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煎薬
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せんやく
ふりがな文庫
“
煎薬
(
せんやく
)” の例文
旧字:
煎藥
太公は、すぐ
薬嚢
(
やくのう
)
をとりよせて、自身、
煎薬
(
せんやく
)
を
調
(
ちょう
)
じてくれた。のみならず、幾日でもここで養生するように——ともいってくれる。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
震えを帯びてる老衰した姿で病人に
煎薬
(
せんやく
)
の
茶碗
(
ちゃわん
)
を差し出してる所は、見るも痛ましいほどだった。彼はやたらにいろんなことを医者に尋ねた。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
おしのは草履を
結
(
ゆわ
)
いつけてはき、
煎薬
(
せんやく
)
を詰めた
壜
(
びん
)
と、綿や紙を入れた包みを持って、釣台の
脇
(
わき
)
に付いて本石町をでかけた。
五瓣の椿
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
あたかも漢方医につきて
煎薬
(
せんやく
)
ばかり服したるものは、西洋医の水薬を見て、効力の少ないように思うと同様であります。
通俗講義 霊魂不滅論
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
この
煎薬
(
せんやく
)
のにおいと自分らが少年時代に受けた
孔孟
(
こうもう
)
の教えとには切っても切れないつながりがあるような気がする。
藤棚の陰から
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
▼ もっと見る
始めは
煎薬
(
せんやく
)
に似た
黄黒
(
きぐろ
)
い水をしたたかに吐いた。吐いた
後
(
あと
)
は多少気分が
癒
(
なお
)
るので、いささかの物は
咽喉
(
のど
)
を越した。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
灰色の壁には、今年の暦が貼ってあって、火鉢の上には
煎薬
(
せんやく
)
の入った
土瓶
(
どびん
)
がぶつぶつと沸き立っている。
黄色い晩
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
この
煎薬
(
せんやく
)
を調進するのが緑雨のお父さんの役目で、そのための
薬味箪笥
(
やくみだんす
)
が自宅に備えてあった。
斎藤緑雨
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
唯
煎薬
(
せんやく
)
を飲ませたり、
蛭
(
ひる
)
に血を吸はせたり、——そんなことをするだけでございます。父は毎日枕もとに、本間さんの薬を煎じました。兄も毎日十五銭づつ、蛭を買ひに出かけました。
雛
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
下つて
安政大地震
(
あんせいおおじしん
)
の事を記載せし『安政見聞録』を見るにこの変災を報道記述するに
煎薬
(
せんやく
)
「
妙
(
みょう
)
ふりだし」をもぢり、または団十郎『
暫
(
しばらく
)
』の
台詞
(
せりふ
)
になぞらへたるが如き滑稽の
文字
(
もんじ
)
甚だ多し。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
些
(
ちつ
)
とばかり
西洋医
(
せいやうい
)
の
真似事
(
まねごと
)
もいたしますが、
矢張
(
やはり
)
大殿
(
おほとの
)
や
御隠居様杯
(
ごいんきよさまなど
)
は、
水薬
(
みづぐすり
)
が
厭
(
いや
)
だと
仰
(
おつ
)
しやるから、
已前
(
まへ
)
の
煎薬
(
せんやく
)
を
上
(
あ
)
げるので、
相変
(
あひかは
)
らずお
出入
(
でいり
)
を
致
(
いた
)
して
居
(
ゐ
)
る、
処
(
ところ
)
が
這囘
(
このたび
)
多分
(
たぶん
)
のお
手当
(
てあて
)
に
預
(
あづか
)
り
八百屋
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
全く、婆さんだけの家というのは、何故変に湿っぽいようで、線香のような
煎薬
(
せんやく
)
のような一種の臭いが浸みついているのだろう。志津は、或る人の世話になって、退屈勝な毎日を送っていた。
街
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
または朝起きてすぐ呑む
煎薬
(
せんやく
)
なりに、毒薬を投り込む者があるに相違ない。
銭形平次捕物控:168 詭計の豆
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「医者の駕籠だな! たしかに、
煎薬
(
せんやく
)
のにおいだ。どこかで何かが何かになったかもしれねえ。ぱちくりしている暇があったら、十手でもみがいて出かけるしたくでもしろい。うるせえやつだ……」
右門捕物帖:37 血の降るへや
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
自分で
煎薬
(
せんやく
)
して、それをのませながら、そのうえ
粥
(
かゆ
)
を炊いて食べさせるなど、その看病ぶりはまるで兄弟にたいするように親切をきわめ、一刻たりとも捨てておけないというような手厚さであった。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
何かの
煎薬
(
せんやく
)
であったのだろう。まさか外用薬ではなかったのだろう。
ヰタ・セクスアリス
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
「御門鑑をいただいて、坂上まで、買物に行ってまいりました。お父さんの
煎薬
(
せんやく
)
やら、私の、あの、春着を縫う糸なんかも……」
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼はまた
