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怖気
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おじけ
ふりがな文庫
“
怖気
(
おじけ
)” の例文
旧字:
怖氣
もっとも地の利は充分チベット人が占めて居ったのですけれども、元来
怖気
(
おじけ
)
が付いて居るものですから充分働くことが出来なかった。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
キャラコさんは、すこし
怖気
(
おじけ
)
がついてきた。自分が、いま、やりかけていることは、途方もなく
突飛
(
とっぴ
)
なことのように思われだして来た。
キャラコさん:09 雁来紅の家
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
例により僕は自分の
恥曝
(
はじさら
)
しの経験を述べて参考に供したい。僕は少年のころ、物に
怖気
(
おじけ
)
ない、大胆不敵、あまりに無遠慮であった。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
ふと
轟
(
とどろ
)
いたお政の声に、
怖気
(
おじけ
)
の附いた文三ゆえ、
吃驚
(
びっくり
)
して首を
矯
(
あ
)
げてみて、安心した※お勢が誤まッて茶を
膝
(
ひざ
)
に
滴
(
こぼ
)
したので有ッた。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
それら新時代のヴォルテールやジョゼフ・ド・メーストルらは、その言論の大胆さの下に、
怖気
(
おじけ
)
づいた不安定な心を隠していた。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
▼ もっと見る
わたしはすっかり
怖気
(
おじけ
)
づいて、こそこそ彼女たちの
傍屋
(
はなれ
)
へ
這
(
は
)
いこんでは、なるべく老夫人のそばに、くっついているようにしたものである。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
目前、宮崎氏令嬢の実例で、
怖気
(
おじけ
)
をふるっている資本家達は、結局職工の要求を容れることになる。でなければ、工場閉鎖だ。
猟奇の果
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
女房のお初が、利平の
枕許
(
まくらもと
)
でしきりと、
口説
(
くど
)
きたてる。利平が、争議団に頭を割られてから、お初はモウスッカリ、
怖気
(
おじけ
)
づいてしまっている。
眼
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
そこで綱右衛門は、すっかり
怖気
(
おじけ
)
をふるって、昭和十一年三月、菩提寺の浅草玉姫町の永伝寺へ奉納して、永久に同寺に封じこめる事にした。
お化の面
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
『まあ珍らしい変なお話ですね。最初からそんな事があっちゃあ、宮城野さんでなくっても
怖気
(
おじけ
)
がさしてしまいますわね』
機密の魅惑
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
ラネーフスカヤ (
怖気
(
おじけ
)
づいて)持ってらっしゃい……さあ、これを……(
巾着
(
きんちゃく
)
の中をさがす)銀貨がないわ。……まあいい、さ、この金貨を……
桜の園
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
こうした私の態度を見ただけでも
怖気
(
おじけ
)
が付くか、不快を感ずるかする筈なのに、この少年は
恰
(
あたか
)
も、私がこんな態度を
執
(
と
)
るのを予期していたかのように
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
溺死者の屍体が二、三日もたって上がると、からだ中に
黄螺
(
ばい
)
が附いて喰い散らしていて眼もあてられないという話を聞いて
怖気
(
おじけ
)
をふるったことであった。
海水浴
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
「まさか許されまいと思っていたのが許されたから
怖気
(
おじけ
)
づいたのだろう。岩流に立合を申込んだと云って自分に箔をつけるつもりの目算が外れたからよ」
巌流島
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
実際、あの
奴
(
やっこ
)
さん、ほんとうに
怖気
(
おじけ
)
がついているのである。そこで、私は今朝あいつを落ち着かせるために、クロラルと臭素カリを少々
服
(
の
)
ませてやった。
世界怪談名作集:09 北極星号の船長 医学生ジョン・マリスターレーの奇異なる日記よりの抜萃
(新字新仮名)
/
アーサー・コナン・ドイル
(著)
せっかく買おうと思った娘たちは、鬼だの人を食ったのということで
怖気
(
おじけ
)
