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檀那
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だんな
ふりがな文庫
“
檀那
(
だんな
)” の例文
鐵心道人の第一番の大
檀那
(
だんな
)
で、庵室を建ててやつたのも、諸經費の不足を出してやるのも、皆んなこの男の
篤志
(
とくし
)
だといふことです。
銭形平次捕物控:104 活き仏
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
今はあらゆる職業の人に交わって、誰をも
檀那
(
だんな
)
といい、お
上
(
かみ
)
さんといわなくてはならない。それがどうも口に
出憎
(
でにく
)
いのであった。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
あの水口の
檀那
(
だんな
)
が、子供たち(娼妓)がどれもどれも赤い衿ばかりで並んでいるのを見ると(
張見世
(
はりみせ
)
のことをいうのでしょう)
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
「
檀那
(
だんな
)
よ、そう威張りなさるな、若し村長さんが来て、税金や労役の事でせめ立てるなら、あなたも半分になってしまいましょう。どうです」
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
その市場の婆さんたちに「
檀那
(
だんな
)
たちは『
下手
(
げて
)
もの』が好きだねえ」等といわれて、初めて「下手もの」という俗語を教わり、その語感が面白く
四十年の回想:『民藝四十年』を読んで
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
▼ もっと見る
「支那の芸者の
檀那
(
だんな
)
になるのも、容易な事じゃありませんね。何しろこんな家具類さえ、みんな買ってやるのですから。」
上海游記
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
下手にしやがみ「
檀那
(
だんな
)
、飛んだ粗相を致しました」と息を切りて言ひ「日は暮れかゝる、心は急く、重い軽いに気もつかず、途中に行つて心づき」
いがみの権太:(明治二十九年一月、明治座)
(新字旧仮名)
/
三木竹二
(著)
蒙古人など
沍寒
(
ごかん
)
烈風断えざる冬中騎して三千マイルを行きていささか
障
(
さわ
)
らぬに、一夜地上に
臥
(
ふ
)
さば
華奢
(
きゃしゃ
)
に育った
檀那
(
だんな
)
衆ごとく極めて風引きやすく
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
六条坊門の
白拍子
(
しらびょうし
)
翠蛾
(
すいが
)
の家は、吉次の
定宿
(
じょうやど
)
も同じようになっていた。翠蛾の妹は潮音という。彼は潮音の
檀那
(
だんな
)
であった。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
お妾さんはびっくりしてその処置を
檀那
(
だんな
)
に相談すると、檀那は「構わないから家で遊ばして置け。」と言った。
ひかげの花
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
梵語でいえば、ダーナで、あの
檀那
(
だんな
)
さま、といった時のその「
檀那
(
だんな
)
」です。だからお寺の信者のことを「
檀家
(
だんか
)
」といいます。財物をお寺に上げるからです。
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
それから私たち三人の者は、ご上人様のご懇意の
檀那
(
だんな
)
で、
御谷町
(
おたにまち
)
三条上ルに住居しておられる、竹原好兵衛様というお方のお家へ、落ち着きましてございます。
犬神娘
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
忘れもしません、ちやうど今から二千五百万年以前にも、
檀那
(
だんな
)
は今日のやうに、手前どもの店でお
午飯
(
ひる
)
を
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
この神護寺の有様をみた文覚は、何んとしてもこれを再興しようと心に固く誓い、それからというもの勧進帳を手にして
檀那
(
だんな
)
を廻り歩き、寄進を募ったのであった。
現代語訳 平家物語:05 第五巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
召使の者の云うには、まず夫人が
檀那
(
だんな
)
さんを撃って、それから自分も撃ったのだそうですがね。
暗号舞踏人の謎
(新字新仮名)
/
アーサー・コナン・ドイル
(著)
その時一人の
檀那
(
だんな
)
が栄西を
請
(
しょう
)
じて絹一疋を施した。栄西は歓喜のあまり人にも持たしめず、自ら懐中して寺に帰り、知事に与えて言った、「さあこれが明日の朝の粥だ」。
日本精神史研究
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
舟に召さずや、
檀那
(
だんな
)
、トルレ、デル、アヌンチヤタへ渡しまゐらせんと呼ぶ聲は、身のほとりより起りて、そのアヌンチヤタといふ語は、猶能く思に沈みし我を
喚
(
よ
)
び起せり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
檀那
(
だんな
)
