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気狂
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きちがい
ふりがな文庫
“
気狂
(
きちがい
)” の例文
旧字:
氣狂
独仙も一人で悟っていればいいのだが、ややともすると人を誘い出すから悪い。現に独仙の御蔭で二人ばかり
気狂
(
きちがい
)
にされているからな
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
『だからね、母が何と言っても
所天
(
あなた
)
決して気にしないで下さいな。
気狂
(
きちがい
)
だと思って
投擲
(
うっちゃ
)
って置いて下さいな、ね、後生ですから。』
運命論者
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
只
(
た
)
だ伊之や/\とから
最
(
も
)
う
気狂
(
きちがい
)
のようで、実の親でもなか/\斯うは参らぬもので、伊之吉はまことに
僥倖
(
しあわせ
)
ものでげす。
根岸お行の松 因果塚の由来
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
ギンは
気狂
(
きちがい
)
のようになって、あとを追っかけていきましたが、もう女の姿も牛や羊や馬の影も見えませんでした。
湖水の女
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
母親の親戚は町にあるというが、来て顧みてくれる者もなかった。
気狂
(
きちがい
)
は、時々、
檻
(
おり
)
を破って外に逃げ出した。
僧
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
▼ もっと見る
隣室の踊場のジャズ・バンドが
気狂
(
きちがい
)
のように太鼓をたたいた。
斑
(
まばら
)
なシュミーズをつけたレムブルグの女弟子が部屋に飛込むと陳子文がバルコニで自殺したことを告げた。
地図に出てくる男女
(新字新仮名)
/
吉行エイスケ
(著)
爪
(
つめ
)
を
煮
(
に
)
たり、
髪
(
かみ
)
の
毛
(
け
)
の
中
(
なか
)
へ
顔
(
かお
)
を
埋
(
う
)
めたり、
気狂
(
きちがい
)
じみた
真似
(
まね
)
をしちゃァ、いい
気持
(
きもち
)
になってるようだが、
虫
(
むし
)
のせえだとすると、ちと
念
(
ねん
)
がいり
過
(
す
)
ぎるしの。どうも
料簡方
(
りょうけんがた
)
がわからねえ
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
芳太郎は時々
気狂
(
きちがい
)
の発作のように、お庄の手を引っ張って、明りの差さない草ッ原に連れ出した。足場の悪い
草叢
(
くさむら
)
にはところどころに水溜りが、ちらちらと空明りに黒く光った。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
門辺
(
かどべ
)
にありたる多くの
児
(
こ
)
ども我が姿を見ると、一斉に、アレさらわれものの、
気狂
(
きちがい
)
の、狐つきを見よやといういう、砂利、小砂利をつかみて投げつくるは不断親しかりし
朋達
(
ともだち
)
なり。
竜潭譚
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
みんな
心配
(
しんぱい
)
しました。マサちゃんが
気狂
(
きちがい
)
になったのだと思いました。そしてむりに、
家
(
うち
)
へ
連
(
つ
)
れかえりました。
途中
(
とちゅう
)
でも、マサちゃんは風に
向
(
むか
)
って、「ばか、ばかー」とどなっていました。
風ばか
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
又一般にただ風といえば
気狂
(
きちがい
)
という意で、風僧といえば即ち気狂坊主である。
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
何だか
気狂
(
きちがい
)
じみた眼付で私達を、殊に細君の方をきょろきょろと見ていた。
ペルゴレーズ街の殺人事件
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
この
気狂
(
きちがい
)
のような真理を話した時フランボーは巻煙草に火を点けた。
作男・ゴーの名誉
(新字新仮名)
/
ギルバート・キース・チェスタートン
(著)
彼らは
気狂
(
きちがい
)
のようになって騒いでいるに違いない。
ぶどう畑のぶどう作り
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
するとそこへ
気狂
(
きちがい
)
いの様になった一人の婦人が
水晶の栓
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
「皆出て行け、
気狂
(
きちがい
)
を見て何が面白い」
狂人日記
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
「この暑いのに、こんなものを立てて置くのは、
気狂
(
きちがい
)
じみているが、入れておく所がないから、仕方がない」と云う
述懐
(
じゅっかい
)
をした。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「この
気狂
(
きちがい
)
! 私の娘に何をするんだ。可哀想に釘を打ち付けるということがあるもんか。」
点
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
門辺
(
かどべ
)
にありたる多くの
児
(
こ
)
ども我が姿を見ると、
一斉
(
いつせい
)
に、アレさらはれものの、
気狂
(
きちがい
)
の、狐つきを見よやといふいふ、
砂利
(
じやり
)
、
小砂利
(
こじやり
)
をつかみて投げつくるは
不断
(
ふだん
)
親しかりし
朋達
(
ともだち
)
なり。
竜潭譚
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「あれは、
気狂
(
きちがい
