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末裔
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まつえい
ふりがな文庫
“
末裔
(
まつえい
)” の例文
この緒方三郎惟義というのは、ただ者ではない、恐ろしい者の
末裔
(
まつえい
)
である。その昔、豊後国のある片田舎に住む夫婦に、一人娘がいた。
現代語訳 平家物語:08 第八巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
彼はヴァン・ウィンクル家の
末裔
(
まつえい
)
だったが、彼の祖先は、騎士道はなやかなりしピーター・スタイヴァサントの時代に武名をとどろかし
リップ・ヴァン・ウィンクル:ディードリッヒ・ニッカボッカーの遺稿
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
按吉は、時々深夜の物思いに、ふと、俺はどうも社楽斎の
末裔
(
まつえい
)
じゃないかなどと考えて、心細さが身に沁むようになっていた。
勉強記
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
コゼットは死に絶えた一家のただひとりの
末裔
(
まつえい
)
となり、彼の娘ではなくて、もひとりのフォーシュルヴァンの娘となった。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
中根さん、カインの
末裔
(
まつえい
)
を読んだかと云う。私は東京の生活が荒れているので、そんな静かなものは読んではいられない。
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
▼ もっと見る
われは漢の
相国
(
しょうこく
)
曹参の
末裔
(
まつえい
)
たり。——とは、曹操みずからの称えていたことだが、事実はだいぶ違うようである。
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼は
弓矢
(
ゆみや
)
をとる身か、またその矢に當つて死ぬ身かになつた東方のマホメットの
末裔
(
まつえい
)
そのまゝに見えるのであつた。やがてイングラム孃が現はれて來た。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
また本領の土地を捨てるが悲しさに、他の一人は止まって農となり、その
末裔
(
まつえい
)
は多く名主または庄屋となった。
名字の話
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
70 ファレイドゥーン——かつてのピシダーデイ王朝の
末裔
(
まつえい
)
としてイランを再興したと伝えられる勇士。
ルバイヤート
(新字新仮名)
/
オマル・ハイヤーム
(著)
嘗
(
か
)
つて我が国に数多く帰化し、我々の祖先とともに大伽藍を
建立
(
こんりゅう
)
した人々の
末裔
(
まつえい
)
——。大和の春を思うたびに私の心に浮ぶのは、このかなしい零落の姿である。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
ヘドッコになってしまった江戸児の
末裔
(
まつえい
)
は、誰もがそうであるように、
辛辣
(
しんらつ
)
な
軽口
(
かるくち
)
で自家ざんぶをやる。
旧聞日本橋:11 朝散太夫の末裔
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
昔臣連の大貴族として勢力を持ったものの
末裔
(
まつえい
)
が、おのおの数町の田をうけてわずかに家名を存続し
日本精神史研究
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
自分の国の敗戦も、自分の身体の栄養低下も、実感としては何も知らなかった子供たちは、カインの
末裔
(
まつえい
)
の土地で、「イグアノドンの唄」をうたって、至極
御機嫌
(
ごきげん
)
であった。
イグアノドンの唄:――大人のための童話――
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
『何うぞお願い致します。私の家は今は東京で商売をやっていますが、先祖は代々近江にいて、
清和源氏
(
せいわげんじ
)
の
末裔
(
まつえい
)
でございます』とかと、系図まで
曝
(
さら
)
け出して血相を変えていた。
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
父のいわゆる何とかいう
氏族
(
うじぞく
)
の
末裔
(
まつえい
)
に当るということを
対手
(
あいて
)
にわからせようと努めた。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
尋常六年生の私が国木田独歩の「正直者」や森田草平の「煤煙」や有島武郎の「カインの
末裔
(
まつえい
)
」などを読み耽つて、危く中学校へ入り損ねたのも、ここの書棚を
漁
(
あさ
)
つたせゐであつた。
木の都
(新字旧仮名)
/
織田作之助
(著)
しかも長門、犯信ゆえに栄誉ある大阪城代の職を
過
(
あやま
)
ったとは言え、さすがに名家の
末裔
(
まつえい
)
、横紙破りの問題起した風雲児だけのものがあって、態度、おちつき、貫禄共に天晴れでした。
旗本退屈男:09 第九話 江戸に帰った退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
こうして、メディチ家の血系、
妖妃
(
ようひ
)
ビアンカ・カペルロの
末裔
(
まつえい
)
、神聖家族
降矢木
(
ふりやぎ
)
の最後の一人紙谷伸子の
柩
(
ひつぎ
)
は、フィレンツェの市旗に覆われ、四人の麻布を
纏
(
まと
)
った僧侶の肩に担がれた。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
そのつい鼻の先の所に、一冊の本がページを開いたまま落ちていました。それは彼女の批評に
依
(
よ
)
れば「今の文壇で一番偉い作家だ」と云う有島
武郎
(
たけお
)
の、「カインの
末裔
(
まつえい
)
」と云う小説でした。
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
又、神の子、仏の
末裔
(
まつえい
)
であると信じ、宗教への情熱が、人間の中心となり、宗教家は人間の最高の者として、尊敬され、十字軍がしばしば起り、
帝
(
みかど
)
は、自らを
三宝
(
さんぽう
)
の
奴
(
やっこ
)
と称された時代があった。
大衆文芸作法
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
羅馬貴族であるエトラスケール人たるペレニウス一族の
末裔
(
まつえい
)
なり、と考える時に、充分首肯のできる話でありまして、たびたび繰り返して申し上げますとおり、当時の羅馬人は非常に優雅であり
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