ぶりをして、満座の中で裏店神主はヒドイ、こいつは甥なるものがオコルのが当然だ、全く
埒
(
らち
)
もない奴等だが、さて、こうなってみると酒が飲みたいな、吸物椀で一ぱい
大菩薩峠:40 山科の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
楊億
(
ようおく
)
の
談苑
(
だんえん
)
によれば、丁謂が寂照を供養したとある。何時から何時まで給助したのか知らぬが、有力な
檀那
(
だんな
)
が附かなくては、寂照も長く他邦には居れまいから、其事は実際だったに違無い。
連環記
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「
羽左衛門
(
うざえもん
)
さんのところと、
梅幸
(
ばいこう
)
さんのところと、それから六代目さん。
六代目
(
さいわいちょう
)
さんは附属なんですね。そりゃ火鉢だってなんだって、
拵
(
こしら
)
えておあげになるのです。たいした
檀那
(
だんな
)
でございますよ」
一世お鯉
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
これ
蓋
(
けだ
)
し深川綾子の建案にて、麹町の
姫様
(
ひいさま
)
檀那
(
だんな
)
となり、あまたの貴婦人これを
扶
(
たす
)
け、大法会を
修
(
しゅ
)
して
縊死
(
いし
)
の老婆を追善し、併せて鮫ヶ橋の貧民の男女を論ぜず、老少を問わず、
天窓数
(
あたまかず
)
一人に白米一斗
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
三造は「あんなに湯を使う人はここの
檀那
(
だんな
)
の外にありません」
湖畔亭事件
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
春徳寺は貧乏寺で、ろくな用意もないから、三千兩といふ大金持參の大
檀那
(
だんな
)
の接待に、門跡前の知合ひの寺へ道具を借りに行つたんださうで。
銭形平次捕物控:239 群盗
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
僕はまだ日本にいた時、やはり三人の
檀那
(
だんな
)
と共に、一人の芸者を共有したことがあった。その芸者に
比
(
くら
)
べれば、ダアワは何という
女菩薩
(
にょぼさつ
)
であろう。
第四の夫から
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
鈴木の
女主人
(
おんなあるじ
)
は次第に優に
親
(
したし
)
んで、立派な、気さくな
檀那
(
だんな
)
だといって褒めた。当時の優は黒い
鬚髯
(
しゅぜん
)
を蓄えていた。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
「それは大丈夫。あの子はお金持だもの。何しろ玉の井御殿の
檀那
(
だんな
)
って云うのがパトロンだから。」
濹東綺譚
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
檀那
(
だんな
)
は何とて斯く遲くこゝに來給ひしぞ。何の用のおはすにか。うしろめたき事には侍らずやといふ。戸外の人は又何やらん言ひたり。新婦。さなり/\。おん詞はまことなり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
あるいはまたいう、初めは道心を起こして求道者の群れに入ったものが、やがては真理探求の心を忘れ、ただ自分の貴い由を
施主
(
せしゅ
)
檀那
(
だんな
)
に説き聞かせて彼らの尊敬供養を得ようとする。
日本精神史研究
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
翠蛾は、妹の
檀那
(
だんな
)
が、金にはきれいだが、何となく危険な人物ということは、年上だけに日頃から感じている。その吉次が立ってくれることは、来年の初夏まで、ほっと出来る事だった。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「は、とんでもねえ、それどころか、
檀那
(
だんな
)
がねえで、亡者も居ねえ。だがな、またこの和尚が世棄人過ぎた、あんまり悟りすぎた。参詣の
女衆
(
おなごしゅ
)
が、忘れたればとって、預けたればとって、あんだ、あれは。」
灯明之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「
生憎
(
あひにく
)
檀那
(
だんな
)
は居ませんよ。」
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「で、
檀那
(
だんな
)
様は」
お勢登場
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
黙って
衝
(
つ
)
っ
伏
(
ぷ
)
して聞いていた文吉は、詞の切れるのを待って、頭を
擡
(
もた
)
げた。
睜
(
みは
)
った目は異様に
赫
(
かがや
)
いている。そして一声「
檀那
(
だんな
)
、それは違います」と叫んだ。
護持院原の敵討
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
「へエ、折々手紙は參ります。たしかに伜の
筆跡
(
て
)
で——
檀那
(
だんな
)
寺の和尚樣にも褒められましたが、伜は字もよく書きます、此處へ一本持つて參りましたが——」
銭形平次捕物控:173 若様の死
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「そうだ。