が立って、手を引いてしまいました。
大菩薩峠:17 黒業白業の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
母が暴風雨に
怖気
(
おじけ
)
がついて、早く立とうと云うのを
機
(
しお
)
に、みんなここを切上げて一刻も早く帰る事にした。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
半七は
肚
(
はら
)
のなかで舌打ちした。小僧のあげられたのに
怖気
(
おじけ
)
がついて、与之助はどこへか影を隠したのではあるまいかとも疑われたので、彼は馬道へ又急いで行った。
半七捕物帳:22 筆屋の娘
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
……なんという今夜は気味の悪い晩だ! 何かに俺は
憑
(
つ
)
かれている。帰ろう家へ帰ろう。これ以上に気味の悪いものにぶつかろうものなら、俺といえども
怖気
(
おじけ
)
だつよ
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「洋行」は嬉しかったが、その時にベルリンへ行ったならば大変だと
怖気
(
おじけ
)
を
有
(
も
)
って行ったのである。
回顧と展望
(新字新仮名)
/
高木貞治
(著)
そのうえ
怖気
(
おじけ
)
づきかかってさえいる様子を見て取ると、まんざらでもない気持になったものである。
外套
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
その後桐沢台のお邸のことは村役場の永瀬さんという収入役の方が管理をしているが、村の人たちは
怖気
(
おじけ
)
づいて今ではもう誰一人桐沢台に近づく者もないということ。
逗子物語
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
基経は念を押すように娘の方を見た。橘は
祷
(
いの
)
るように父に何もいうなという
怖気
(
おじけ
)
のある色をうかべて、もう、鳥を
射
(
う
)
つのは
可哀想
(
かわいそう
)
だという意味をも含ませた
眼附
(
めつき
)
だった。
姫たちばな
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
剣神ともいうべき丹下左膳の腕前を見せられて、もうこの連中、すっかり
怖気
(
おじけ
)
づいているのだ。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
むしろ僕は、役人たちが怠慢なためか、忘れっぽいためか、あるいは
怖気
(
おじけ
)
を振ったためかで、手続きはもう中止になったか、次のときには中止になるかするものと考えます。
審判
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
「きっと、遊撃隊が怖いんですよ。B国の奴らは卑怯ですからね。いつも弱い者いじめばかりしていて、強い敵に出あったことがないものだから……
怖気
(
おじけ
)
がついたんですよ。」
昭和遊撃隊
(新字新仮名)
/
平田晋策
(著)
彼等はずいぶん
怖気
(
おじけ
)
づいていたし、それに、そういうような人間が、法律の範囲内で、またその範囲を越えて、彼等に対してどんなことをすることが出来るかということの経験は
二都物語:01 上巻
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
ほんとうに血だらけな手でその蟇口を自慢そうに妾の
眼
(
め
)
の前へぶら下げてみせたとしたら、妾は貴方を憎めるでしょうか?
怖気
(
おじけ
)
をふるって貴方から逃げられるでしょうか? いいえ
華やかな罪過
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
薬師寺
方
(
がた
)
の老臣共は、最後まで主人の鼻を発見することが出来ず、結局誰の
仕業
(
しわざ
)
とも見当が付かないので、ます/\
怖気
(
おじけ
)
がついたものか、「弾正政高公
俄
(
にわ
)
かの御病気」と云うことにして
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
常住礼拝の規則は、人に
怖気
(
おじけ
)
を震わせるほど
苛酷
(
かこく
)
なものである。帰依する者は少なくなり、新たにはいって来る者はなくなった。一八四五年には、なお多少の助修道女らが散在していた。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
と云われても前に
怖気
(
おじけ
)
が附いて居りまするから、
怖々
(
こわ/″\
)
台所口から上ってまいり
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
いつもは虎に向かっている羊のような
怖気
(
おじけ
)
が、敵にあった。彼らは
狼狽
(
うろた
)
え血迷うところを突き伏せるのに、なんの雑作もなかった。今日は、彼らは戦いをする時のように、勇み立っていた。
形
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
