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持前
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もちまへ
其れを知らぬ程の
良人では無いが、
持前の
負嫌ひな気象と妻を
労る心とから斯う
確乎した事を云ふのであると美奈子は思つて居る。
チッバ
無理往生の
堪忍と
持前の
癇癪との
出逢ひがしらで、
挨拶の
反が
合ぬゆゑ、
肉體中が
顫動るわい。
引退らう。
夫と
共に
林の
雜木はまだ
持前の
騷ぎを
止めないで、
路傍の
梢がずつと
繞つてお
品の
上からそれを
覗かうとすると、
後からも/\
林の
梢が一
齊に
首を
出す。
見ては居られぬが私しの
持前故是非なく彼の人々を
竄ひしに
相違御座なく候何れ
双方御
糺しの上は明白に相分り申べく殊に只今の御用人中は
非道の者共にて殿へ
惡智慧を
またもとの
俗骨にかへり、
我も詩を作る
事を知りたるならば、
拙ながらも
和韻と出かけて、先生を
驚かしたらんものをと
負じ
魂、人
羨み、
出来ぬ
事をコヂつけたがる
持前の
道楽発りて
奧樣はお
血の
故で
折ふし
鬱ぎ
症にもお
成り
遊すし
眞實お
惡い
時は
暗い
處で
泣いて
居らつしやるがお
持前と
言ふたらば、
何んなにか
貴孃吃驚致しまして、
飛んでも
無い
事、それは
大層な
神經質で
その人の心の
持前といふやうな事になる。
名が
何ぢゃ?
薔薇の
花は、
他の
名で
呼んでも、
同じやうに
善い
香がする。ロミオとても
其通り、ロミオでなうても、
名は
棄てゝも、
其持前のいみじい、
貴い
徳は
殘らう。