜の妻は、いぶかしげに、
懐
(
ふところ
)
をあけて、児に乳ぶさを与えていた。
上杉謙信
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
今迄
(
いままで
)
は、元気であった父も、折々は
嗟嘆
(
さたん
)
の声を出すようになった。夕方の食事が済んで、
父娘
(
おやこ
)
が向い合っている時などに、父は娘に
詫
(
わ
)
びるように
云
(
い
)
った。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
最初からこんなことばづかいが出ても、二人はすこしもおかしく感じないほど、
父娘
(
おやこ
)
といっても似つかわしい。
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
彼等
父娘
(
おやこ
)
はちらちらと崩れかかる
榾火
(
ほだび
)
を取り巻いて、食後の
憩
(
いこ
)
いを息ずいていたのであったが、菊枝は野を吹く微風に
嬲
(
なぶ
)
られて、ゆれる絹糸の
縺
(
もつ
)
れのような煙を
凝視
(
みつ
)
めて
緑の芽
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
伊兵衛の部屋は、青岳
父娘
(
おやこ
)
の住居と同じ棟の、道場に近い六
帖
(
じょう
)
二た間であった。片方が寝間で、居間のほうには
切炉
(
きりろ
)
があり、机とか手文庫とか、用
箪笥
(
だんす
)
などが備えてある。
雪の上の霜
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
われわれ
父娘
(
おやこ
)
にとつて有難い役割を果して下さることになるのです。
荒天吉日
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
「何ですか。」と、坊主は視ないで、茶屋の
父娘
(
おやこ
)
に目を
遣
(
や
)
った。
伯爵の釵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
この話には、翠蓮
父娘
(
おやこ
)
もわがことのようによろこんだ。かくて趙の長者と馬を並べて、魯達が山紫水明な七宝村へ入ったのは次の日のことだった。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
伊賀井の殿樣に惡智慧をつけて、八方から清水屋の
父娘
(
おやこ
)
を責めさいなんだ。金づく、義理づく、それでもいけないとなると、今度は腕づくで
脅
(
おど
)
かした
銭形平次捕物控:211 遠眼鏡の殿様
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
千浪はそれを、人形のように両袖に抱き締めて、
父娘
(
おやこ
)
は土間の上り
框
(
がまち
)
まで、大次郎を送って出る。
煩悩秘文書
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
いつまで、坐つてゐても
父娘
(
おやこ
)
の胸の中の、黒いいやな塊が、少しもほぐれては行かなかつた。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
「何ですか。」と、坊主は視ないで、茶屋の
父娘
(
おやこ
)
に目を
遣
(
や
)
つた。
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
とま子
父娘
(
おやこ
)
だと思ふから笑はないのよ。
医術の進歩
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
権十は、
生返辞
(
なまへんじ
)
だった。
父娘
(
おやこ
)
が二人きりの船世帯なので、十五の小娘を一人残して行くには忍びないらしいのである。
旗岡巡査
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
伊賀井の殿様に
悪智恵
(
わるぢえ
)
をつけて、八方から清水屋の
父娘
(
おやこ
)
を責めさいなんだ。金ずく、義理ずく、それでもいけないとなると、今度は腕ずくで
脅
(
おど
)
かした
銭形平次捕物控:211 遠眼鏡の殿様
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
表面、お蓮さまによって
父娘
(
おやこ
)
のあいだに、へだたりができたように見えたけれど……。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
美女 けれども、
父娘
(
おやこ
)
の情愛でございます。
海神別荘
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
だが、今はもう
他人事
(
ひとごと
)
ではなかった。大老の死は、自分たち
父娘
(
おやこ
)
の
苫
(
とま
)
の下へも、
忽然
(
こつぜん
)
と、泥のような波を
挙
(
あ
)
げてきた。
旗岡巡査
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
拵
(
こしら
)
え事の縁結びの事、金の力で丹次をさらって行った事、有馬屋
父娘
(
おやこ
)
に対する怨みは、まだまだうんとあるにしても、それはここで言う筋ではなかったのです。
銭形平次捕物控:086 縁結び
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
お駒と久助が
父娘
(
おやこ
)
であろうとは! 全く世の中は、広いようで狭いものだと、感心と
戦慄
(
せんりつ
)
をちゃんぽんにしたような心状で、いそがしく対応策をめぐらしながら縁側を歩いて行くと
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
宿の亭主も事が嘘なのは、百も承知のくせにして、ぐるになってか、高利の
日金貸
(
ひがねかし
)
みたいに日々、
父娘
(
おやこ
)
を責めたてる。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ずいぶん痛々しい取立てもしたそうですが、その代り私たち
父娘
(
おやこ
)
の身も詰められるだけは詰めたのです。
銭形平次捕物控:064 九百九十両
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
“父娘”の意味
《名詞》
父娘(ふじょう、ふにょう、俗:おやこ、ちちこ)
父と娘のこと。またはその関係。
(出典:Wiktionary)
父
常用漢字
小2
部首:⽗
4画
娘
常用漢字
中学
部首:⼥
10画
“父”で始まる語句
父
父親
父子
父母
父様
父御
父樣
父上
父爺
父君