狂女きちがい)” の例文
その頃、僕のうちの隣りに、まあ狂女きちがいと云うのだろう、妙な女がひとり住んでいた。たび重なる不幸で頭がへんになってしまったんだね。
狂女 (新字新仮名) / ギ・ド・モーパッサン(著)
不断、そうやがるとよ、いか。手前ンとこ狂女きちがいがな、不断そう云やがる事を知ってるから、手前てめえだって尋常ただは通さないんだぜ。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
顔の青白い、眼の色のにぶい、なんだか病身らしい痩形の男で、深田君に丁寧に挨拶して好子を連れて行こうとすると、好子は狂女きちがいのように飛びかかって男の腕を強くつかんだ。
探偵夜話 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
あのドアの音がそうです。兄さんに会わして下さい……イイエイイエ……あたし狂女きちがいじゃありません……兄さんの妹です。妹です妹です……兄さん兄さん。返事して頂戴……妾です妾です妾です妾です
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
水を打懸ぶっかけるぞ。「くらい附くぞ。「、痛、ほんとにくいついたな。この狂女きちがいめ、と振払う、むしゃぶりつくを突飛ばす。がたぴしという物音は皿鉢飛んだ騒動さわぎなり。 ...
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
狂女きちがいに食ものッてね、むしゃむしゃ食散らかされてたまるものかな。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)