私はいまは全く死語と化したと云っていい、かの江戸っ子という種族の
末裔
(
まつえい
)
であって、その出生よりして趣味感覚は都会風に
洗煉
(
せんれん
)
せられ、私は巧まずして弁舌爽やかであり、また座談にも長じている。
メフィスト
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
その下層民の
滓
(
かす
)
の中にも、大きな頭をし、ガラスのような眼をし、多くは動物的な顔をし、肥満してずんぐりしてるそれらの者どもの中にも、最も高尚な民族から堕落してきたそれらの
末裔
(
まつえい
)
の中にも
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
古い豪族の
末裔
(
まつえい
)
であることは疑えない。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
遠く、平貞盛からの
末裔
(
まつえい
)
として、伊東の伊東祐親と、北条の北条家とで、その勢力は二分していると云ってよい。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
聖武天皇の御代に、三野の國
片縣
(
かたあがた
)
の郡、少川の
市
(
まち
)
に住んでゐた、百人力女が、前の犬に追はれた
岐都禰
(
きつね
)
の
末裔
(
まつえい
)
だが、おのが力をたのんで、
往還
(
おうかん
)
の
商人
(
あきんど
)
の物品を盜む。
春宵戯語
(旧字旧仮名)
/
長谷川時雨
(著)
カインの
末裔
(
まつえい
)
の土地
イグアノドンの唄:――大人のための童話――
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
手配を尽してくれたY氏も来て「やっと今、尊氏の
末裔
(
まつえい
)
をつかまえましたよ。つい近所の
細川護立
(
ほそかわもりたつ
)
さんの別邸内に住んでるんです、すぐお見えになるそうですから」
随筆 私本太平記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
朝散太夫
(
ちょうさんだいぶ
)
藤木氏の
末裔
(
まつえい
)
チンコッきりおじさんは、三人の兄弟であったが、揃いもそろった幕末お旗本ならずものの見本で、仲兄は切腹、上の兄は他から帰ってきたところを
旧聞日本橋:13 お墓のすげかえ
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
南は、九州の山岳地帯、北は東北、北陸にまで、ままその
末裔
(
まつえい
)
一族という小社会があるのを聞く。
随筆 新平家
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ひとりは吉田大納言定房の
末裔
(
まつえい
)
の吉田博光氏で、皇太子さまの御成婚に儀進をつとめられた甘露寺掌典長とは、ご親戚か親友か、とにかく、よほど親しいことばがたきの由。
随筆 私本太平記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
堯
(
ぎょう
)
が
舜
(
しゅん
)
に世をゆずった例と同じもので、天に応じ人に従ったものであるが、玄徳にはその徳もないのにかかわらず、ただ自ら漢朝の
末裔
(
まつえい
)
だなどという系図だけを根拠として
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
この近江路の
要衝
(
ようしょう
)
を占める
愛知
(
えち
)
、犬上、坂田の諸郡にまたがる豪族といえば、古くから近江源氏と世に呼ばるる佐々木定綱、高綱らの
末裔
(
まつえい
)
の門たるは、改めていうまでもない。
私本太平記:01 あしかが帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
これは自称して、
中山靖王
(
ちゅうざんせいおう
)
の
末裔
(
まつえい
)
とはいい給えど、
聞説
(
きくならく
)
、その生い立ちは、
蓆
(
むしろ
)
を織り
履
(
くつ
)
を
商
(
あきの
)
うていた賤夫という。——これを較ぶるに、いずれを珠とし、いずれを瓦とするや。
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「おおさ、いまでこそ浪々の身だが、昨日までは、五
侯
(
こう
)
の一人
楊令公
(
ようれいこう
)
の
末裔
(
まつえい
)
として、
徽宗
(
きそう
)
現皇帝の旗本にも列せられた武士中の武士だ。もしそれだったら、どうだというのか」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
遠祖は赤松一族で、平田
将監
(
しょうげん
)
の
末裔
(
まつえい
)
とはあっても、確証はなし、徳川家との縁故もない。
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼は
河東
(
かとう
)
における開国ごろの名将
呼延賛
(
こえんさん
)
の
末裔
(
まつえい
)
で、兵略に通じ、よく二本の
赤銅
(
あかがね
)
の
鞭
(
むち
)
をつかい、
宇内
(
うだい
)
の地理にもあかるく、梁山泊征討の任には、打ってつけな武人かとおもわれます
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
功がないどころか、見上げたものです。やはり関羽の
末裔
(
まつえい
)
関勝だけのものはある
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「これは、源氏にゆかりのある一槍です。源家の
末裔
(
まつえい
)
たるあなたに贈ろう」
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いまから十余年前までの村上氏というものは、北信濃一円を威令して、
坂城
(
さかき
)
の
府
(
ふ
)
、
葛尾
(
くずのお
)
の城を中心に、祖先鎮守府将軍源頼義の一族が
末裔
(
まつえい
)
として、誰も仰ぎ敬う位置に栄えていたものである。
上杉謙信
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
よくぞよくぞ、これまでに励まれた。亡き良持どのがお
在
(
わ
)
したら、いかばかり歓ばれようぞ。——さすがは、桓武帝の
末裔
(
まつえい
)
たる御子将門どのよ。わしも、どんなにか、うれしいか知れぬ。よい
初春
(
はる
)
を
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
流亡平家の
末裔
(
まつえい
)
たちの実存を想像するのに充分な気がする。
随筆 新平家
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“末裔”の意味
《名詞》
末裔(まつえい)
遠い子孫。ずっと後の子孫。
(出典:Wiktionary)
末
常用漢字
小4
部首:⽊
5画
裔
漢検1級
部首:⾐
13画
“末”で始まる語句
末
末期
末枯
末子
末世
末梢
末路
末席
末代
末始終