トップ
>
懼
>
おそれ
ふりがな文庫
“
懼
(
おそれ
)” の例文
然るに今は「死せる秘密」のために
懼
(
おそれ
)
を
懐
(
いだ
)
いて、もし客を謝したら、緑翹の
踪跡
(
そうせき
)
を尋ねるものが、観内に目を
著
(
つ
)
けはすまいかと思った。
魚玄機
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
恐らく、一人だけに頼んだのでは、
猫婆
(
ねこばば
)
される
懼
(
おそれ
)
が充分にある故、老人は万全を期して三人に同じ事を委嘱したのであろうと。
南島譚:03 雞
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
奇を
弄
(
ろう
)
して
益
(
ますます
)
出づる不思議に、彼は益
懼
(
おそれ
)
を
作
(
な
)
して、
或
(
あるひ
)
はこの
裏
(
うち
)
に天意の測り難き者有るなからんや、とさすがに惑ひ苦めり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
しかし、
其
(
そ
)
の
當時
(
たうじ
)
、
風
(
かぜ
)
は
荒
(
あら
)
かつたが、
眞南
(
まみなみ
)
から
吹
(
ふ
)
いたので、
聊
(
いさゝ
)
か
身
(
み
)
がつてのやうではあるけれども、
町内
(
ちやうない
)
は
風上
(
かざかみ
)
だ。
差
(
さし
)
あたり、
火
(
ひ
)
に
襲
(
おそ
)
はるゝ
懼
(
おそれ
)
はない。
露宿
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
端艇
(
たんてい
)
を
覆
(
くつが
)
へす
懼
(
おそれ
)
があるので
今
(
いま
)
しも
右舷
(
うげん
)
間近
(
まぢか
)
に
泳
(
およ
)
いで
來
(
き
)
た三四
尺
(
しやく
)
の
沙魚
(
ふか
)
、『
此奴
(
こいつ
)
を。』と
投込
(
なげこ
)
む
餌
(
え
)
の
浪
(
なみ
)
に
沈
(
しづ
)
むか
沈
(
しづ
)
まぬに、
私
(
わたくし
)
は『やツ。しまつた。』と
絶叫
(
ぜつけう
)
したよ。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
▼ もっと見る
それは、秘密にしてある水の深さが判る
懼
(
おそれ
)
があるからだと話して聞かせた。このことは、確めはしなかったが、本当かも知れない。もっとも私は疑を持っている。
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
人家
(
じんか
)
にちかき
流
(
ながれ
)
さへかくのごとくなれば、この二
条
(
すぢ
)
の
流
(
ながれ
)
の
水源
(
みなかみ
)
も雪に
埋
(
うづも
)
れ、
水用
(
すゐよう
)
を
失
(
うしの
)
ふのみならず水あがりの
懼
(
おそれ
)
あるゆゑ、
所
(
ところ
)
の人
力
(
ちから
)
を
併
(
あはせ
)
て流のかゝり口の雪を
穿
(
うがつ
)
事なり。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
妻子に勝りたる我らの所有物なり、富は盗まるるの
懼
(
おそれ
)
と浪費さるるの心配あり、国も教会も友人も我を捨てん、事業は我をたかぶらしめ、この肉体も我失わざるを得ず
基督信徒のなぐさめ
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
ゆえに、少しく油断すると
聖人
(
せいじん
)
君子
(
くんし
)
の言葉を用いて他人を
責
(
せ
)
むる道具とする
懼
(
おそれ
)
がある。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
溺れて死ぬる
懼
(
おそれ
)
を抱きながらも
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
もしかしたら素晴らしいものになっているかも知れないが、或いは又、てんで独りよがりの・恥ずべき駄作かも知れないという
懼
(
おそれ
)
があった。
光と風と夢
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
如此
(
かくのごと
)
き
輩
(
やから
)
を
出入
(
でいり
)
せしむる鴫沢の家は、
終
(
つひ
)
に不慮の
禍
(
わざはひ
)
を招くに至らんも知るべからざるを、と彼は心中
遽
(
にはか
)
に
懼
(
おそれ
)
を生じて、さては彼の恨深く
言
(
ことば
)
を
容
(
い
)
れざるを
幸
(
さいはひ
)
に、
今日
(
こんにち
)
は
一先
(
ひとまづ
)
立還
(
たちかへ
)
りて
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
利章の密書は
只
(
たゞ
)
忠之主從を驚きあきれさせたばかりではない。主從は同時に非常な
懼
(
おそれ
)
を懷いた。なぜと云ふに、忠之が叛逆を企てたと云ふ本文の外に、利章の書面には
追而書
(
おつてがき
)
が添へてあつた。
栗山大膳
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
講義の題として聞くもののごとく思い流すの
懼
(
おそれ
)
がある。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
ファアウマのは丹毒の
懼
(
おそれ
)
があるから素人療法では駄目らしい。夕食後騎馬で医者の所へ行く。
朧月夜
(
おぼろづきよ
)
。無風。山の方で雷鳴。森の中を急ぐと、例の
茸
(
きのこ
)
の蒼い灯が地上に点々と光る。
光と風と夢
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
時をも
差
(
たが
)
へず
訪
(
おとな
)
ひ来るなど、我家に
祟
(
たたり
)
を
作
(
な
)
すにはあらずや、とお峯は
遽
(
にはか
)
に
懼
(
おそれ
)
を
抱
(
いだ
)
きて、とても一度は会ひて、又と足踏せざらんやう、ひたすら直行にその始末を頼みければ、今日は用意して
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
其処へ行って祭壇の前に一祈りすれば、古い神々を涜した
懼
(
おそれ
)
から容易に解放されるのであろう。神祠の大きさから考えても、白人の神の威力の方が優れていることは疑う余地が無いのだから。
南島譚:03 雞
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
子路をして心からの
快哉
(
かいさい
)
を叫ばしめるに充分な出来事ではあったが、この時以来、強国斉は、
隣国
(
りんこく
)
の宰相としての孔子の存在に、あるいは孔子の
施政
(
しせい
)
の
下
(
もと
)
に充実して行く魯の国力に、
懼
(
おそれ
)
を
抱
(
いだ
)
き始めた。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
懼
漢検1級
部首:⼼
21画
“懼”を含む語句
恐懼
危懼
驚懼
疑懼
畏懼
懼怖
可懼
戒懼
憂懼
懼色
慙懼
懼気
意甚疑懼
無畏懼
愁懼
異懼
惶懼
疑懼心
衝懼
恐懼戦慄