手振てぶり)” の例文
弁信法師も、お茶の手前の一手や二手は心得ているに相違なく、手振てぶりも鮮かに一椀の抹茶まっちゃを押戴いて、口中にあおりました。
大菩薩峠:40 山科の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
飾磨しかま郡増位山随願寺の会式えしきで僧俗集まり宴たけなわなる時、薬師寺のちご小弁は手振てぶりに、桜木の小猿という児は詩歌で座興を助けるうち争論起り小猿打たる
これによりて初めて日本なる人種の特色とまたその時代の各階級の特色となるべき固有の手振てぶり態度を描き得るなり。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
都の手振てぶりだとか北里十二時ほくりじゅうにときだとかいうものは、読む人が文と事との間に調和をかいでいるのを感ぜずにはいない。
空車 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
記憶おぼえのよければ去年こぞ一昨年おととしとさかのぼりて、手振てぶり手拍子てびやうしひとつもかはことなし、うかれたちたる十にんあまりのさわぎなれば何事なにごとかどたちちて人垣ひとがきをつくりしなかより。
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
世には斯かる氣高けだかき美しき女子をなごも有るもの哉と心ひそかに駭きしが、雲をとゞめ雲を𢌞めぐらたへなる舞の手振てぶりを見もて行くうち、むねあやしう轟き、心何となく安からざる如く
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
折々は黄金丸が枕辺にて、有漏覚うろおぼえの舞の手振てぶり、または綱渡り籠抜かごぬけなんど。むかとったる杵柄きねづかの、覚束おぼつかなくもかなでけるに、黄金丸も興に入りて、病苦もために忘れけり。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
この地方の正月記事は幸いに「奥の手振てぶり」という寛政六年のものが、ほとんどこれをわれわれに伝えんとして用意しておいたかのごとく、画も文章も完備して残っている。
雪国の春 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
これよりさき雪枝ゆきえ城趾しろあと濠端ほりばたで、老爺ぢいならんで、ほとん小学生せうがくせい態度たいどもつて、熱心ねつしんうをかたちきざみながら、同時どうじ製作せいさくしはじめた老爺ぢい手振てぶりるべく……そつ傍見わきみして、フトらしたとき
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
しかすがにの手を延べて、靜かなる慰撫いたはり手振てぶり優しく
(旧字旧仮名) / アダ・ネグリ(著)
わざ手振てぶりざればみに、ひろごりてきやう
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
曇れる鏡よく見れば、わかれ手振てぶりうれたくも
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
又々博奕ばくえき引懸ひきかゝり肥前屋小兵衞方にて貰ひしかの六兩は殘らずまけて仕舞元の通りの手振てぶりとなりけれ共綿入わたいれ羽織ばかりは殘り有事故種々思案しあんなし此上は如何共詮方せんかたなければ元へ立歸るより外なしと本町二丁目なる肥前屋ひぜんや小兵衞の方へ行御免下めんくだされと店へあがるゆゑ番頭大にこま折角せつかくの御出に候へども主人小兵衞儀は
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
曇れる鏡よく見れば、わかれ手振てぶりうれたくも
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
手振てぶり狂ほしく足並あしなみ亂れ
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
さう手振てぶりの怪しきは
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
そう手振てぶりの怪しきは
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)