規那皮
(
きなひ
)
だけの
煎薬
(
せんやく
)
と、夜分に熱が出た場合のため鎮静水薬とを処方した。そして立ち去る時修道女に言った。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
母親は
夕餉
(
ゆうげ
)
まで眼をさまさなかった。支度が出来たので起して喰べさせ、
煎薬
(
せんやく
)
と
頓服
(
とんぷく
)
をのませると、びっくりするほどの効きめで、すぐにまた眠りだした。
追いついた夢
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
そうかと云ってまた無理やりに嫌がる
煎薬
(
せんやく
)
を口を割って押し込めば利く薬でももどしてしまい、まずい総菜を
強
(
し
)
いるのでは結局胃を悪くし食慾を無くしてしまうのがおちである。
マーカス・ショーとレビュー式教育
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
われ生れて
煎薬
(
せんやく
)
といふもの呑みたるはこれが始めてなり。
矢はずぐさ
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
障子のうちには兄の
咳声
(
しわぶき
)
がなおやまずに聞える。客の感情の如何よりも、
煎薬
(
せんやく
)
の冷えてしまうことを
惧
(
おそ
)
れているふうである。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
火鉢の火かげんをみて灰をかけ、
煎薬
(
せんやく
)
の
土瓶
(
どびん
)
を仕掛けた。その
脇
(
わき
)
の盆には、湯呑茶碗と布で
掩
(
おお
)
いをした
金盥
(
かなだらい
)
、金盥には水がはいってい、たたんだ手拭が五枚重ねてある。
五瓣の椿
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
明け方までに二度、登子の手で熱い
煎薬
(
せんやく
)
を
服
(
の
)
ませられたほかは、あくる日もあらかた、よく眠ってばかりいる尊氏だった。
私本太平記:13 黒白帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
爪の先みたいな医刀による手術、
灸治
(
きゅうじ
)
の法、強壮剤らしい
煎薬
(
せんやく
)
などで、宋江の
容体
(
ようだい
)
は、みるみる
快
(
よ
)
くなり、二十日もたつと、元の体になりかけていた。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そしてたえず、准后の廉子がまめやかな奉侍をしたり、時刻時刻には、かならず
煎薬
(
せんやく
)
をさしあげたりなどしている御起居のさまなどもよくうかがわれる。
私本太平記:13 黒白帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、やがて台所へ、おえつが眼を泣き
腫
(
はら
)
した顔して
退
(
さが
)
って来た。何か、良人の気を損ねたのであろう。
煎薬
(
せんやく
)
の土瓶をこん炉へかけながら袖口で涙をふいていた。
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ただ今、着いたばかりのお使いは、口上をもって、右の儀を、お館へと、云い終るやいな倒れて、前後も
弁
(
わきま
)
えませねば、
煎薬
(
せんやく
)
を与えてそっと休息させておきました
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
患部の
膿汁
(
うみ
)
を拭きとることから、朝夕のくすりの塗布や
煎薬
(
せんやく
)
なども侍医にはさせないで妻にさせた。
私本太平記:13 黒白帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「お
煎薬
(
せんやく
)
をわかそうか」思い思いに、人々は、炉のそばから冷たい室へちらかって行った。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それは何の
狐疑心
(
こぎしん
)
でもなく裏の様子を見るための
摺足
(
すりあし
)
でありましたが、そこまで行かぬ
櫺子
(
れんじ
)
の窓下へ来かかると、二寸ほど開いている小障子の間から、
春陽
(
はるび
)
に
蒸
(
む
)
れる
煎薬
(
せんやく
)
のにおいが
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
お粂が甘やかな親切気を見せて、気つけ薬と言いながら金吾に最初飲ませたのは、何か微量な毒のある
煎薬
(
せんやく
)
で、かれは正気にかえると共に、一日ごとに、この
家
(
や
)
を出られぬ体となってゆきました。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「——お目ざめでございましたか」と、
煎薬
(
せんやく
)
を盆にのせて持って来た。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その間二度まで付き添いの医者が熱い
煎薬
(
せんやく
)
をのませてくれた。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
……あとで、脈を
診
(
み
)
て、
煎薬
(
せんやく
)
でもやっておいて欲しい
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
半兵衛は
煎薬
(
せんやく
)
の熱いのをすすりながら
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そして
煎薬
(
せんやく
)
を自分で
沸
(
た
)
てて来て
魚紋
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“煎薬”の意味
《名詞》
煮出してそれを飲む薬。
(出典:Wiktionary)
煎
常用漢字
中学
部首:⽕
13画
薬
常用漢字
小3
部首:⾋
16画
“煎”で始まる語句
煎
煎餅
煎茶
煎餅屋
煎豆
煎餅蒲団
煎藥
煎餅布団
煎汁
煎豆屋