りゅう)” の例文
筑前ちくぜん亀井かめい先生なども朱子学を取らずに経義けいぎに一説を立てたと云うから、そのりゅうを汲む人々は何だか山陽流を面白く思わぬのでしょう。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
けれどもニワトリたちは、そうは言わないで、ニワトリりゅうに、いちばんふさわしいと思われる名まえをつけて呼んでいるのです。
景隆は紈袴がんこの子弟、趙括ちょうかつりゅうなればなり。趙括を挙げて廉頗れんぱに代う。建文帝の位を保つ能わざる、兵戦上には実にこれに本づく。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
おのれ如き性根の者が、柳生家の子よ、柳生流のつかい手よと、世に思われては、わが家のりゅうを誤るのみか、流祖の御恥辱と申さねばならぬ。
柳生月影抄 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もともと長崎ながさきにでてきたもくてきは、原書げんしょがよめるようになるということでしたから、オランダりゅう医者いしゃや、オランダのつうやくをするひといえなどにいって
アナトール・フランスは本名ほんみょうをアナトール・チボーといい、フランスでもだいりゅうの文学者であります。
母の話 (新字新仮名) / アナトール・フランス(著)
そこには、真新しい寒冷紗かんれいしゃづくりの竜幡りゅうはんが二りゅうハタハタとうごめいている新仏にいほとけの墓が懐中電灯の灯りに照し出された。墓標ぼひょうには女の名前が書いてあったが覚えていない。
人間灰 (新字新仮名) / 海野十三(著)
つづいておなじく長篇ちょうへんの『小悪魔しょうあくま』を発表はっぴょうして、一りゅう作家さっかとしてをうたわれるようになった。
身体検査 (新字新仮名) / フョードル・ソログープ(著)
旅屋はたごやとか料理屋とか云う上等なものは駄目としても、自分と長蔵さんが這入ってしかるべきやたいちりゅうのがあすこにもここにも見える。しかし長蔵さんはごう支度したくをしそうにない。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
あるいりゅう違いの怪談ばなしがよかろうと云うお勧めにつきまして、名題を真景累ヶ淵と申し、下総国しもふさのくに羽生村はにゅうむらと申す処の、かさねの後日のお話でございまするが、これは幽霊が引続いて出まする
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
原士はらしの中で、有名な使い手だけあって、難波なんばぽうりゅうと覚しき太刀筋はたしかなもの。弦之丞とて、迂濶うかつにはあしらえない。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
功名利禄りろくは藩士族のりゅうに帰し、ついで廃藩の大挙にあえば、藩主は得るところなきのみならず、かえって旧物を失うて、まったく落路らくろの人たるが如し。
徳育如何 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
其の道衍どうえんるに及びたるは、道衍が嵩山寺すうざんじに在りし時にあり。袁珙えんこう道衍が相をつく/″\とて、れ何ぞ異僧なるや、目は三角あり、形は病虎びょうこの如し。性かならず殺をたしなまん。劉秉忠りゅうへいちゅうりゅうなりと。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
おりから、法師野ほうしのの空にあって、三りゅう陣鐘じんがねが鳴りわたるを合図あいずに、天地にとどろくばかりな勝鬨かちどきの声があがった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
学者のりゅうに適すべし、官員の仲間に適すべしといえども、人民の社会には適当せざるのみならず、かえってその体裁の怪しきがために、法の実用をも嫌わしむるものというべし。
小学教育の事 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
で、かれ一りゅう反間苦肉はんかんくにくさくをほどこし、奇兵きへいをだして、躑躅ヶ崎の館をうばった。それは、伊那丸いなまるが京都へいっているあいだのできごとであった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
兄弟問答又当時世間一般の事であるが、学問とえば漢学ばかり、私の兄も勿論もちろん漢学一方いっぽうの人で、ただ他の学者と違うのは、豊後ぶんご帆足万里ほあしばんり先生のりゅうんで、数学を学んで居ました。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
柴田、佐々さっさは同じ型のうぬぼれ男だ。永禄年代の武人型といえよう。同じ瓶割かめわりゅうでも、柴田は大ガメじゃが、佐々さっさひとまわり小さい素焼すやきのカメである。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
などで、ちょっとはしからみてもその階級かいきゅうさまざまで人数ももっとも多いけれど、射術しゃじゅつ馬術ばじゅつの方になると、およそ世上せじょう定評ていひょうのある一りゅうの人やその門下もんかの名が多い。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
庄田喜左衛門は、役目は用人であるが、すでに早く新陰流に達し、石舟斎が研鑽けんさんして、家のりゅうというところの柳生流の奥秘も会得えとくしていた。——そして、彼は彼で、自分の個性と工夫を加えて
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)