“檀那:だんな” の例文
“檀那:だんな”を含む作品の著者(上位)作品数
芥川竜之介8
野村胡堂8
森鴎外6
永井荷風2
江戸川乱歩2
“檀那:だんな”を含む作品のジャンル比率
文学 > ドイツ文学 > その他のゲルマン文学14.3%
哲学 > 東洋思想 > 日本思想1.5%
文学 > 日本文学 > 小説 物語0.8%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
「支那の芸者の檀那だんなになるのも、容易な事じゃありませんね。何しろこんな家具類さえ、みんな買ってやるのですから。」
上海游記 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
何時から何時まで給助したのか知らぬが、有力な檀那だんなが附かなくては、寂照も長く他邦には居れまいから、其事は実際だったに違無い。
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
サンジユウゼツペ、檀那だんなの來ましつるよ、さきに來ましゝより早や久しくなり候ふとて、立ち上りて迎へぬ。
「やあ、こりゃ檀那だんなでしたか。」——客は中折帽を脱ぎながら、何度も声のぬし御時儀おじぎをした。
魚河岸 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
お妾さんはびっくりしてその処置を檀那だんなに相談すると、檀那は「構わないから家で遊ばして置け。」と言った。
ひかげの花 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
しかし又一つには今の檀那だんなに彼女の息子むすこが尋ねて来たことを隠したかつた為にも違ひなかつた。
貝殻 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
鈴木の女主人おんなあるじは次第に優にしたしんで、立派な、気さくな檀那だんなだといって褒めた。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
間雜つねの客をばことわれと仰せられつれど、檀那だんなは直ちに入り給ひてもよろしからんとなり。
しかしその檀那だんなと頼んだ人が、人もあろうに高利貸であったと知った時は、余りの事に途方に暮れた。
(新字新仮名) / 森鴎外(著)
そして「あの檀那だんな様がお亡くなりなすって見れば、おれもお供をしてもいな」といった。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
「それは大丈夫。あの子はお金持だもの。何しろ玉の井御殿の檀那だんなって云うのがパトロンだから。」
濹東綺譚 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
重吉は檀那だんなの杉村が来る時刻を見計らって、きわどい時まで妾宅に臥起ねおきをしている。
ひかげの花 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
六条坊門の白拍子しらびょうし翠蛾すいがの家は、吉次の定宿じょうやども同じようになっていた。翠蛾の妹は潮音という。彼は潮音の檀那だんなであった。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
僕はまだ日本にいた時、やはり三人の檀那だんなと共に、一人の芸者を共有したことがあった。
第四の夫から (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「へエ、折々手紙は參ります。たしかに伜の筆跡で——檀那だんな寺の和尚樣にも褒められましたが、伜は字もよく書きます、此處へ一本持つて參りましたが——」
梵語でいえば、ダーナで、あの檀那だんなさま、といった時のその「檀那だんな」です。
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)
私の大学にいた頃から心安くした男で、今は某会社の頭取になっているのが、この女の檀那だんなで、この女の妹までこの男の世話になって、高等女学校にはいっている。
余興 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
その居る処から山城河岸がし檀那だんなと呼ばれ、また単に河岸の檀那とも呼ばれた。
細木香以 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
一夜地上にさば華奢きゃしゃに育った檀那だんな衆ごとく極めて風引きやすく
三造は「あんなに湯を使う人はここの檀那だんなの外にありません」といっています。
湖畔亭事件 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
しかし檀那だんなが毎日のように来るので、若し留守を明けていて、機嫌を損じてはならないと云う心配から、一日一日と、思いながら父親の所へ尋ねて行かずに過すのである。
(新字新仮名) / 森鴎外(著)
それから私たち三人の者は、ご上人様のご懇意の檀那だんなで、御谷町おたにまち三条上ルに住居しておられる、竹原好兵衛様というお方のお家へ、落ち着きましてございます。
犬神娘 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
その中には必ず彼女の檀那だんなの亜米利加人もまじっていたのであろう。
カルメン (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「俺はさう思ふよ。嘘だと思つたら死體を縛つてお白洲へ据ゑて見るか、——いや、それより檀那だんな寺の和尚に訊いて見るが宜い、丁度離室はなれでお經を上げてゐる樣子だ」
なるほど若槻は檀那だんなとしては、当世まれに見る通人かも知れない。
一夕話 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「呉服屋さんだったわ。とうとう店の檀那だんなが来て連れて行ったわ。」
濹東綺譚 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
翠蛾は、妹の檀那だんなが、金にはきれいだが、何となく危険な人物ということは、年上だけに日頃から感じている。その吉次が立ってくれることは、来年の初夏まで、ほっと出来る事だった。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「そうだ。青蓋せいがい句集というのを出している、——あの男が小えんの檀那だんななんだ。いや、二月ふたつきほどまえまでは檀那だったんだ。今じゃ全然手を切っているが、——」
