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わたしぶね
ふりがな文庫
“
渡船
(
わたしぶね
)” の例文
云掛られ夫さへ心に
障
(
さは
)
らぬ樣
云拔
(
いひぬけ
)
て居しに今日
隅田川
(
すみだがは
)
の
渡船
(
わたしぶね
)
にて誰かは知ず
行違
(
ゆきちが
)
ひに面を見合せしより
俄
(
にはか
)
に吾助が顏色變り
狼狽
(
うろたへ
)
たる
體
(
てい
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「そうですね、
渡船
(
わたしぶね
)
ッて別にありはしますまいけれど、頼んだら出してくれないこともないでしょう、さきへ行って聞いて見ましょう。」
悪獣篇
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
更に岸を
下
(
くだ
)
つて
水上
(
すゐじやう
)
に
浮
(
うか
)
び
鴎
(
かもめ
)
と共にゆるやかな波に
揺
(
ゆ
)
られつゝ
向
(
むかう
)
の岸に達する
渡船
(
わたしぶね
)
の愉快を容易に了解する事が出来るであらう。
水 附渡船
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
一日のはげしい勞働につかれて、機械が吐くやうな、重つくるしい煙りが、
石川島
(
いしかはじま
)
の工場の烟突から立昇つてゐる。
佃
(
つくだ
)
から出た
渡船
(
わたしぶね
)
には、
職工
(
しよくこう
)
が多く乘つてゐる。
佃のわたし
(旧字旧仮名)
/
長谷川時雨
(著)
たびたびいう通り人世は多数の人とともに乗り合う
渡船
(
わたしぶね
)
のごときものである。人とともにこの
世
(
よ
)
を渡るには、おだやかに
意気地
(
いきじ
)
ばらずに、譲り得るだけは譲るべきものと思う。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
▼ もっと見る
働きのある方でございませんが、この上もなくまめな男で、昨日も主人が惡いと聽いて、橋場の店へ手傳ひに來て居りましたが、うつかりして
渡船
(
わたしぶね
)
の仕舞ひ船に遲れてしまひ、ひどく驚いて、橋を
銭形平次捕物控:232 青葉の寮
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
で、その川には
渡船
(
わたしぶね
)
がありますがその渡船は
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
隅田の水はまだ濁らず悪臭も放たず清く澄んでいたので
渡船
(
わたしぶね
)
で河を越す人の中には、
舷
(
ふなべり
)
から河水で手を洗うものさえあった。
向島
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
我ながら向う河岸の
渡船
(
わたしぶね
)
を呼んでるようだから、構わず開けて入ろうとしたが掛金がっちりだ。
註文帳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
尋ね
恨
(
うらみ
)
を
報
(
むく
)
い申度とて三ヶ年の間
苦辛
(
くしん
)
を
厭
(
いと
)
はず
所々
(
しよ/\
)
尋ね
廻
(
めぐ
)
り候處漸々此程
隅田川
(
すみだがは
)
の
渡船
(
わたしぶね
)
にて
面
(
おもて
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
私は
唯
(
ただ
)
両国橋の
有無
(
いうむ
)
に
係
(
かゝは
)
らず其の
上下
(
かみしも
)
に
今猶
(
いまなほ
)
渡場
(
わたしば
)
が残されてある如く隅田川其の他の川筋にいつまでも昔のまゝの
渡船
(
わたしぶね
)
のあらん事を
希
(
こひねが
)
ふのである。
水 附渡船
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
自身に
訴
(
うつた
)
へ出ければ越前守殿一
應
(
おう
)
糺問
(
きうもん
)
の上
桝屋
(
ますや
)
久藏を
呼出
(
よびいだ
)
され吾助を
召捕迄
(
めしとるまで
)
宅兵衞事主人預け申付るとて下られける斯て又吾助は
隅田川
(
すみだがは
)
の花見に
藤重
(
ふぢしげ
)
を
同道
(
どうだう
)
して到りしに
計
(
はか
)
らず
渡船
(
わたしぶね
)
にて忠八と面を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
渡船
(
わたしぶね
)
竜潭譚
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
然し
渡船
(
わたしぶね
)
は時間の消費をいとはず重い
風呂敷包
(
ふろしきづゝ
)
みなぞ
背負
(
せお
)
つてテク/\と
市中
(
しちゆう
)
を歩いてゐる
者供
(
ものども
)
には
大
(
だい
)
なる休息を与へ
水 附渡船
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
都会の水に関して最後に
渡船
(
わたしぶね
)
の事を
一言
(
いちごん
)
したい。渡船は東京の都市が
漸次
(
ぜんじ
)