青蓋
(
せいがい
)
句集というのを出している、——あの男が小えんの
檀那
(
だんな
)
なんだ。いや、
二月
(
ふたつき
)
ほど
前
(
まえ
)
までは檀那だったんだ。今じゃ全然手を切っているが、——」
一夕話
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
月初めには以前世話になって財産まで分けてもらった
檀那
(
だんな
)
のお墓参り、月の終には現金と証券とを預けた銀行への用事、その他は百貨店へ買物に行くというような事で。
ひかげの花
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
門に進みて
婢
(
はしため
)
に問へば、家にいますは夫人のみにて、
目覺
(
めざ
)
めて後は快くなれりとのたまへり。
間雜
(
つね
)
の客をばことわれと仰せられつれど、
檀那
(
だんな
)
は直ちに入り給ひても
宜
(
よろ
)
しからんとなり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
のみならず同伴の外国人の
男女
(
なんにょ
)
と(その中には必ず彼女の
檀那
(
だんな
)
の亜米利加人も
交
(
まじ
)
っていたのであろう。)
カルメン
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
私の大学にいた頃から心安くした男で、今は某会社の頭取になっているのが、この女の
檀那
(
だんな
)
で、この女の妹までこの男の世話になって、高等女学校にはいっている。
余興
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
「俺はさう思ふよ。嘘だと思つたら死體を縛つてお白洲へ据ゑて見るか、——いや、それより
檀那
(
だんな
)
寺の和尚に訊いて見るが宜い、丁度
離室
(
はなれ
)
でお經を上げてゐる樣子だ」
銭形平次捕物控:196 三つの死
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
重吉は
檀那
(
だんな
)
の杉村が来る時刻を見計らって、きわどい時まで妾宅に
臥起
(
ねお
)
きをしている。
ひかげの花
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
駿河國志太郡
(
するがのくにしだごほり
)
島田驛で桑原氏の家は驛の西端、置鹽氏の家は驛の東方にあつた。土地の人は彼を
大上
(
おほかみ
)
と云ひ、此を
大下
(
おほしも
)
と云つた。苾堂は大上の
檀那
(
だんな
)
と呼ばれてゐた。
寿阿弥の手紙
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
それは彼女が
几帳面
(
きちやうめん
)
な彼に何かケウトイ心もちを感じた為にも違ひなかつた。しかし又一つには今の
檀那
(
だんな
)
に彼女の
息子
(
むすこ
)
が尋ねて来たことを隠したかつた為にも違ひなかつた。
貝殻
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
お六に取つては一番の大
檀那
(
だんな
)
で、取込んだ金は三兩や五兩ぢやあるまいといふ評判ですよ
銭形平次捕物控:238 恋患ひ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「呉服屋さんだったわ。とうとう店の
檀那
(
だんな
)
が来て連れて行ったわ。」
濹東綺譚
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
しかしその
檀那
(
だんな
)
と頼んだ人が、人もあろうに高利貸であったと知った時は、余りの事に途方に暮れた。
雁
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
しかもその驚いた顔は、声の
主
(
ぬし
)
を見たと思うと、たちまち
当惑
(
とうわく
)
の色に変り出した。「やあ、こりゃ
檀那
(
だんな
)
でしたか。」——客は中折帽を脱ぎながら、何度も声の
主
(
ぬし
)
に
御時儀
(
おじぎ
)
をした。
魚河岸
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
一生苦労をしても
梲
(
うだつ
)
があがらないと覚って、両国の広小路に三軒分もありそうな水茶屋を開き、
御贔屓
(
ごひいき
)
の
檀那
(
だんな
)
方の後押しで、商売を始めましたよ、それが当って、近頃は大変な繁昌だ
銭形平次捕物控:242 腰抜け彌八
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
女給らしきものにして
檀那
(
だんな
)
らしきものと連立って歩むもの幾人。
濹東綺譚
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
しかし
檀那
(
だんな
)
が毎日のように来るので、若し留守を明けていて、機嫌を損じてはならないと云う心配から、一日一日と、思いながら父親の所へ尋ねて行かずに過すのである。
雁
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
“檀那”の解説
檀那(だんな)は、本来仏教の用語で、「布施」を意味するサンスクリット(梵語)「ダーナ()」の訳語である。旦那とも書く。
(出典:Wikipedia)
檀
漢検準1級
部首:⽊
17画
那
常用漢字
中学
部首:⾢
7画
“檀那”で始まる語句
檀那寺
檀那様
檀那衆
檀那取
檀那樣
檀那顔
檀那外護