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爪先上
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つまさきあが
ふりがな文庫
“
爪先上
(
つまさきあが
)” の例文
気
(
き
)
のきいた
運転士
(
うんてんし
)
が
車
(
くるま
)
をつけたところが、
果
(
はた
)
してそれであつた、
彼
(
かれ
)
は
門前
(
もんぜん
)
で
車
(
くるま
)
をおりて、
右側
(
みぎがわ
)
の
坂道
(
さかみち
)
を
爪先上
(
つまさきあが
)
りに
登
(
のぼ
)
つて
行
(
い
)
つた。
微笑の渦
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
しかし間もなくこの
陰鬱
(
いんうつ
)
な
往来
(
おうらい
)
は
迂曲
(
うね
)
りながらに少しく
爪先上
(
つまさきあが
)
りになって行くかと思うと、片側に赤く塗った
妙見寺
(
みょうけんじ
)
の塀と
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
右へ右へと
爪先上
(
つまさきあが
)
りに
庚申山
(
こうしんやま
)
へ差しかかってくると、
東嶺寺
(
とうれいじ
)
の鐘がボーンと
毛布
(
けっと
)
を通して、耳を通して、頭の中へ響き渡った。
何時
(
なんじ
)
だと思う、君
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
爪先上
(
つまさきあが
)
りになって来たようだ。やがて段〻
勾配
(
こうばい
)
が急になって来た。坂道にかかったことは明らかになって来た。雨の中にも滝の音は耳近く聞えた。
観画談
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
大崩
(
おおくずれ
)
まで葉山からは、だらだらの
爪先上
(
つまさきあが
)
り。後はなぞえに下り道。車がはずんで、ごろごろと、
私
(
わし
)
がこの茶店の前まで参った時じゃ、と……申します。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
岩屋
(
いわや
)
から
少
(
すこ
)
し
参
(
まい
)
りますと、モーそこはすぐ
爪先上
(
つまさきあが
)
りになって、
右
(
みぎ
)
も
左
(
ひだり
)
も、
杉
(
すぎ
)
や
松
(
まつ
)
や、その
他
(
た
)
の
常盤木
(
ときわぎ
)
のしんしんと
茂
(
しげ
)
った、
相当
(
そうとう
)
険
(
けわ
)
しい
山
(
やま
)
でございます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
「この真白の路が、あの山の入口まで、先づ二十五町かな? それから
爪先上
(
つまさきあが
)
りが一里半近くか。少し参るな。」
曠日
(新字旧仮名)
/
佐佐木茂索
(著)
二三
町
(
ちやう
)
参
(
まゐ
)
つて
総門
(
そうもん
)
を
這入
(
はい
)
り
夫
(
それ
)
から
爪先上
(
つまさきあが
)
りに
上
(
あが
)
つて
参
(
まゐ
)
りますると、少し
広
(
ひろ
)
い
処
(
ところ
)
がございまして、
其処
(
そこ
)
に
新築
(
しんちく
)
になりました、十四五
間
(
けん
)
もある
建家
(
たていへ
)
がございました。
牛車
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
夜寒
(
よさむ
)
の細い
往来
(
わうらい
)
を
爪先上
(
つまさきあが
)
りに
上
(
あが
)
つて
行
(
ゆ
)
くと、古ぼけた板屋根の門の前へ出る。門には電灯がともつてゐるが、柱に掲げた標札の如きは、
殆
(
ほとん
)
ど
有無
(
うむ
)
さへも判然しない。
漱石山房の秋
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
知縣
(
ちけん
)
の
官舍
(
くわんしや
)
で
休
(
やす
)
んで、
馳走
(
ちそう
)
になりつゝ
聞
(
き
)
いて
見
(
み
)
ると、こゝから
國清寺
(
こくせいじ
)
までは、
爪先上
(
つまさきあが
)
りの
道
(
みち
)
が
又
(
また
)
六十
里
(
り
)
ある。