一夕話 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
その時一人の檀那だんなが栄西をしょうじて絹一疋を施した。
日本精神史研究 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
「有難いことに、これでも檀那だんな寺に人別はありますよ」
——あるいはまたいう、初めは道心を起こして求道者の群れに入ったものが、やがては真理探求の心を忘れ、ただ自分の貴い由を施主せしゅ檀那だんなに説き聞かせて彼らの尊敬供養を得ようとする。
日本精神史研究 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
そして一声「檀那だんな、それは違います」と叫んだ。
護持院原の敵討 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
檀那だんな、マツチは此処ここにありますぜ。」
あばばばば (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
生憎あひにく檀那だんなは居ませんよ。」
雜司ヶ谷から音羽へかけての物持で、手廣く米屋をやつて居る兼松は、鐵心道人の第一番の大檀那だんなで、庵室を建ててやつたのも、諸經費の不足を出してやるのも、皆んなこの男の篤志とくしだといふことです。
苾堂は大上の檀那だんなと呼ばれてゐた。
寿阿弥の手紙 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
「は、とんでもねえ、それどころか、檀那だんながねえで、亡者も居ねえ。だがな、またこの和尚が世棄人過ぎた、あんまり悟りすぎた。参詣の女衆おなごしゅが、忘れたればとって、預けたればとって、あんだ、あれは。」
灯明之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「それを親分一人が気をむことが無いじゃありませんか、雀の涙ほどでも、お上の御手当を頂いているこちとらから、二百俵のお禄を頂戴している八丁堀の檀那だんな方まで、みんな一様に、黒旋風に馬鹿にされてるわけで」
その市場の婆さんたちに「檀那だんなたちは『下手げてもの』が好きだねえ」等といわれて、初めて「下手もの」という俗語を教わり、その語感が面白く、「お婆さん今日は『下手もの』はないかい」等とこちらから聞くようになった。
「で、檀那だんな様は」
お勢登場 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
この応え歌は、「檀那だんなよ、そう威張りなさるな、若し村長さんが来て、税金や労役の事でせめ立てるなら、あなたも半分になってしまいましょう。どうです」というので、二つとも結句は、「なからかむ」でなくては面白くない。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
下手にしやがみ「檀那だんな、飛んだ粗相を致しました」と息を切りて言ひ「日は暮れかゝる、心は急く、重い軽いに気もつかず、途中に行つて心づき」とぽんと手をち「あなたのお包はお返し申します、全く粗相でございます」と包を出す。
羽左衛門うざえもんさんのところと、梅幸ばいこうさんのところと、それから六代目さん。六代目さいわいちょうさんは附属なんですね。そりゃ火鉢だってなんだって、こしらえておあげになるのです。たいした檀那だんなでございますよ」
一世お鯉 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
「忘れもしません、ちやうど今から二千五百万年以前にも、檀那だんなは今日のやうに、手前どもの店でお午飯ひるあがつて下さいましたが、その折のお勘定が唯今戴けますなら、今日こんにちのは、この次ぎまでお待ち致しませう。」
なんだ、くだらない、こんな奴に講中を頼む神主も神主だが、檀那だんなぶりをして、満座の中で裏店神主はヒドイ、こいつは甥なるものがオコルのが当然だ、全くらちもない奴等だが、さて、こうなってみると酒が飲みたいな、吸物椀で一ぱい、ぐうーっとやりたいな。
大菩薩峠:40 山科の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「春徳寺は貧乏寺で、ろくな用意もないから、三千兩といふ大金持參の大檀那だんなの接待に、門跡前の知合ひの寺へ道具を借りに行つたんださうで。膳箱を背負つて、碗を十人前、皿小鉢を一と箱兩手にブラ下げてはゐましたが、あのなりぢや三千兩は盜めさうもありませんね」
銭形平次捕物控:239 群盗 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
冗談仰有おつしやつちやあいけません。檀那だんなこそ恥をおかかせなさる。何も赤の他人ぢやあなし、大檀那以来お世話になつた丸佐のしたことぢやあごわせんか? まあ、そんな水つ臭いことを仰有らずに、これだけはそちらへおしまひなすつて下さい。……おや、お嬢さん。
(新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
「ヒルトン・キューピット夫妻は、どちらも撃たれたのだそうです。召使の者の云うには、まず夫人が檀那だんなさんを撃って、それから自分も撃ったのだそうですがね。それで檀那さんの方はもう事切れてしまい、夫人の方は虫の息ですって、——どうも全く、あたら名門の末を本当に、——」
癆症いたみしやうだか戀わづらひだか知らないが、青くてヒヨロヒヨロしてゐるくせに、どう渡りをつけたか、江島屋の下女のお六を手に入れ、毎日一本づつ、一年も續けて戀文を取次がせるんださうですよ。お六に取つては一番の大檀那だんなで、取込んだ金は三兩や五兩ぢやあるまいといふ評判ですよ」
「坂東造酒助という役者崩れですよ、ちょいと良い男で、知恵も分別も申分ないが、あの世界じゃ家柄がモノを言って、一生苦労をしてもうだつがあがらないと覚って、両国の広小路に三軒分もありそうな水茶屋を開き、御贔屓ごひいき檀那だんな方の後押しで、商売を始めましたよ、それが当って、近頃は大変な繁昌だ」
あの水口の檀那だんなが、子供たち(娼妓)がどれもどれも赤い衿ばかりで並んでいるのを見ると(張見世はりみせのことをいうのでしょう)、あまり変りがないので面白くないから、皆浅葱あさぎか藤色にして見ようといっていられましたが、それからさっぱり客が来なくなったそうで、やっぱり赤くなければ人目をかないと見えるといわれました。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)