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木場
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きば
ふりがな文庫
“
木場
(
きば
)” の例文
久しい
後
(
あと
)
で、その頃
薬研堀
(
やげんぼり
)
にいた友だちと二人で、
木場
(
きば
)
から
八幡様
(
はちまんさま
)
へ
詣
(
まい
)
って、
汐入町
(
しおいりちょう
)
を
土手
(
どて
)
へ出て、
永代
(
えいたい
)
へ引っ返したことがある。
海の使者
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
匕首
(
あいくち
)
をつかみ、解けかけた帯の端を左の手で持ちながら、
薊
(
あざみ
)
の芳五郎は、
脱兎
(
だっと
)
のように、
木場
(
きば
)
の材木置場の隅へ逃げこんで行った。
魚紋
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
小山内薫氏の書いた小説『大川端』や『落葉』に出てくる
木場
(
きば
)
の旦那、および
多
(
おおの
)
さんがこの二人である。多さんとは藤木麻女のことである。
旧聞日本橋:13 お墓のすげかえ
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
或日わたくしは
洲崎
(
すさき
)
から
木場
(
きば
)
を歩みつくして、
十間川
(
じっけんがわ
)
にかかった新しい橋をわたった。橋の
欄
(
てすり
)
には
豊砂橋
(
とよすなばし
)
としてあった。
元八まん
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
本多西雲君は
深川
(
ふかがわ
)
木場
(
きば
)
の人。鹿島岩蔵氏の番頭さんの
悴
(
せがれ
)
で、鹿島氏の援助で私の
許
(
もと
)
へ来て稽古し一家を
為
(
な
)
した。
幕末維新懐古談:79 その後の弟子の事
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
▼ もっと見る
木場
(
きば
)
にいたこともあるとかで、坑内では支柱夫をしているようであった。この人はときどきひどく
癇癪
(
かんしゃく
)
を起した。若者が病室にいないときにわざとのように
夕張の宿
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
大きな金持のところへ
入
(
はい
)
つては、百兩二百兩といふ金をふんだくる。中には鐵砲を
擔
(
かつ
)
いで
入
(
はい
)
る者もあるといふ風で、
深川
(
ふかがは
)
の
木場
(
きば
)
や
淺草
(
あさくさ
)
の
藏前
(
くらまへ
)
で、非常に恐れた。
兵馬倥偬の人
(旧字旧仮名)
/
塚原渋柿園
、
塚原蓼洲
(著)
家は江戸の
木場
(
きば
)
で小さな材木屋をやっていた。問屋ではなくて、注文された材木を問屋から卸し、買い手に渡す仲買のようなもので、男の雇人も三人しかいなかった。
滝口
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「深川の顔役さんで、
木場
(
きば
)
の
甚
(
じん
)
とおっしゃる人が、すっかりめんどうをみてくださいましたよ」
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
木場
(
きば
)
の旦那衆で、上州屋
荘左衛門
(
そうざえもん
)
が死んだのは、もう半歳も前のことですが、その蓄財——どう内輪に見ても、三万両や五万両はあるだろうと思われたのが、不思議なことに
銭形平次捕物控:113 北冥の魚
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
けさ
木場
(
きば
)
の方から見えた若いおかみさんなんぞはほんとうに
惨
(
いじ
)
らしいようでございました。
半七捕物帳:10 広重と河獺
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
差繰
(
さしくり
)
て參りしは外の事にても御座りませぬ
彼花街
(
かのくるわ
)
の小夜衣が事
木場
(
きば
)
の客人よりだら/\急に身受の
相談
(
さうだん
)
然る處小夜衣は
如何
(
いか
)
にもして若旦那の御側へ參り
度
(
たく
)
夫
(
それ
)
のみを樂しみに苦界を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
深川
木場
(
きば
)
は今でも材木の本場、鉄筋コンクリートにけおされて昔のような景気はないが、板割を扱うハガラ屋、カク材を主とする角問屋とあってこの角屋に出入りする
川並
(
かわなみ
)
という人夫
明治世相百話
(新字新仮名)
/
山本笑月
(著)
深川
(
ふかがわ
)
のこの
木場
(
きば
)
の材木に葉が繁ったら、
夫婦
(
いっしょ
)
になって
遣
(
や
)
るッておっしゃったのね。
何
(
ど
)
うしたって出来そうもないことが出来たのは、私の念が届いたんですよ。
木精(三尺角拾遺)
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
木場
(
きば
)
は元祿十年に現在のところへ移つたが、
其前
(
そのまへ
)
は
佐賀町
(
さがちやう
)
が材木河岸で、お船藏は新大橋——兩國橋のつぎにかかつた——附近、幕府の軍艦安宅丸は寛永八年に造られて
花火と大川端
(旧字旧仮名)
/
長谷川時雨
(著)
深川の材木問屋
春木屋
(
はるきや
)
の主人
治兵衛
(
じへえ
)
が、死んだ女房の
追善
(
ついぜん
)
に、
檀那寺
(
だんなでら
)
なる
谷中