往
(
ゆ
)
き
著
(
つ
)
くまでには
夜
(
よ
)
に
入
(
い
)
りさうである。そこで
閭
(
りよ
)
は
知縣
(
ちけん
)
の
官舍
(
くわんしや
)
に
泊
(
とま
)
ることにした。
寒山拾得
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
凄
(
すご
)
さうにも見え、
爪先上
(
つまさきあが
)
りになつて居るやうにも見える。
病牀六尺
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
然
(
しか
)
し
間
(
ま
)
もなくこの
陰鬱
(
いんうつ
)
な
往来
(
わうらい
)
は
迂曲
(
うね
)
りながらに
少
(
すこ
)
しく
爪先上
(
つまさきあが
)
りになつて
行
(
ゆ
)
くかと思ふと、
片側
(
かたがは
)
に赤く
塗
(
ぬ
)
つた
妙見寺
(
めうけんじ
)
の
塀
(
へい
)
と
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
夜寒
(
よさむ
)
の細い
往来
(
わうらい
)
を
爪先上
(
つまさきあが
)
りに
上
(
あが
)
つて
行
(
ゆ
)
くと、古ぼけた板屋根の門の前へ出る。門には電燈がともつてゐるが、柱に
掲
(
かか
)
げた
標札
(
へうさつ
)
の如きは、
殆
(
ほとん
)
ど
有無
(
うむ
)
さへも判然しない。
東京小品
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
その後から
爪先上
(
つまさきあが
)
り、やがてまた
太鼓
(
たいこ
)
の
胴
(
どう
)
のような路の上へ体が乗った、それなりにまた
下
(
くだ
)
りじゃ。
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
路は左右に曲折して
爪先上
(
つまさきあが
)
りだから、三十分と立たぬうちに、圭さんの影を見失った。樹と樹の間をすかして見ても何にも見えぬ。山を下りる人は一人もない。
上
(
あが
)
るものにも全く出合わない。
二百十日
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
其後
(
そのあと
)
から
爪先上
(
つまさきあが
)
り、
軈
(
やが
)
てまた
太鼓
(
たいこ
)
の
胴
(
どう
)
のやうな
路
(
みち
)
の
上
(
うへ
)
へ
体
(
からだ
)
が
乗
(
の
)
つた、
其
(
それ
)
なりに
又
(
また
)
下
(
くだ
)
りぢや。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
石炭殻
(
せきたんがら
)
などを敷いた路は
爪先上
(
つまさきあが
)
りに踏切りへ出る、——そこへ
何気
(
なにげ
)
なしに来た時だった。保吉は踏切りの
両側
(
りょうがわ
)
に人だかりのしているのを発見した。
轢死
(
れきし
)
だなとたちまち考えもした。
寒さ
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
大久保の停車場を下りて、
仲
(
なか
)
百人の通りを戸山学校の方へ行かずに、踏切りからすぐ横へ折れると、ほとんど三尺許りの細い
路
(
みち
)
になる。それを
爪先上
(
つまさきあが
)
りにだら/\と
上
(
のぼ
)
ると、
疎
(
まばら
)
な孟宗
藪
(
やぶ
)
がある。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
行
(
ゆ
)
くことおよそ二里ばかり、それから
爪先上
(
つまさきあが
)
りのだらだら坂になった、それを一里半、
泊
(
とまり
)
を急ぐ旅人の心には、かれこれ三里余も来たらうと思うと、ようやく小川の温泉に着きましてございまする。
湯女の魂
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
我が居たる町は、一筋細長く東より西に
爪先上
(
つまさきあが
)
りの小路なり。
照葉狂言
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
爪
常用漢字
中学
部首:⽖
4画
先
常用漢字
小1
部首:⼉
6画
上
常用漢字
小1
部首:⼀
3画
“爪先”で始まる語句
爪先
爪先立
爪先下
爪先探
爪先舞踏