整理されて行くにつれて、即ち橋梁の便宜を得るに従ってやがては廃絶すべきものであろう。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
と見る
間
(
ま
)
もなく
初秋
(
しょしゅう
)
の
黄昏
(
たそがれ
)
は幕の
下
(
おり
)
るように早く夜に変った。流れる水がいやに
眩
(
まぶ
)
しくきらきら光り出して、
渡船
(
わたしぶね
)
に乗っている人の形をくっきりと
墨絵
(
すみえ
)
のように黒く染め出した。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
と見る
間
(
ま
)
もなく
初秋
(
しよしう
)
の
黄昏
(
たそがれ
)
は幕の
下
(
おり
)
るやうに早く夜に
変
(
かは
)
つた。流れる水がいやに
眩
(
まぶ
)
しくきら/\光り出して、
渡船
(
わたしぶね
)
に乗つて
居
(
ゐ
)
る人の形をくつきりと
墨絵
(
すみゑ
)
のやうに黒く
染
(
そ
)
め出した。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
楓葉荻花
(
ふうようてきか
)
秋は
瑟々
(
しつしつ
)
たる
刀禰河
(
とねがわ
)
あたりの
渡船
(
わたしぶね
)
で摺れちがう処などは、殊に妙であろう。
濹東綺譚
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
晴れ渡った空の下に、流れる水の輝き、堤の青草、その上につづく桜の花、
種々
(
さまざま
)
の旗が
閃
(
ひらめ
)
く大学の
艇庫
(
ていこ
)
、その
辺
(
へん
)
から起る人々の叫び声、鉄砲の
響
(
ひびき
)
。
渡船
(
わたしぶね
)
から
上下
(
あがりお
)
りする花見の人の混雑。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
晴れ渡つた空の下に、流れる水の輝き、
堤
(
つゝみ
)
の
青草
(
あをくさ
)
、その上につゞく
桜
(
さくら
)
の花、
種々
(
さま/″\
)
の旗が
閃
(
ひらめ
)
く大学の
艇庫
(
ていこ
)
、その
辺
(
へん
)
から
起
(
おこ
)
る人々の
叫
(
さけ
)
び声、鉄砲の
響
(
ひゞき
)
。
渡船
(
わたしぶね
)
から
上下
(
あがりお
)
りする花見の人の混雑。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
鉄橋と
渡船
(
わたしぶね
)
との比較からこゝに
思起
(
おもひおこ
)
されるのは立派な
表通
(
おもてどほり
)
の街路に対して其の
間々
(
あひだ/\
)
に隠れてゐる路地の興味である。擬造西洋館の商店並び立つ表通は
丁度
(
ちやうど
)
電車の往来する鉄橋の
趣
(
おもむき
)
に等しい。
路地
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
鉄橋と
渡船
(
わたしぶね
)
との比較からここに
思起
(
おもいおこ
)
されるのは立派な
表通
(
おもてどおり
)
の街路に対してその間々に隠れている
路地
(
ろじ
)
の興味である。擬造西洋館の商店並び立つ表通は丁度電車の往来する鉄橋の趣に等しい。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
自分は東京の市内に於ても、隅田川の
渡船
(
わたしぶね
)
に乗つてさへ、岸を離れて水上に泛べば
身体
(
しんたい
)
の動揺と共に何とも云へぬ快感を覚え、陸地の世界とは全く絶縁してしまつたやうな慰安と寂寞とを感ずる。
海洋の旅
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
休茶屋
(
やすみぢやゝ
)
の
女房
(
にようぼ
)
が
縁
(
ふち
)
の厚い底の
上
(
あが
)
つたコツプについで出す
冷酒
(
ひやざけ
)
を、
蘿月
(
らげつ
)
はぐいと
飲干
(
のみほ
)
して
其
(
そ
)
のまゝ
竹屋
(
たけや
)
の
渡船
(
わたしぶね
)
に乗つた。
丁度
(
ちやうど
)
河
(
かは
)
の
中程
(
なかほど
)
へ来た
頃
(
ころ
)
から舟のゆれるにつれて
冷酒
(
ひやざけ
)
がおひ/\にきいて来る。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
休茶屋の
女房
(
にょうぼ
)
が
縁
(
ふち
)
の厚い底の上ったコップについで出す
冷酒
(
ひやざけ
)
を、蘿月はぐいと
飲干
(
のみほ
)
してそのまま
竹屋
(
たけや
)
の
渡船
(
わたしぶね
)
に乗った。丁度河の中ほどへ来た頃から舟のゆれるにつれて冷酒がおいおいにきいて来る。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
“渡船”の意味
《名詞》
渡 船(とせん)
渡し舟。
(出典:Wiktionary)
“渡船(渡し船)”の解説
渡し船(わたしぶね)とは、港湾・河川・湖沼などで両岸を往復して客や荷物を運ぶ船及び航路のことである。渡船(とせん)とも言う。また、渡し船に乗り降りするところを渡し場(わたしば)、渡船場(とせんじょう、とせんば)などという。
(出典:Wikipedia)
渡
常用漢字
中学
部首:⽔
12画
船
常用漢字
小2
部首:⾈
11画
“渡船”で始まる語句
渡船場
渡船小屋
渡船銭
渡船口
渡船塲
渡船守
渡船者
渡船場中
渡船稼業