それでいて、
茶
(
ちゃ
)
の
間
(
ま
)
や
他
(
ほか
)
の
間
(
ま
)
の電気はそんな事はないので、はじめ怪しいと思ったのも、二度目、三度目には
怖気
(
おじけ
)
がついて、オイもう
止
(
よ
)
そう、何だか薄気味が悪いからと
止
(
よ
)
したくらいでした。
薄どろどろ
(新字新仮名)
/
尾上梅幸
(著)
青
腫
(
ぶく
)
れのした顔の中に、
怖気
(
おじけ
)
た小さな眼は
潜
(
ひそ
)
んでいた。頭の中は掻き廻されるように痛んで、眼がだんだん霞んで来た。遠くに森があった。森のかなたにも家があった。人が住んでいる。……
扉
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「いやお房が殺されたのを見て、
怖気
(
おじけ
)
づいて逃げ出したに違いあるまいよ。お房の男が下手人ならそんな手数なことをせずに、お房を殺せるわけだ。ところで此空地の奥に住んで居るのは誰だ」
銭形平次捕物控:242 腰抜け彌八
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
これは、本気か冗談か知らないが、もしもフィリーモンがおそるおそる年上の旅人の顔を見て、いかにもなさけ深そうだということが分らなかったら、とても
怖気
(
おじけ
)
づいてしまったことでしょう。
ワンダ・ブック――少年・少女のために――
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
コタンケシの酋長が刀を抜いて鞘を打つと、その爺も刀を抜いて鞘を打った。することなすこと、そっくり真似るのであった。さすがの酋長もすっかり
怖気
(
おじけ
)
ついて、すきを見て戸外へ飛び出した。
えぞおばけ列伝
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
それはただもうまっ白な、袖もなければ何もない、ずんどうの衣裳で、肩のところがほんの申訳に蝶むすびに絞ってあるだけのものでしたが、この着附けにはわたしたち
怖気
(
おじけ
)
をふるったものでした。
かもじの美術家:――墓のうえの物語――
(新字新仮名)
/
ニコライ・セミョーノヴィチ・レスコーフ
(著)
こわいような爺やのことですから、すっかりその若い外人の妻君が
怖気
(
おじけ
)
づいてしまって、九月一ぱいという約束でしたのが八月の末になるかならないうちに、其処を引き上げて行ってしまいました。
朴の咲く頃
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
面倒に成って来た人及び我を見るとひとりでに彼女は
怖気
(
おじけ
)
付く。
概念と心其もの
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
初めから
怖気
(
おじけ
)
を見せなかった僧がそばへ寄って行った。
源氏物語:55 手習
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
あとで報いがこなければいいが、と今から
怖気
(
おじけ
)
ている。
神楽坂
(新字新仮名)
/
矢田津世子
(著)
そのうち気の弱い君なんぞは
怖気
(
おじけ
)
をふるふやうな……
灰色の眼の女
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
ほんとうに
怖気
(
おじけ
)
をふるっているのかねえ——
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
少年も
怖気
(
おじけ
)
づき、妹をかばう。
春
(新字新仮名)
/
竹久夢二
(著)
お
出額
(
でこ
)
がどうとか何とか、つねに人にいわれたために、人の前に出ても、またなんか言われはせぬかという気になり、
怖気
(
おじけ
)
たのである。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
怖気
(
おじけ
)
だったパリーの人々は、
田舎
(
いなか
)
に出かける者もあれば、敵の包囲に備えるかのように食料をたくわえる者もあった。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
お勢は、まじまじと茂太郎の顔を眺めて、
窘
(
たしな
)
めるようにいいますと、茂太郎は恥かしそうに、また
怖気
(
おじけ
)
づいているように、がんりきの後ろへ隠れて返事をしない。
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
それどころかこの城塞ときては、すっかり
怖気
(
おじけ
)
づいてしまって、魂も身に添わぬ
為体
(
ていたらく
)
であった。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
殊に善太郎氏は、大嫌いな蛇がからんでいるだけに、
怖気
(
おじけ
)
をふるって、極度に用心深くなった。
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
怖
常用漢字
中学
部首:⼼
8画
気
常用漢字
小1
部首:⽓
6画
“怖気”で始まる語句
怖気立
怖気付