)
だよ、もう死んだよ。」
霧の中:――「正夫の世界」――
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
あなたの書いたもののうちには、人が
気狂
(
きちがい
)
になる所があります。人が短刀で自殺する所も、
短銃
(
ピストル
)
で死ぬ所もあります。
木下杢太郎『唐草表紙』序
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
世の中にはどうして、こんな要領を得ない者ばかり
揃
(
そろ
)
ってるんだろう。出てもらいたいんだか、居てもらいたいんだか
分
(
わか
)
りゃしない。まるで
気狂
(
きちがい
)
だ。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
こう自分と
気狂
(
きちがい
)
ばかりを比較して類似の点ばかり勘定していては、どうしても気狂の領分を脱する事は出来そうにもない。これは方法がわるかった。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
気狂
(
きちがい
)
が人の頭を
撲
(
なぐ
)
り付けるのは、なぐられた人がわるいから、気狂がなぐるんだそうだ。
難有
(
ありがた
)
い仕合せだ。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
向後
(
こうご
)
もし主人が
気狂
(
きちがい
)
について考える事があるとすれば、もう一
返
(
ぺん
)
出直して頭から考え始めなければならぬ。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「ところが哲学者なんてものは意味がないものを謎だと思って、一生懸命に考えてるぜ。
気狂
(
きちがい
)
の発明した
詰将棋
(
つめしょうぎ
)
の手を、青筋を立てて研究しているようなものだ」
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
何でも構わんから追い懸けろと、下駄の歯をそちらに向けたが、徒歩で車のあとを追い懸けるのは余り下品すぎる。
気狂
(
きちがい
)
でなくってはそんな馬鹿な事をするものはない。
趣味の遺伝
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
飄々
(
ひょうひょう
)
としてわが行末を
覚束
(
おぼつか
)
ない風に任せて平気なのは、死んだ
後
(
あと
)
の祭りに、から騒ぎにはしゃぐ
了簡
(
りょうけん
)
かも知れぬ。風にめぐる落葉と
攫
(
さら
)
われて行くかんな
屑
(
くず
)
とは一種の
気狂
(
きちがい
)
である。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ただ自分の満足を
得
(
う
)
るために世のために働くのです。結果は悪名になろうと、
臭名
(
しゅうめい
)
になろうと
気狂
(
きちがい
)
になろうと仕方がない。ただこう働かなくっては満足が出来ないから働くまでの事です。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それは
能
(
よ
)
く申しますると、如何に
傍
(
はた
)
から見て
気狂
(
きちがい
)
じみた不道徳な事を書いても、不道徳な風儀を犯しても、その経過を何にも隠さずに
衒
(
てら
)
わずに腹の中をすっかりそのままに描き得たならば
模倣と独立
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
正気の自己の一部分を切り放して、そのままの姿として、知らぬ間に夢の中へ譲り渡す方が趣があると思ったからである。同時に、この作用は
気狂
(
きちがい
)
になる時の状態と似ていはせぬかと考え付いた。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「
噫々
(
ああああ
)
女も
気狂
(
きちがい
)
にして見なくっちゃ、本体はとうてい解らないのかな」
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そうして中に書いてある事が
嫉妬
(
しっと
)
なのだか、
復讐
(
ふくしゅう
)
なのだか、深刻な
悪戯
(
いたずら
)
なのだか、
酔興
(
すいきょう
)
な計略なのだか、
真面目
(
まじめ
)
な所作なのだか、
気狂
(
きちがい
)
の推理なのだか、常人の打算なのだか、ほとんど分らないが
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そうしていつかこの努力のために
斃
(
たお
)
れなければならない、たった一人で斃れなければならないという
怖
(
おそ
)
れを
抱
(
いだ
)
くようになる。そうして
気狂
(
きちがい
)
のように疲れる。これが市蔵の
命根
(
めいこん
)
に
横
(
よこた
)
わる一大不幸である。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「この年齢になって色気があっちゃ
気狂
(
きちがい
)
だわ」
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「あの志保田の家には、
代々
(
だいだい
)
気狂
(
きちがい
)
が出来ます」
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「
気狂
(
きちがい
)
なら謝まらないでもいいものかな」
二百十日
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その
後
(
あと
)
で「
気狂
(
きちがい
)
になった女に、しかも死んだ女に
惚
(
ほ
)
れられたと思って、
己惚
(
おのぼ
)
れているおれの方が、まあ安全だろう。その代り心細いには違ない。しかし面倒は起らないから、いくら惚れても、惚れられてもいっこう
差支
(
さしつか
)
えない」
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
気
常用漢字
小1
部首:⽓
6画
狂
常用漢字
中学
部首:⽝
7画
“気狂”で始まる語句
気狂会
気狂舞