“きちがい”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:キチガイ
語句割合
狂人54.5%
狂気20.3%
気狂12.0%
3.8%
気違2.3%
狂女1.9%
狂者1.1%
精神異状者0.8%
狂乱0.4%
狂人女0.4%
狂漢0.4%
狂痴者0.4%
狂癲0.4%
瘋癲0.4%
発狂漢0.4%
発狂者0.4%
精神病者0.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
この思わぬ言葉に、早苗は、相手の眼のなかを窺うように、覗き込んだ——ひょっとすると、この男は狂人きちがいになったのじゃないかしら。
地虫 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
りっぱな人たちでありいい音楽家でありながら、皆多少狂気きちがいじみたところのあるクラフト家の一人を、彼女は彼のうちに認めていた。
『だからね、母が何と言っても所天あなた決して気にしないで下さいな。気狂きちがいだと思って投擲うっちゃって置いて下さいな、ね、後生ですから。』
運命論者 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
日本きちがいとも言いたいほど日本贔負びいきの婦人であった。その人が岸本を紹介してくれたのであった。老婦人は居間の方へ岸本を連れて行った。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
狐狸や、いや、あの、えて飛ぶ処は、ふくろ憑物つきものがしよった、と皆気違きちがいにしなさいます。
歌行灯 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
不断、そうやがるとよ、いか。手前ンとこ狂女きちがいがな、不断そう云やがる事を知ってるから、手前てめえだって尋常ただは通さないんだぜ。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
System of Dr. Tarr and Prof. Fether. の最後の部分の狂者きちがいたちの行動の描写に至っては、面白いというよりも自然と頭がさがるのを覚える。
ポオとルヴェル (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
魂消たまげなさる事はない。これあ芽出度い事ですばい。たとい精神異状者きちがいじゃろが、唖女じゃろが何じゃろが、これあ福の神様ですばい。何も知らじい来た、今日のお祝いの御使姫つかわしめですばい。
笑う唖女 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
ヘイ……お八代さんは今では半狂乱きちがいのようになったまま足をくじいて床に就いているそうで御座います。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「お浦を是非とも出せというのだ。……ああいう女に心を引かれる? 嗜好このみというものは変なものだな。……出してあげたくてもあの狂人女きちがい、とらえられないのだから仕方がない」
血煙天明陣 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
其声それよりでかき声をいだして馬鹿めとののしりながら為右衛門ずかずかと立ち出で、僮僕おとこどもこの狂漢きちがいを門外に引きいだせ、騒々しきを嫌いたまう上人様に知れなば、我らがこやつのために叱らるべしとの下知げじ
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
これは千年の謎としても、魚のアタリ、その引き、その釣者の恍惚境といふものは、如上じょじょうの味に近いものであらうと思ふ。釣狂痴者きちがいの迷夢哀れみたまへ。(昭和五年十二月)
魚美人 (新字旧仮名) / 佐藤惣之助(著)
あのままで行くと狂癲きちがいにでもなるんではないかとふと西山は思った。とにかく夜は更けていった。何かそこには気のぬけたようなものがあった。
星座 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
又は変ぽうらいな手附きを為たりなど、よろずに瘋癲きちがいじみるまで喜びは喜んだが、しかしお勢の前ではいつも四角四面に喰いしばって猥褻みだりがましい挙動ふるまいはしない。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
糸でかるる木偶でくのように我を忘れて行く途中、この馬鹿野郎発狂漢きちがいめ、ひとのせっかく洗ったものに何する、馬鹿めとだしぬけにみつくごとくののしられ
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
それにしても、あの発狂者きちがいはどうなされた、ほんとうにお気の毒なのはあの方でございますが、これも前世の宿業しゅくごうの致すところでございましょう、おあきらめ下さいまし。
大菩薩峠:19 小名路の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「いや。実はなあ。その患者が精神病者きちがいらしいでなあ」
笑う唖女 (新字新仮名) / 夢野久作(著)