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漸次
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しだい
ふりがな文庫
“
漸次
(
しだい
)” の例文
彼は云い知れぬ一種の愉快を感じて、
猶
(
なお
)
も雲の行方を睨んでいると、黒い悪魔の手は
漸次
(
しだい
)
に拡がって、今や重太郎の頭の上を過ぎた。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
撰
(
えら
)
ぶ物から
功驗
(
しるし
)
は
毫
(
すこ
)
しもあらずして次第
漸次
(
しだい
)
に
重
(
おも
)
り行き昨今にては
到底
(
とても
)
此世の人には非じと醫師も云ひ
吾儕共
(
わたくしども
)
も思ひますれば
節角
(
せつかく
)
お娘御を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
むくむく鼻を
蠢
(
うごめ
)
かし
漸次
(
しだい
)
に顔を近附けたる、
面
(
つら
)
が格子を
覗
(
のぞ
)
くとともに、鼻は遠慮なく内へ
入
(
い
)
りて、お通の
頬
(
ほお
)
を
掠
(
かす
)
めむとせり。
妖僧記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「
俺
(
お
)
らあ
仲間
(
なかま
)
も
寺錢
(
てらせん
)
で
後
(
あと
)
買
(
か
)
あから、
獨
(
ひとり
)
でむつゝりしてねえで
一
(
ひと
)
つやらつせえね」と
卯平
(
うへい
)
へ
杯
(
さかづき
)
を
侑
(
すゝ
)
めた。一
同
(
どう
)
の
威勢
(
ゐせい
)
が
漸次
(
しだい
)
に
卯平
(
うへい
)
の
心
(
こゝろ
)
を
惹
(
ひ
)
き
立
(
た
)
てゝ
到頭
(
たうとう
)
彼
(
かれ
)
の
大
(
おほ
)
きな
手
(
て
)
に
茶碗
(
ちやわん
)
を
執
(
と
)
らせた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
總勢すぐツて百四五十人ばかり。毎日
軍
(
いくさ
)
ごツこのやうな眞似ばかりして居たが、
其
(
その
)
うち世は
漸次
(
しだい
)
に文化に向つて、さういふ
物騷
(
ぶつさう
)
な學校の立ち行かう筈もないので、
其中
(
そのうち
)
に潰れて了つた。
兵馬倥偬の人
(旧字旧仮名)
/
塚原渋柿園
、
塚原蓼洲
(著)
▼ もっと見る
漸次
(
しだい
)
に真の人間に目醒めた人々は、いわゆる「改善」の声に聞きあきました。
融和促進
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
度重なれば、
漸次
(
しだい
)
に馴れて、肩の痛みも痛いながらに固まり、肩腰に多少力が出来、調子がとれてあまり水をこぼさぬ様にもなる。今日は八分だ、今日は九分だ、と成績の進むが一の楽になつた。
水汲み
(新字旧仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
今茲に
喋々
(
てふ/\
)
する事殊に
無益
(
むえき
)
の
辯
(
べん
)
に
似
(
に
)
たれど前にも
已
(
すで
)
に
述
(
のべ
)
たるが如く此小西屋の裁判は忠相ぬし
最初
(
さいしよ
)
の
捌
(
さばき
)
にして是より
漸次
(
しだい
)
に其名を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
主
(
しゅう
)
の威光で手代を
圧
(
おさ
)
え付けた。二人は泣いて諦めるより他はなかった。縁談は滑るように進んで、婚礼の日は
漸次
(
しだい
)
に近づいた。
黄八丈の小袖
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
小指の
疵
(
きず
)
の
痛苦
(
いたみ
)
劇
(
はげ
)
しく、心ばかりは
急
(
はや
)
れども、足
蹌踉
(
よろぼ
)
いて腰
起
(
た
)
たず、気さえ
漸次
(
しだい
)
に遠くなりつ、前後も知らでいたりけるを、得三に見出されて
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
追手
(
おって
)
は
漸次
(
しだい
)
に
人数
(
にんず
)
を増して、前から
後
(
うしろ
)
から雪を丸めて投げた。
此
(
こ
)
の
雪礫
(
ゆきつぶて
)
を防ぐ手段として、重太郎も屋根から石を投げた。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
開きけるに皆々
漸次
(
しだい
)
に
酩酊
(
めいてい
)
して前後を
失
(
うしな
)
ふ程に
五體
(
ごたい
)
俄
(
にはか
)
に
痿痺出
(
しびれだ
)
せしも只醉の廻りしと思ひて
正體
(
しやうたい
)
もなきに大膳等は
此體
(
このてい
)
を見て時分は
宜
(
よし
)
と風上より我家に火を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
悶
(
もだ
)
え
苦
(
くるし
)
み、泣き叫びて、死なれぬ
業
(
ごふ
)
を
歎
(
なげ
)
きけるが、
漸次
(
しだい
)
に
精
(
せい
)
尽
(
つ
)
き、
根
(
こん
)
疲れて、気の遠くなり行くにぞ、
渠
(
かれ
)
が最も
忌嫌
(
いみきら
)
へる
蛇
(
へび
)
の
蜿蜒
(
のたる
)
も知らざりしは、せめてもの
僥倖
(
げうかう
)
なり
妖怪年代記
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
こうして、悪戯小僧にかかる疑いは
漸次
(
しだい
)
に薄れて来たが、それと同時にこの不思議に対する疑いはいよいよ濃くなった。
半七捕物帳:06 半鐘の怪
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
逢魔
(
あふま
)
が
時
(
とき
)
の薄暗がりより
漸次
(
しだい
)
に元気衰へつ、
夜
(
よ
)
に入りて雨の降り出づるに薄ら淋しくなり
増
(
まさ
)
りぬ。
妖怪年代記
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
お杉が去り、お葉が去った
後
(
のち
)
の角川家は、
所謂
(
いわゆる
)
大風
(
おおかぜ
)
の吹いた
後
(
あと
)
であった。塚田巡査も近所の人々も
漸次
(
しだい
)
に帰って
了
(
しま
)
った。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
それが
漸次
(
しだい
)
に
近
(
ちかづ
)
くと、女の背に
負
(
おぶ
)
はれた
三歳
(
みっつ
)
ばかりの小供が、竹の
柄
(
え
)
を付けた
白張
(
しらはり
)
のぶら
提灯
(
ぢょうちん
)
を持つてゐるのだ。
雨夜の怪談
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
東京へ出て、
漸次
(
しだい
)
に月の重なるに随って、彼女は初めて自分の腹の中に動く物のあることを知った。
二階から
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
黒船の帆影が伊豆の海を驚かしてから、世の中は
漸次
(
しだい
)
にさわがしくなった。
夷狄
(
いてき
)
を征伐する軍用金を出せとか云って、
富裕
(
ものもち
)
の町家を嚇してあるく一種の浪人組が近頃所々に
徘徊
(
はいかい
)
する。
半七捕物帳:04 湯屋の二階
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
お菊は川岸へ出て怖そうに水の
面
(
おもて
)
を覗いて見た。空はまだ暮れ切れなかったが、水の光は
漸次
(
しだい
)
に褪めて、薄ら寒い夕靄の色が川下の方から遡るように拡がって来た。水は音もなく静かに流れていた。
黄八丈の小袖
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
漸
常用漢字
中学
部首:⽔
14画
次
常用漢字
小3
部首:⽋
6画
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漸次々々
漸次強音
漸次昇音
漸次接近の方法