“きば”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
70.3%
木場10.2%
騎馬4.7%
3.9%
気張3.5%
牙歯1.6%
黄葉1.6%
耆婆1.2%
木市0.4%
木歯0.4%
気晴0.4%
気霽0.4%
犬歯0.4%
犬牙0.4%
黄歯0.4%
黄食0.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「よく剣ヶ峰けんがみねおがまれる。」と、じいさんは、かすかはるかに、千ゆきをいただく、するどきばのようなやまかってわせました。
手風琴 (新字新仮名) / 小川未明(著)
匕首あいくちをつかみ、解けかけた帯の端を左の手で持ちながら、あざみの芳五郎は、脱兎だっとのように、木場きばの材木置場の隅へ逃げこんで行った。
魚紋 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
王子はだまったままで下を向いて聞いていらっしゃいます。やがて花よめ花むこが騎馬きばでお寺に乗りつけてたいそうさかんな式がありました。
燕と王子 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
お島はベンチに腰かけて、だるい時のたつのを待っていた。庭の運動場のまわりうわった桜の葉が、もう大半きばみ枯れて、秋らしい雲が遠くの空に動いていた。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
「この胴裏じゃ表が泣く、最少もすこ気張きばればかった」というと「何故なぜ、昔から羽織の裏は甲斐機にきまってるじゃないか、」
二葉亭余談 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
ズンと深く食い込んだまま牙歯きばのように立ち、かれは大地に弓なりに仆れています——言うまでもなく日本左衛門に袖をくぐられた当身あてみ! あばらを折られていなければ僥倖ぎょうこうなのです。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
足元は丘がピトロクリの谷へ落ち込んで、眼の届くはるかの下が、ひらたく色でうずまっている。その向う側の山へのぼる所は層々とかば黄葉きばが段々に重なり合って、濃淡の坂が幾階となく出来ている。
永日小品 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
巴豆はづといひ附子ぶしといふも皆是薬、障礙しやうげ悪神あくじん毘那耶迦びなやかも本地はすなはち毘盧沙那如来びるしやなによらい、此故に耆婆きばまなこを開けば尽大地の草木、保命ほうみやうの霊薬ならぬも無く、仏陀ぶつだ教を垂るれば遍虚空へんこくう鬼刹きせつ
二日物語 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
成は木市きばの材木の中に隠れていて、天子の車駕しゃがの通り過ぎるのを待ちうけ直訴した。
成仙 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
ほおの木歯きばの足駄をガラガラ。と学校の帰りにやあらん。年ごろはおのおの十五ばかりなる二三人の少年。一人は白き帆木綿ほもめんのかばんをこわきにかい込み。毛糸織りの大黒頭巾だいこくずきんいただきたる。
藪の鶯 (新字新仮名) / 三宅花圃(著)
『こんなことでは本当ほんとう修行しゅぎょうにもなんにもなりはしない。気晴きばらしにすこ戸外おもてましょう……。』とうとうわたくし単身ひとりたき修行場しゅぎょうばかけ、あしのまにまに、谷川たにがわつたって
自分がどうしていか分からなくなった時に、そんな事を気霽きばらしにするのだ。
彼らの爪はのこぎりであり彼らの犬歯きばは斧であった。そして素晴らしいその腕力はモーターとでも云うべきであろう。やはり半日とはかからないうちに立派な一個の荷車が出来た。
沙漠の古都 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
しかも、彼には人後に陥ちない狡才があり、高家の職能は、時により、老中も大名も、ちぢみ上がらすことのできる犬牙きばにもなるのだ。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
自嘲じちょうして、お酒をまた一口のんで、長いまばらな黄歯きばを出して見せて
地面は一面のこけで秋にってやや黄食きばんだと思われる所もあり、又は薄茶に枯れかかった辺もあるが、人の踏んだあとがないから、黄は黄なり、薄茶は薄茶のまま、苔と云う昔しの姿を存している。
幻影の盾 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)