(
やなか
)
の
清養寺
(
せいようじ
)
の本堂を修理し、その費用三千両を
釣台
(
つりだい
)
に載せて、
木場
(
きば
)
から谷中まで送ることになりました。
銭形平次捕物控:031 濡れた千両箱
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
木場
(
きば
)
の町にはむかしのままの堀割が残っているが、西洋文字の符号をつけた
亜米利加
(
アメリカ
)
松の
山積
(
さんせき
)
せられたのを見ては、今日誰かこの処を、「伏見に似たり桃の花」というものがあろう。
深川の散歩
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「ねえ、魚虎の帳面をみると、仕出しが時々にある。それは
木場
(
きば
)
の旦那のだろう」
半七捕物帳:32 海坊主
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「
門前仲町
(
もんぜんなかちょう
)
とかいってたから、ここは
木場
(
きば
)
のあたりかもしれねえな」と彼は呟いた、「——暗い、まっ暗だ、どっちへ向いてもなんにも見えやしねえ、人間の住む世界じゃあねえみてえだ」
さぶ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
そのお方は、ふか川で名の売れた
木場
(
きば
)
の
甚
(
じん
)
とおっしゃる顔役でございます
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
持參成れし成ずや夫等の事
柄
(
がら
)
よもお忘れも仕給ふまじ夫より後も參られて
姪
(
めひ
)
の小夜衣が
木場
(
きば
)
の客へ
俄
(
には
)
かに受出さるゝことに成夫に付
親許
(
おやもと
)
身受にすれば
元金
(
もときん
)
五十兩にて苦界を出らるゝ故其五十兩の金子を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
深川
(
ふかがは
)
の
此
(
こ
)
の
木場
(
きば
)
の
材木
(
ざいもく
)
に
葉
(
は
)
が
繁
(
しげ
)
つたら、
夫婦
(
いつしよ
)
になつて
遣
(
や
)
るツておつしやつたのね。
何
(
ど
)
うしたつて
出來
(
でき
)
さうもないことが
出來
(
でき
)
たのは、
私
(
わたし
)
の
念
(
ねん
)
が
屆
(
とゞ
)
いたんですよ。
三尺角拾遺:(木精)
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
深川
木場
(
きば
)
の材木堀のように、材木を
溜
(
た
)
めておく置場にもなっていたのかもしれない。
旧聞日本橋:24 鬼眼鏡と鉄屑ぶとり(続旧聞日本橋・その三)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
いずれはかようの
御咎
(
おとがめ
)
もあろうかと
木場
(
きば
)
の
住居
(
すまい
)
お取壊に相ならぬ
中
(
うち
)
、弟子どもが皆それぞれに押隠しました家の宝、それをば取集め、あれなる船に積載せて参った次第で御座ります。
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
そこから
木場
(
きば
)
へ引返したのは、もう夕陽が町を染める頃。
銭形平次捕物控:113 北冥の魚
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
濱町のお宅の
木場
(
きば
)
の旦那、お妾さん、柳橋、芳町の藝者、歌舞伎役者や、幇間たちといふ、舊文明の遺産を中心にして、近代劇文學の尖端人である氏自身が、その中に溺れてゐるのを書いた
大川ばた
(旧字旧仮名)
/
長谷川時雨
(著)
いざ、
金銀
(
きんぎん
)
の
扇
(
あふぎ
)
、
立
(
た
)
つて
舞
(
ま
)
ふよと
見
(
み
)
れば、
圓髷
(
まげ
)
の
婦
(
をんな
)
、なよやかにすらりと
浮
(
う
)
きて、
年下
(
としした
)
の
島田
(
しまだ
)
の
鬢
(
びん
)
のほつれを、
透彫
(
すかしぼり
)
の
櫛
(
くし
)
に、
掻撫
(
かいな
)
でつ。
心憎
(
こゝろにく
)
し。
鐘
(
かね
)
の
音
(
ね
)
の
傳
(
つた
)
ふらく、
此
(
こ
)
の
船
(
ふね
)
、
深川
(
ふかがは
)
の
木場
(
きば
)
に
歸
(
かへ
)
る。
婦人十一題
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「これはお珍しい。貴公は
木場
(
きば
)
の
白猿子
(
はくえんし
)
では御座らぬか。」
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
其處から
木場
(
きば
)
へ引返したのは、もう夕陽が町を染める頃。
銭形平次捕物控:113 北冥の魚
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
深川の
木場
(
きば
)
が、震災の幾年か前まで、土地っ子で帽子をかぶったものが歩いていなかったように、日本橋区大門通辺では、明治三十年ごろでも、帽子を
被
(
かぶ
)
って歩いているものはすけなかった。
旧聞日本橋:21 議事堂炎上
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
“木場”の解説
木場(きば)は、東京都江東区の町名。現行行政地名は木場一丁目から木場六丁目。住居表示実施済区域。
(出典:Wikipedia)
木
常用漢字
小1
部首:⽊
4画
場
常用漢字
小2
部首:⼟
12画
“木場”で始まる語句
木場道
木場貞
木場邊
木場贔屓